白内障と老眼の違いとは?間違えやすい症状と見極めポイントを徹底解説
2026/02/10
白内障と老眼・・・混同されやすい二つの症状
「最近、目が見えにくくなった」と感じたとき、多くの方が真っ先に思い浮かべるのは「老眼」ではないでしょうか。
しかし、その症状の背景には白内障が隠れている可能性があります。
白内障と老眼は、どちらも加齢に伴って現れる目の変化ですが、原因も治療法もまったく異なる疾患です。
白内障は水晶体が濁ることで視界全体がかすみ、光がまぶしく感じられるようになります。一方、老眼は水晶体の弾力低下によって近くのものにピントが合いにくくなる状態です。
両者は視力低下という共通点があるため、混同されがちですが、適切な対処を行うためには正確な見極めが欠かせません。
この記事では、眼科専門医の視点から、白内障と老眼の違い、それぞれの特徴的なサイン、そして適切な対処法について詳しく解説します。
白内障とは?水晶体の濁りが引き起こす視界の変化
白内障は、目の中にある水晶体が白く濁ってしまう疾患です。
水晶体は本来、カメラのレンズのように透明で、外から入ってくる光を集めて網膜に像を映す役割を果たしています。
この水晶体が濁ると、光が正常に通過できなくなり、視界全体がかすんだり、光が乱反射してまぶしく感じたりするようになります。
白内障の主な原因
白内障の最も一般的な原因は加齢です。40代から発症が始まり、60代では約70%、80代ではほぼ100%の方に何らかの白内障の症状が認められます。
しかし、加齢だけが原因ではありません。紫外線の長期的な曝露、アトピー性皮膚炎、糖尿病などの全身疾患も白内障の発症リスクを高めます。近年では、これらの要因によって若年層での発症も増加傾向にあります。
白内障の特徴的な症状
白内障には、老眼とは明確に異なる特徴的な症状があります。
視界全体がかすむ・・・霧がかかったように全体的に見えにくくなります
光がまぶしく感じる・・・晴れた日の屋外や車のヘッドライトが異常にまぶしく感じられます
ものが二重に見える・・・片目で見たときに月や街灯が二重、三重に見えることがあります
色の見え方が変わる・・・色がくすんで見えたり、黄色っぽく見えたりします
眼鏡の度数が合わなくなる・・・眼鏡を新調してもすぐに見えにくくなります
これらの症状は、水晶体の濁り方や進行度によって個人差があります。
濁りが水晶体の中央部分に広がるまで、白内障であることに気づかないケースも少なくありません。
老眼とは?ピント調節機能の低下による近見困難
老眼は、医学的には「老視」と呼ばれる加齢に伴う自然な生理現象です。
水晶体の弾力性が低下し、毛様体筋という目の筋肉の働きが衰えることで、近くのものにピントを合わせる能力が低下します。これは誰にでも起こる変化であり、病気ではありません。
老眼が起こるメカニズム
若い頃の水晶体は柔軟性に富んでおり、毛様体筋が水晶体を引っ張ったり緩めたりすることで、厚みを変えてピントを調節しています。
しかし、40歳頃から水晶体は徐々に硬くなり、毛様体筋が引っ張っても厚みが変わりにくくなります。その結果、近くのものにピントが合わせづらくなり、老眼の症状が現れるのです。
老眼の典型的な症状
老眼には、白内障とは異なる特徴的なサインがあります。
近くの細かい文字が見えにくい・・・新聞や本を読むときに目を離さないと見えません
ピント調節に時間がかかる・・・遠くから近くへ視線を移したとき、ぼやけた状態から徐々にはっきり見えてきます
暗い場所で文字が読みにくい・・・照明が不十分な環境では特に見えづらくなります
目が疲れやすい・・・近くを見続けると目の奥が重く感じられます
老眼の症状は、近距離の作業時に顕著に現れるのが特徴です。一方、遠くを見るときには比較的クリアに見えることが多く、この点が白内障との大きな違いとなります。
白内障と老眼の決定的な違い・・・見極めの5つのポイント
白内障と老眼を正確に見分けることは、適切な対処につながります。 ここでは、両者を区別するための具体的なポイントを解説します。
ポイント1:視界のかすみ方の違い
白内障は、視界全体がかすんだり、霧がかかったように見えます。距離に関係なく、遠くも近くも同じようにぼやけて見えるのが特徴です。
老眼は、近くのものだけがぼやけて見えます。遠くを見るときは比較的はっきり見えるため、距離によって見え方が変わる点が白内障との違いです。
ポイント2:光のまぶしさの有無
白内障では、水晶体の濁りによって光が乱反射するため、晴れた日の屋外や車のヘッドライト、街灯などが異常にまぶしく感じられます。
老眼では、このような光のまぶしさは通常現れません。まぶしさを強く感じる場合は、白内障を疑う重要なサインとなります。
ポイント3:眼鏡による矯正効果
老眼は、老眼鏡や遠近両用メガネを使用することで、近くのものがはっきり見えるようになります。レンズの度数調整で症状を補正できるのが老眼の特徴です。
一方、白内障は眼鏡を新調しても視界のかすみや歪みが改善されません。これは、水晶体の濁りという物理的な問題が原因であるため、レンズでは補正できないからです。
ポイント4:ものが二重三重に見える
白内障では、片目で見たときにものが二重や三重に見えることがあります。これは水晶体の濁りが不均一であるために光が散乱して起こる現象です。
老眼では、このような症状は通常現れません。ピントが合いにくいだけで、ものが重なって見えることはありません。
ポイント5:色の見え方の変化
白内障が進行すると、水晶体が黄色く変化し、色がくすんで見えたり、黄色っぽく見えたりします。80代になると、茶色のサングラスを通して見ているような状態になることもあります。
老眼では、色の見え方に変化は起こりません。色の識別がしづらくなった場合は、白内障の可能性を考える必要があります。
白内障の対処法・・・日帰り手術による根本的な治療
白内障は、点眼薬による進行抑制も可能ですが、根本的な治療は手術のみです。
ただし、すべての白内障がすぐに手術を必要とするわけではありません。見えにくさによって日常生活にどの程度支障が出ているかが、手術を検討する重要な判断基準となります。
手術を検討すべきタイミング
以下のような状況になったら、手術を検討する時期と考えられます。
眼鏡を変えても視力が改善しない
新聞や本が読みづらく、日常生活に不便を感じる
車の運転が怖くなってきた
趣味や仕事に支障が出ている
免許更新の視力検査に不安がある
梅の木眼科クリニックでは、患者様の生活状況やご希望を丁寧に伺い、一人ひとりに最適な治療タイミングをご提案しています。
日帰り白内障手術の特徴
当院で行う白内障手術は、局所麻酔による短時間の日帰り手術を基本としています。手術時間は約10分程度で、創口は縫合せず自然に閉じる方法を採用しているため、術後の回復も比較的早いのが特徴です。
多くの方が手術翌日から日常生活に近い状態で過ごすことができます。
手術に対する不安が強い方には、緊張を和らげる目的で笑気麻酔の導入も行っており、安心して治療を受けていただける環境を整えています。
眼内レンズの選択肢
白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入します。当院では、患者様のライフスタイルに合わせて以下のレンズをご提案しています。
単焦点眼内レンズは、保険診療で使用される標準的なレンズです。一つの距離にピントが合うため、遠くを見るときと近くを見るときで眼鏡が必要になります。
多焦点眼内レンズは、眼鏡への依存を減らしたい方に適したレンズです。複数の距離にピントが合うように設計されており、日常生活での眼鏡使用を大幅に減らすことができます。
どのレンズが最適かは、患者様の見え方のご希望や生活環境によって異なります。
当院では、十分な説明を行い、納得いただいたうえでレンズを選択していただくことを重視しています。
老眼の対処法・・・眼鏡やコンタクトレンズによる矯正
老眼は自然な加齢現象であるため、完全に治すことはできません。 しかし、適切な矯正を行うことで、快適な視生活を維持することは十分に可能です。
老眼鏡による矯正
老眼の最も一般的な対処法は、老眼鏡の使用です。近くのものを見るときに着用することで、ピント調節機能を補助し、はっきりと見えるようになります。
最近では、一本で近方も遠方も見える遠近両用メガネも広く使用されています。
ただし、老眼が進行してから遠近両用メガネを使用すると、視界が歪んで見えたり、ピントを合わせにくくなったりすることがあります。
そのため、老眼の症状が現れ始める40歳前後から早めに対処することが理想的です。
多焦点眼内レンズによる老眼治療
白内障が軽度でも老眼で苦労されている方には、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術という選択肢もあります。
この方法は、白内障と老眼を同時に治療できるため、眼鏡への依存を大幅に減らすことができます。当院では、患者様のご希望や目の状態を総合的に判断し、最適な治療方針をご提案しています。
見えにくさを感じたら・・・早めの眼科受診が大切
「最近見えにくい」と感じたとき、それが老眼なのか白内障なのかを自己判断するのは困難です。
白内障は放置すると視力の低下が進み、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、緑内障などの合併症を引き起こすリスクもあります。
また、進行した白内障は手術の難易度が上がり、回復にも時間がかかる可能性があります。
一方、老眼だと思い込んでいたら実は白内障だった、というケースも少なくありません。早期に正確な診断を受けることで、適切な治療や対処が可能になります。
梅の木眼科クリニックの診療体制
当院では、白内障の早期発見から治療、術後のフォローまで一貫した医療提供を行っています。年齢や進行度にかかわらず、患者様一人ひとりの目の状態と生活環境を丁寧に把握したうえで、最適な治療方針をご提案しています。
万が一の合併症にも対応できる硝子体手術設備を整えており、より安全性を重視した白内障手術体制を構築しています。
手術後も、翌日・数日後・1週間後・1か月後・3か月後と段階的に診察を行い、見え方や回復の状態を丁寧に確認しています。
「この症状は大丈夫か」「いつから普段通り生活できるのか」といった不安も、その都度相談していただけるため、安心して回復期間を過ごしていただけます。
まとめ・・・白内障と老眼の違いを理解し、適切な対処を
白内障と老眼は、どちらも加齢に伴って現れる目の変化ですが、原因も症状も治療法もまったく異なります。
白内障は水晶体の濁りによって視界全体がかすみ、光がまぶしく感じられる疾患です。根本的な治療には手術が必要ですが、適切なタイミングで手術を受けることで、視力の回復が期待できます。
老眼は水晶体の弾力低下によって近くのものにピントが合いにくくなる自然な現象です。
老眼鏡や遠近両用メガネで矯正することで、快適な視生活を維持できます。
「年齢のせいだから仕方ない」と諦める前に、まずは眼科を受診して正確な診断を受けることが大切です。見えにくさの原因を正しく理解し、適切な対処を行うことで、日常生活の快適さを取り戻すことができます。
横浜市で白内障や老眼にお悩みの方は、梅の木眼科クリニックまでお気軽にご相談ください。
患者様の目と日常生活に寄り添った治療を、これからも提供してまいります。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

