症状を改善する新しいドライアイ治療薬 アバレプト点眼液とは〈横浜市 梅の木眼科クリニック〉
2026/02/27
アバレプト点眼液とは?
ドライアイの新しい治療薬を
わかりやすく解説
アバレプトの基本情報
(世界初の新機序)
⏳ 発売準備中
アバレプト点眼液とは?
アバレプト懸濁性点眼液(一般名:モツギバトレプ)は、2025年12月22日に日本で承認されたドライアイ治療の新薬です。 NEW
薬価収載・発売日はまだ発表されていません。発売後に眼科で処方を受けることができるようになります。
これまでのドライアイ点眼薬とはまったく異なる新しい仕組みで効果を発揮します。目の不快感・痛み・しみるといった症状そのものに働きかけることができる点が特徴です。
「ヒアルロン酸やジクアスを使っているけど、まだ目が痛い・ゴロゴロする…」という方。アバレプトは、これまでの「目を潤す」治療では取り切れなかった不快感や痛みへのアプローチが期待されています。
そもそも「ドライアイ」って何?
ドライアイとは、涙液層の安定性が低下する疾患です。目の表面が乾いたり、涙の量が少なくなることで、目に様々な不快症状が現れます。日本では約2,200万人(ドライアイ研究会より)がドライアイと推定されており、スマートフォンやパソコンの普及で年々増加しています。
主な症状
ドライアイには2つのタイプがあります。①涙の「量」が少なくなるタイプ、②涙が蒸発しやすい「質」の問題タイプ(蒸発亢進型)。現在の日本人のドライアイは、後者の蒸発亢進型が多いとされています。
TRPV1とは何か?わかりやすく解説
TRPV1(トリップ ブイワン)は、アメリカのデビッド・ジュリアス博士らによって発見された「感覚受容体(センサータンパク質)」です。 その重要性が認められ、2021年にノーベル生理学・医学賞が授与されました。
辛い食べ物を食べたとき、熱い飲み物を飲んだとき、口の中や喉に「痛い!」「熱っ!」と感じた経験はありませんか? 実はこれ、本当に組織が傷ついているわけではなく、TRPV1が「痛み・熱」と同じ感覚信号を脳に送っているからです。 カプサイシンも43℃以上の熱も、同じ「痛みのセンサー」を使って私たちに警告を発しています。
目の表面(角膜・結膜の上皮細胞)にも TRPV1 が多数存在しています。 健康な目では涙液膜がバリアとなり、外部刺激からTRPV1を守っています。 しかしドライアイになると涙液膜が乱れ、風・乾燥・光・まばたきのたびに直接TRPV1が刺激される状態になります。 これが「目がしみる」「灼熱感」「ゴロゴロする」といったドライアイの不快症状の正体です。
なぜ効くの?作用機序をわかりやすく
アバレプトは TRPV1拮抗薬という新しいタイプの薬です。世界で初めてのメカニズムを持ちます。
アバレプトが効くまでの流れ
目に点眼すると…
目の表面の
TRPV1受容体に
アバレプトが結合
TRPV1が
「遮断」される
刺激の信号が
脳に伝わらない
痛み・しみる・
ゴロゴロ感が
和らぐ
イメージ:痛みの「受け口(センサー)」そのものにフタをするイメージです。
従来薬との違い
これまでのドライアイ治療薬(人工涙液・ヒアルロン酸・ジクアス等)は主に「涙を補う・増やす」ことで症状を改善してきました。一方アバレプトは「痛みのセンサーを直接ブロックする」アプローチです。涙の量が不十分でも、目の不快感が残っている方に新たな選択肢となります。
正しい点眼の方法・コツ
目薬は正しく使うことで効果が最大限に発揮されます。以下の手順を守りましょう。
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手をよく洗う 石けんで手をしっかり洗い、清潔な状態にします。目薬のボトルに細菌が入るのを防ぐためです。
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よく振ってから使う アバレプトは「懸濁性(けんだくせい)」点眼液です。中の薬が沈殿しているため、キャップを閉じたまましっかり振ってから使用してください。
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下まぶたを引いて、1滴点眼する あおむけか、上を向いて、下まぶたを軽く引き下げます。ボトルの先端が直接目や手に触れないよう注意しながら1滴だけ点眼します。
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1〜5分間、目を閉じて目頭を押さえる 点眼後はゆっくり目を閉じ、目頭(鼻の付け根側)を指で軽く押さえます。こうすることで薬が鼻の方へ流れていくのを防ぎ、目への吸収が高まります。
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あふれた液はティッシュで拭き取る 目からあふれた薬液は清潔なティッシュで優しく拭き取りましょう。目をこすらないでください。
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他の点眼薬との間は5分以上あける 他の目薬を使っている場合は、5分以上の間隔をあけてから点眼してください。先に使った目薬が流れ出てしまうのを防ぐためです。
点眼する前にコンタクトレンズを外してください。点眼後は適切な時間(処方指示に従う)が経過してから再装着しましょう。
期待できる効果
アバレプトが特に効果を発揮すると期待されるのは、目の痛み・しみる感じ・ゴロゴロ感が強いドライアイです。
臨床試験データ(国内第Ⅲ相試験)
ドライアイ患者536例を対象にプラセボ(偽薬)と比較した国内臨床試験の結果です。
(国内第Ⅲ相試験)
投与4週後のDEQS
統計的有意差を確認
※DEQS:ドライアイのQOLを評価する質問票スコア。スコアが改善=生活の質が向上を意味します。
副作用について
どの薬にも副作用は起こりえます。アバレプトで報告されている主な副作用を確認しておきましょう。
✅ 比較的よく見られる副作用(1〜5%未満)
- 眼部冷感(目が冷たく感じる)
- 霧視(目がかすむ)
- 冷感(全身への冷たい感覚)
多くは一時的なもので軽度です。
⚠️ このような症状が出たらすぐ相談
- 強い目の痛みや刺激感が続く
- 視力の急激な変化
- アレルギー症状(発疹・かゆみ等)
- 目の充血が続く・悪化する
気になる症状は主治医・薬剤師に報告を。
アバレプトの副作用として「目が冷たく感じる」という症状(眼部冷感)が報告されています。これはTRPV1というセンサーが温度刺激にも関係しているためで、多くの場合一時的なものです。点眼直後に冷たさを感じることがあっても、すぐに治まることがほとんどです。
他のドライアイ治療との比較
アバレプトと主なドライアイ治療薬の特徴を比較します。
| 比較項目 | アバレプト | ジクアス (ジクアホソル) |
ヒアルロン酸 点眼 |
人工涙液 |
|---|---|---|---|---|
| 主な作用 | 痛みセンサーをブロック | 涙液・ムチン分泌促進 | 目を潤す・保護 | 涙を補充 |
| 目の痛み・しみる改善 | ◎ | △ | △ | × |
| 涙液を増やす・補う | △ | ◎ | ○ | ◎ |
| コンタクト使用者 | 要相談 | 外して使用 | 外して使用 | 使用可能なものも |
| 新規性 | 世界初の機序 | 既存薬 | 既存薬 | 既存薬 |
| 使用回数の目安 | 処方指示に従う | 1日6回 | 1日5〜6回 | 適宜 |
添付文書上、他のドライアイ点眼薬との明確な併用禁忌はありません。医師の判断により、ジクアスなどの既存薬と組み合わせて使う可能性もあります。必ず主治医にご相談ください。
使用時の注意点
- アバレプトの成分にアレルギーがある方
- 妊娠中・授乳中・妊娠の可能性がある方
- 現在他の薬(点眼薬を含む)を使用中の方
- 他の目の病気(緑内障、白内障など)を抱えている方
- 小児(子ども)
保存方法
直射日光や高温多湿を避け、涼しい場所で保管してください。開封後は処方された指示に従って使い切るようにしましょう。
飲み忘れた場合
点眼し忘れた場合は、気づいたときにすぐ1回分を点眼してください。ただし次の点眼時間が近い場合は、その回をスキップして次の定刻に使用してください。2回分をまとめて点眼しないでください。
症状が改善したと感じても、医師の指示なく勝手に点眼を中止しないでください。継続的な使用が効果の維持につながる場合があります。
よくある質問
アバレプト承認日:2025年12月22日 / 記事作成:2026年2月
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神奈川県横浜市保土ケ谷区西谷1-25-21 ポンデロッサ西谷1F・2F
電話番号 :
045-371-2666
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