白内障は冬に悪化しやすい?寒さ・乾燥が目に与える影響を解説
2026/02/11
「最近、光がまぶしく感じる」「視界が白くかすむ気がする」・・・こうした症状は、白内障の初期サインかもしれません。
白内障は加齢とともに誰にでも起こりうる目の病気ですが、実は冬という季節が症状の感じ方に影響を与えることがあります。
寒さと乾燥が厳しい冬は、目にとって過酷な環境です。暖房による室内の乾燥、屋外との激しい温度差、空気中の湿度低下など、さまざまな要因が重なり合い、目の不調を引き起こしやすくなります。
この記事では、白内障と冬の環境との関係について、眼科専門医の視点から詳しく解説します。
白内障そのものが冬に悪化するわけではない
まず結論からお伝えすると、**白内障という病気自体が冬に進行しやすくなるわけではありません**。
白内障は、目の中の水晶体が年齢とともに濁っていく病気です。この濁りは季節によって進行速度が変わることはなく、時間の経過とともにゆっくりと進んでいきます。
ただし、冬特有の環境要因によって、白内障の症状が「より感じやすくなる」「見えにくさが増す」ことはあります。
冬に見えにくさを感じやすくなる理由
冬になると「急に見えづらくなった」と感じて受診される方が増えます。
これは白内障が急激に進行したのではなく、**冬特有の環境が目の状態に影響を与えている**ためです。特に白内障がすでに進行している方は、乾燥によるかすみと白内障のかすみが重なり、視界の質が大きく低下することがあります。
また、暖房で乾燥した室内と屋外の寒暖差により、ピント調節機能がうまく働かなくなることもあります。近視が強い20〜40代の方でも、この時期に眼精疲労や頭痛を訴えるケースが少なくありません。
冬に起こりやすい目のトラブル
冬は白内障以外にも、さまざまな目のトラブルが起こりやすい季節です。
気温の低下や空気の乾燥は、目の表面だけでなく、目の奥にある血管や神経にも影響を及ぼします。
ここでは、冬に特に注意すべき目の病気について解説します。
ドライアイ(乾燥性角結膜炎)
冬の乾燥した空気に暖房が加わると、室内の湿度は20〜30%台まで下がることがあります。
この環境では、目の表面を覆っている涙があっという間に蒸発してしまいます。さらに、気温が下がるとまぶたの縁にある「マイボーム腺」という油分を出す器官の働きが低下します。
涙は通常、一番外側を油の膜が覆うことで蒸発を防いでいますが、寒さでこの油分が固まりやすくなり、分泌量が減ることで涙が非常に蒸発しやすい状態になります。
パソコンやスマートフォンを長時間見ていると、まばたきの回数が通常の3分の1にまで減少することが知られています。
まばたきが減ると涙の分泌が少なくなり、目の表面が乾燥してゴロゴロする、充血しやすい、コンタクトレンズがずれやすいといった症状が現れます。
網膜血管閉塞症
気温の大きな変化は血管に負担をかけます。
脳卒中や心筋梗塞が冬に増えるのと同様に、目の奥にある網膜に通っている動脈や静脈が閉塞すると、急激な視力低下を引き起こします。動脈閉塞の場合は治療が非常に難しく、静脈閉塞の場合でも程度によってはレーザー治療などが必要になります。
特に高血圧や糖尿病、動脈硬化のある方は注意が必要です。
結膜下出血
結膜(白目)の血管が切れて、白目が真っ赤になる状態です。
寒暖差による血管への負担が原因の一つと考えられています。
自覚症状はほとんどなく、鏡を見たり人に指摘されたりして気づくことが多いです。見た目に驚きますが、視力に影響はなく、出血は2週間程度で自然に吸収されます。
緑内障の眼圧上昇
気温の低下で眼圧が上昇することがあります。
眼圧が高くなると、網膜の視細胞や視神経がダメージを受け、緑内障の原因となることがあります。緑内障は自覚症状がほとんどないため、40歳を過ぎたら定期的に眼科専門医で検診を受けることが大切です。
冬の目の乾燥を放置するリスク
「ちょっと乾燥するだけ」と軽く考えていると、取り返しのつかないトラブルに発展することがあります。
最も多いのが「角膜上皮障害」です。涙のクッションがなくなった状態でまばたきを繰り返すことで、黒目の表面(角膜)に無数の細かい傷がつきます。ここから細菌やウイルスが侵入すると、角膜感染症を引き起こし、最悪の場合は視力が低下する恐れもあります。
また、冬場は免疫力も低下しがちです。
乾燥によってバリア機能が落ちた目は、結膜炎などの感染症にもかかりやすくなります。
さらに、乾燥による見えにくさは、頭痛や肩こりといった全身の不調にもつながります。
白内障がある方は特に注意が必要
すでに白内障が進行している方は、乾燥による症状がさらに重なることで、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
「夕方になると見えにくい」「運転が不安になってきた」「新聞の文字が読みづらい」といった症状が冬に強く感じられる場合は、白内障の進行と乾燥の両方が影響している可能性があります。
こうした症状を我慢せず、早めに眼科を受診することが大切です。
自宅やオフィスでできる冬の目のケア
薬を使わずにできる環境づくりとセルフケアが重要です。
日常生活の中で少し意識を変えるだけで、冬の目のトラブルを大きく減らすことができます。
加湿を徹底する
加湿器を使用し、室内の湿度を50〜60%に保ちましょう。
加湿器がない場合は、濡れタオルを干すだけでも効果があります。デスクワーク中心の方は、卓上加湿器を活用するのもおすすめです。
エアコンの風を避ける
暖房の風が顔に直接当たらないよう、風向きを調整してください。
風が当たると、涙の蒸発スピードが格段に早まります。オフィスでは座席の位置を変えるだけでも効果があります。
目を温める(温罨法)
蒸しタオルやホットアイマスクで目を温めると、マイボーム腺の詰まりが解消され、質の良い油分が分泌されるようになります。
1日1回、5分程度行うのがおすすめです。就寝前に行うと、リラックス効果も得られます。
意識的なまばたき
スマホやパソコンを見ていると、まばたきの回数が激減します。
「パチパチ」と軽くするだけでなく、時々「ギューッ」と強く目をつぶるまばたきを行うと、マイボーム腺から油分が出やすくなります。
20分ごとに20秒間、約6メートル先を見る「20-20-20ルール」も効果的です。
目に必要な栄養を摂る
ルテインやアスタキサンチンは、目の疲れを軽減し、ブルーライトのダメージを防ぐ働きがあります。
ルテインが多い食品には、ほうれん草、ブロッコリー、卵黄があります。アスタキサンチンが多い食品には、鮭、エビ、カニがあります。
食事で補えない場合は、サプリメントを活用するのも一つの方法です。
こんな症状があれば眼科を受診してください
市販の目薬を使っても改善しない場合や、以下の症状がある場合は、早めに眼科専門医を受診してください。
目の奥が痛む
急激な視力低下がある
光がまぶしく感じるようになった
視界が白くかすむ
夕方になると極端に見えにくくなる
目の充血が続く
涙が止まらない
ゴロゴロとした異物感が続く
特に白内障が進行している方は、冬の見えにくさを「季節のせい」と放置せず、現在の目の状態を確認することが大切です。
白内障手術を検討するタイミング
白内障の手術は、「見えにくさで困っているかどうか」が大切な判断基準になります。
メガネを変えても見えにくい、老眼鏡をかけても新聞が読みづらい、車の運転が怖くなってきた、趣味や仕事に支障が出ている・・・こうした生活の変化があれば、手術を検討する時期かもしれません。
当院では、患者様一人ひとりの目の状態と生活環境を丁寧に把握したうえで、最適な治療方針をご提案しています。
「まだ様子を見たい」「免許更新までに改善したい」など、患者様の事情を尊重した対応を心がけています。
梅の木眼科クリニックの白内障治療
当院では、日帰り白内障手術を行っています。
手術時間は約10分程度で、点眼による局所麻酔のため、痛みはほとんどありません。
切開部分も縫合せず、自然に閉じる方法を採用しており、体への負担を抑えています。多くの方が手術翌日から、普段に近い生活を送ることができます。
眼内レンズの選択
白内障手術では、濁った水晶体の代わりに「眼内レンズ」を入れます。
当院では、保険診療の単焦点眼内レンズに加え、眼鏡依存を減らしたい方向けの多焦点眼内レンズ(自由診療)をご用意しています。
それぞれの見え方の違いやメリット・注意点を、生活スタイルに合わせて丁寧に説明し、納得して選択していただけるよう配慮しています。
安心して手術を受けられる環境
「目の手術は怖い」「緊張してしまう」という方のために、当院では笑気麻酔を導入しています。
不安や緊張をやわらげながら手術を受けられる体制が整っているため、初めての方や不安が強い方でも安心してご相談いただけます。
また、万が一の合併症にも対応できる硝子体手術設備を整えており、より安全性を重視した白内障手術体制を構築しています。
術後のフォロー体制
白内障手術は、手術をして終わりではありません。
当院では、術後翌日・数日後・1週間後・1か月後・3か月後と、段階的に診察を行い、見え方や回復の状態を丁寧に確認します。
「この症状は大丈夫?」「いつから普段通り生活できる?」といった不安も、その都度相談できるため、安心して回復期間を過ごせます。
まとめ
白内障そのものが冬に悪化するわけではありませんが、寒さと乾燥という冬特有の環境が、見えにくさを感じやすくさせることがあります。
特に白内障がすでに進行している方は、乾燥によるかすみと白内障のかすみが重なり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
加湿や目を温めるケア、意識的なまばたきなど、日常生活でできる対策を取り入れることで、冬の目のトラブルを大きく減らすことができます。
「年齢のせいだから仕方ない」と諦める前に、まずは相談してみることで、日常生活の快適さを取り戻せる可能性があります。
横浜市で白内障治療をご検討の方は、梅の木眼科クリニックにお気軽にご相談ください。
患者様の目と日常生活に寄り添った治療を、これからも提供してまいります。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

