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目の充血の原因と8つの効果的な対策〜眼科医が解説

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目の充血の原因と8つの効果的な対策〜眼科医が解説

目の充血の原因と8つの効果的な対策〜眼科医が解説

2025/11/19

目の充血とは?その仕組みと種類

突然、鏡を見たら目が真っ赤になっていた経験はありませんか?
目の充血は多くの方が経験する症状です。白目の部分に血管が浮き出て赤くなる状態を指します。

充血は単なる見た目の問題ではなく、目からのSOSサインかもしれません。
眼科医として15年以上診療してきた経験から、充血の仕組みと対処法についてお伝えします。

目の充血は、白目の表面にある血管が拡張して血流量が増えることで起こります。通常は目立たない細い血管が、何らかの原因で拡張し、赤く見えるようになるのです。

目の充血には大きく分けて「結膜充血」と「毛様充血」の2種類があります。それぞれ見た目や原因が異なるため、区別することが重要です。

結膜充血:白目の周辺部が網目状に赤くなる

結膜充血は、白目の表面を覆う結膜の血管が拡張して起こります。
特徴的なのは、白目の周辺部が網目状に鮮やかな赤色になることです。まぶたの裏側も赤くなることが多く、目やにや涙が増えることもあります。

この充血は、アレルギーや細菌・ウイルスによる炎症、ドライアイ、目の疲れなどが主な原因です。
目が疲れると、酸素や栄養を運ぼうとする血流が増えるため、血管が拡張して充血するのです。

毛様充血:黒目の周辺が青紫色に充血

毛様充血は、黒目(角膜)の周りが網目状に赤くなるのが特徴です。黒目から離れるほど赤みは薄くなり、青紫色を帯びた充血になります。まぶたの裏側までは充血せず、涙は出ても目やには少ないことが多いです。

角膜炎やぶどう膜炎、強膜炎、急性緑内障発作などの眼疾患が原因となることが多く、強い痛みを伴うこともあります。
この場合は早急に眼科を受診することをお勧めします。

目の充血を引き起こす8つの主な原因

目の充血はさまざまな原因で起こります。日常生活で経験する一般的な原因から、医療的な対応が必要な原因まで、主なものを8つご紹介します。
それぞれの原因を理解することで、適切な対策を取ることができます。自分の症状がどれに当てはまるか確認してみましょう。

1. 目の疲れ・眼精疲労

現代人に最も多い充血の原因は、長時間のパソコンやスマホ使用による目の酷使です。
目を酷使すると、筋肉が緊張して血流が悪くなります。すると、目に酸素や栄養を届けようと血管が拡張し、充血が起こるのです。

目の疲れからくる充血は、休息を取ることで改善することが多いですが、慢性化すると眼精疲労となり、頭痛や肩こりなどの症状も現れます。

2. ドライアイ

目の表面を潤す涙が不足すると、角膜や結膜が乾燥して炎症を起こします。これがドライアイです。
乾燥した目は外部刺激に弱くなり、防御反応として血管が拡張して充血します。

エアコンの効いた部屋での長時間作業や、コンタクトレンズの長時間装用、加齢によって涙の分泌量が減ることなどが原因となります。
ドライアイによる充血は、人工涙液の点眼や室内の湿度調整、まばたきを意識することで改善できることが多いです。

3. アレルギー性結膜炎

花粉やハウスダストなどのアレルゲンが目に入ると、アレルギー反応として結膜が炎症を起こします。これがアレルギー性結膜炎です。

特に、花粉の飛散量が多いと予想されており、目の充血に悩む方が増えています。充血だけでなく、強いかゆみや涙、まぶたの腫れなどを伴うのが特徴です。
かゆみのあまり目をこすると症状が悪化するため、抗アレルギー点眼薬の使用や、アレルゲンを避ける対策が重要です。

4. 感染性結膜炎

ウイルスや細菌による感染で起こる結膜炎です。特に夏場に流行する「はやり目(流行性角結膜炎)」や「プール熱(咽頭結膜熱)」は、アデノウイルスが原因で強い感染力を持ちます。
充血に加えて、目やにが多く出たり、まぶたが腫れたりするのが特徴です。はやり目の場合は目の症状が強く、プール熱の場合は高熱やのどの痛みも伴います。

感染拡大を防ぐため、タオルの共用を避け、手洗いを徹底することが大切です。症状が出たら早めに眼科を受診しましょう。

5. コンタクトレンズによる刺激

コンタクトレンズの装用は目に負担をかけます。特に長時間の装用や、レンズの汚れ、不適切なケア方法などが原因で充血が起こることがあります。
レンズと角膜・結膜の摩擦や、レンズによる酸素不足、目の乾燥などが充血の原因となります。

充血が続く場合は、レンズの装用を中止して目を休ませ、必要に応じて眼科を受診しましょう。日常的には装用時間を守り、定期的なレンズ交換と適切なケアを心がけることが重要です。

6. 紫外線による角膜炎

強い紫外線を浴びると、角膜が日焼けのような状態になることがあります。これを光線角膜炎(電気性眼炎)といいます。

特にプールや海、雪山など、水面や雪面からの反射光も加わる環境では、紫外線の影響が強くなります。
充血に加えて、強い痛みや涙、まぶしさを感じることが特徴です。紫外線にあたった後、数時間して充血が出てくることが多いです。

予防には、UVカット機能のあるサングラスやゴーグルの着用が効果的です。症状が出た場合は、冷たいタオルで目を冷やし、早めに眼科を受診しましょう。

7. 翼状片・瞼裂斑

翼状片は、白目の組織が異常に増殖して黒目の方向に伸びていく病気です。
瞼裂斑は白目が盛り上がって黄色く濁る状態で、どちらも紫外線の影響で発症するとされています。

充血は初期症状として現れ、翼状片が進行すると視界の邪魔になることもあります。瞼裂斑は涙が行き渡らない部分ができてドライアイを起こし、充血や異物感を強く感じるようになります。

これらの症状が見られる場合は、眼科での診察と適切な治療が必要です。

8. 眼疾患(緑内障・ぶどう膜炎など)

急性緑内障発作やぶどう膜炎などの眼疾患でも充血が起こります。特に急性緑内障発作は、眼圧が急激に上昇し、激しい痛みや吐き気、視力低下などを伴う緊急事態です。

ぶどう膜炎は、目の中間層(ぶどう膜)に炎症が起きる病気で、充血に加えて痛みや視力低下などの症状が現れます。
これらの症状が疑われる場合は、すぐに眼科を受診してください。早期治療が視力を守るために非常に重要です。

目の充血に効果的な8つの対策

目の充血は適切な対策で改善できることが多いです。ここでは、原因別に効果的な対策をご紹介します。日常生活に取り入れやすいものから、症状に応じた専門的な対処法まで、8つの方法をお伝えします。

1. 十分な休息と睡眠

目の疲れによる充血には、何よりも休息が大切です。デジタルデバイスの使用を一時中断し、目を閉じて休ませましょう。また、質の良い睡眠は目の回復に不可欠です。 20-20-20ルールを実践してみてください。
20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒間見るというシンプルな方法です。近くを見続ける目の筋肉を緩め、充血を防ぐ効果があります。

私の患者さんで、IT企業に勤める30代の男性は、1日10時間以上のPC作業で慢性的な充血に悩んでいました。
休憩時間に目を閉じて5分間の瞑想を取り入れたところ、充血が大幅に改善したケースがあります。

2. 適切な点眼薬の使用

充血の原因に応じた点眼薬を選ぶことが重要です。ただし、充血除去薬(血管収縮薬)の長期使用は、かえって充血を悪化させる「リバウンド現象」を引き起こすことがあるため注意が必要です。

アレルギーによる充血には抗アレルギー点眼薬、ドライアイには人工涙液、疲れ目には疲れ目用の点眼薬が適しています。2025年には、抗炎症成分を配合した新しいタイプの点眼薬も登場しています。

どの点眼薬が自分に合うか迷った場合は、眼科医や薬剤師に相談することをお勧めします。

3. 温冷療法の活用

目の状態に応じて、温めるか冷やすかを選びましょう。
疲れ目やドライアイによる充血には、目元を温めることで血行が促進され、疲労物質が流れ出します。市販のホットアイマスクや、温かいタオルで目を覆うのが効果的です。

一方、アレルギーや炎症による充血の場合は、冷たいタオルで目を冷やすと炎症を抑える効果があります。ただし、冷やしすぎると血流が悪くなるので、5分程度にとどめましょう。

4. 目のツボマッサージ

目の周りには、疲れを取るツボがいくつかあります。特に効果的なのは以下の3つです。

晴明(せいめい):目頭の内側と鼻の付け根の間にあるくぼみ
攅竹(さんちく):眉頭の内側で目の上の骨縁のくぼみ
太陽:こめかみの下の少しくぼんだ部分

指の腹で優しく5〜10秒間押し、5秒間緩めるを3回ほど繰り返しましょう。力を入れすぎないよう注意してください。

5. 環境の調整

目の充血を防ぐには、周囲の環境を整えることも大切です。特に以下の点に注意しましょう。

室内の湿度を50〜60%に保つ(加湿器の活用)
パソコンやスマホの画面の明るさと位置を調整する
定期的に換気して空気を清浄に保つ
花粉やハウスダストが多い季節は空気清浄機を使用する

当院の患者さんで、オフィスワークの40代女性は、デスクに小型の加湿器を置き、目の高さよりやや下にモニターを設置したところ、慢性的な充血が改善したケースがあります。

6. 正しいコンタクトレンズの使用

コンタクトレンズ使用者は、以下のポイントを守ることで充血を防げます。

装用時間を守る(1日使い捨ての場合も12〜14時間以内)
定期的にレンズを交換する
専用の洗浄液でしっかり洗浄・保存する
目が充血している時はメガネに切り替える
定期的に眼科で検査を受ける

コンタクトレンズは自分に合ったものを選ぶことも重要です。定期検査で角膜の状態をチェックし、必要に応じて素材や含水率の異なるレンズに変更することも検討しましょう。

7. 紫外線対策

紫外線による目へのダメージを防ぐには、UVカット機能のあるサングラスやゴーグルの着用が効果的です。
特に水辺やスキー場など、反射光の強い場所では必須です。

サングラスを選ぶ際は、UVカット率99%以上のものを選び、目の周りを覆うようなデザインが理想的です。帽子やサンバイザーと併用するとさらに効果的です。

日常的な紫外線対策が、将来の白内障や翼状片などのリスク低減にもつながります。

8. 目に良い栄養素の摂取

目の健康を維持するには、適切な栄養素の摂取も重要です。特に以下の栄養素が効果的です。

ビタミンA(レバー、ニンジン、ホウレンソウなど)
ビタミンB2(レバー、卵、乳製品など)
ルテイン・ゼアキサンチン(ケール、ホウレンソウ、ブロッコリーなど)
オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油など)
ビタミンC・E(柑橘類、ナッツ類など)

バランスの良い食事を心がけ、必要に応じてサプリメントの活用も検討しましょう。ただし、サプリメントに頼りすぎず、食事からの摂取を基本とすることが大切です。

目の充血が続く場合は眼科受診を

目の充血は多くの場合、適切なケアで改善します。しかし、以下のような場合は早めに眼科を受診することをお勧めします。

充血が1週間以上続く
強い痛みや視力低下を伴う
光をまぶしく感じる
目やにが多く出る
急に視界がぼやける
頭痛や吐き気を伴う

特に毛様充血(黒目の周りの充血)は、角膜炎やぶどう膜炎、緑内障などの可能性があり、早期治療が重要です。自己判断せず、専門医の診察を受けましょう。

目の充血は、体からのサインです。日常生活での適切なケアと、必要に応じた医療機関の受診で、健やかな目の状態を保ちましょう。

当院では、目の充血をはじめとする様々な眼の症状に対応しています。お気軽にご相談ください。
詳しい情報や診療時間については、梅の木眼科クリニックの公式サイトをご覧ください。

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定 眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

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