医療法人柔敦
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人間ドックの眼底検査でで指摘される異常な所見とは?〈横浜市 梅の木眼科クリニック〉

人間ドックの眼底検査でで指摘される異常な所見とは?〈横浜市 梅の木眼科クリニック〉

2025/03/09


先週あたりからかなり花粉が飛散したようで、急激に目の痒みや鼻の症状が強くなった方が多くいらっしゃっています。外出する際は万全な対策をお勧めします。


さて、前回人間ドックでわかる目の異常についてまとめました。その中でも眼底写真による検査は多くの疾患の疑いが出てきます。人間ドックの眼科検査で眼底のチェックを受けることは、目の健康を守るために非常に重要です。



上の画像は典型的なほぼ正常な眼底写真です。こちらが基準になりますので参考までにアップしておきます。

ここからが異常所見となります。

1. 網膜出血(もうまくしゅっけつ)

網膜出血は、網膜の血管が破れて血液が漏れ出す状態です。網膜の血管が破れると、視力に直接影響を与えることがあります。

所見

網膜に赤い点や斑点(点状出血)や、広範囲に広がる出血が見られることがあります。

出血の位置や範囲により、病気の進行具合がわかることがあります。

関連疾患

糖尿病網膜症:糖尿病が原因で網膜の細い血管が破れ、出血が起こります。糖尿病患者において、網膜に微小な出血点が見られることが多いです。

高血圧性網膜症:高血圧により網膜の血管が圧迫され、出血や血管の損傷が生じることがあります。

対応

出血が見られた場合、まずはその原因を特定することが重要です。糖尿病や高血圧が疑われる場合、生活習慣の改善や治療が必要です。

 

2. 網膜浮腫(もうまくふしゅ)

網膜浮腫とは、網膜が水分を吸収して腫れあがる状態です。これにより、網膜の機能が低下し、視力障害を引き起こすことがあります。

所見

網膜に黄色っぽい浮腫が見られ、光が反射して異常な輝きが生じることがあります。

網膜の中心部(黄斑部)が浮腫を起こすと、視力に直接的な影響があります。

関連疾患

糖尿病網膜症:高血糖が原因で網膜の血管が障害を受け、浮腫が起こることがあります。

高血圧性網膜症:高血圧によって網膜の血管が損傷し、浮腫が生じることがあります。

加齢黄斑変性(AMD):特に湿性型の加齢黄斑変性では、網膜に新生血管が現れ、その結果として浮腫が引き起こされることがあります。

対応

浮腫が見られる場合、早期の治療が必要です。糖尿病や高血圧の管理が基本であり、特に加齢黄斑変性の場合は、抗VEGF療法(抗血管内皮増殖因子治療)などの治療が行われます。

3. 血管異常(けっかんいじょう):網膜動脈硬化症など

眼底における血管異常は、血管が曲がったり、狭くなったり、拡張したりすることで発生します。これらの異常は、目の健康だけでなく、全身疾患との関連性もあります。

所見

動脈硬化:血管が硬くなり、狭くなっている様子が見られます。動脈が細くなっている部分や、血管が曲がっている部分が見受けられます。

動脈と静脈の交差:動脈と静脈が交差している部分で、圧迫されて静脈が曲がっている状態が見られることがあります(交差現象)。これは高血圧や動脈硬化に関連していることがあります。

関連疾患

高血圧:高血圧が原因で網膜の血管が硬化し、動脈と静脈が交差する部分で圧迫が見られます。

動脈硬化:動脈硬化が進行すると、網膜の血管が硬くなり、血流が悪化することがあります。

対応

血管異常が見られた場合、血圧や血糖の管理が必要です。特に高血圧のコントロールが不十分な場合、網膜に与える影響が大きくなるため、医師の指導に従って治療を進めることが重要です。

網膜動脈硬化

前の写真と比べると血管の蛇行がかなり強くなっているのがわかると思います。こちらは中等度の動脈硬化になります。
この状態ですと、おそらく血圧や血圧やコレステロールの値が高かったり、糖尿病があったりする可能性が高いと思います。

4. 視神経乳頭異常(ししんけいにゅうとう いじょう):視神経乳頭陥凹拡大、乳頭出血など

視神経乳頭は、視神経が眼球に接続する部分で、眼底検査で最も重要な所見の一つです。視神経乳頭に異常が見られると、視神経の障害や、視神経に圧力がかかっている可能性があります。

所見

視神経乳頭の凹み:視神経乳頭が通常よりも大きく凹んでいる場合、視神経の損傷や圧迫が疑われます。

視神経乳頭の色調の変化:視神経乳頭が異常に pale(蒼白)になっている場合、視神経が萎縮していることを示唆しています。

関連疾患

緑内障:眼圧が高いことが原因で、視神経乳頭に凹みが生じることがあります。緑内障では視神経の損傷が進行し、視野が狭くなることがあります。

視神経炎:視神経に炎症が起きることがあり、視神経乳頭の色が赤く腫れたり、視力障害を引き起こすことがあります。

その他視神経が萎縮している場合、脳梗塞や脳腫瘍といった頭蓋内疾患が隠れていることもまれにあります。

対応

視神経乳頭の異常は、緑内障などの重大な疾患の兆候であることが多いため、早期に眼科で診断を受け、必要に応じて眼圧を下げる治療や頭蓋内の検査が行われます。

視神経乳頭陥凹拡大

大きな白丸が視神経乳頭です。その中に白くなっている部分が視神経が陥凹している部分です。
ここが大きくなればなるほど視神経が傷んでいる様な所見となります。

乳頭出血

視神経乳頭から出血している部分があります。乳頭出血は、緑内障の進行の危険因子と言われています。乳頭出血と記載があった場合には緑内障の疑いが強いと思ってください。

5. 黄斑部異常(おうはんぶ いじょう):黄斑変性の疑い、黄斑部ドルーゼンなど

黄斑は網膜の中心部で、最も細かい視覚を担当しています。黄斑部に異常があると、中心視力が低下することがあります。

所見

黄斑浮腫:黄斑部が腫れて見えることがあります。これにより、視力が低下する可能性があります。

黄斑の色の変化(網膜前膜など):加齢や病気により黄斑部が変色することがあります。これが進行すると、視力に大きな影響を与えます。

関連疾患

加齢黄斑変性(AMD):黄斑部に新生血管が現れ、視力が急激に低下することがあります。

糖尿病網膜症:黄斑部に浮腫が見られることがあり、視力に影響を与えます。

対応

黄斑部の異常が見られる場合、特に加齢黄斑変性や糖尿病網膜症の可能性を考慮し、専門的な治療が必要です。状況に応じては抗VEGF療法やレーザー治療が行われることがあります。

黄斑変性

白丸で囲った部分が黄斑部です。通常褐色がかった色調が、まだらな色調になっています。初期であれば自覚症状はありませんが、進行すると徐々に歪んで見える様になったり、中心が見えなくなってしまうこともある怖い病気です。

網膜前膜

上の写真とは色調が違って見えますが、薄く白い膜が張ってしまっています。加齢性の変化や、網膜剥離後に起こりやすいものです。初期の見え方は特に何もありませんが、進行すると歪みやものの大きさが大きく見える様になったりします。

悪化する様であれば、手術で膜を取り除く治療が必要になります。

代表的な疾患をまとめてみましたが、あくまで写真での検査だけでは写真うつりや白内障などで撮影できないなどで疑わしいものは異常ありになることが多いです。自覚症状でなんでもないと思っていても、思わぬ病気が隠れていることもありますので、健診を受けたことで満足せず、異常が指摘された際には精密な検査をすることをお勧めいたします。

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梅の木眼科クリニック
住所 : 神奈川県横浜市保土ケ谷区西谷1-25-21 ポンデロッサ西谷1F・2F
電話番号 : 045-371-2666


横浜市で状態を確認する視力検査

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