スマホと飛蚊症の関係とは?目に負担をかける使い方と注意点
2026/02/12
視界に浮かぶ黒い影・・・それは飛蚊症かもしれません
スマホを見ているとき、視界に黒い点や糸くずのようなものが浮かんで見えたことはありませんか?
明るい画面を見つめていると特に気になるこの症状。実は「飛蚊症」と呼ばれる目の状態で、多くの方が経験しています。
近年、スマートフォンやタブレットの長時間使用が日常となった現代社会では、目の健康トラブルが急増しており、飛蚊症もその一つとして注目されているのです。
飛蚊症の多くは加齢に伴う自然な変化ですが、中には網膜裂孔や網膜剥離といった視力に影響する病気が原因のこともあります。
スマホの使い方次第では、目への負担が増し、飛蚊症の症状を強く感じやすくなる可能性も指摘されています。
この記事では、眼科専門医の視点から、スマホと飛蚊症の関係性、目に負担をかける使い方、そして健康的なスマホライフを送るための具体的な対策について解説します。
飛蚊症とは何か?基本的な症状と原因
飛蚊症とは、視界の中に虫や糸くず、透明のアメーバのような影が浮いて見える症状です。
目を動かすと影も一緒に動き、まばたきをしても消えないのが特徴です。特に青空や白い壁など、明るい背景を見たときに気づきやすくなります。
飛蚊症の主な原因
飛蚊症の原因は大きく2つに分類されます。
生理的飛蚊症は、多くの方に起こるタイプです。加齢とともに、眼球内のゼリー状の組織である「硝子体」が液状化し、網膜から離れていく後部硝子体剥離が起こります。
このときにできる濁りやコラーゲン線維の塊が、黒い点や糸くずとして影となって見えるのです。
年齢とともに増えやすく、強い近視の方では比較的若くても起こりやすい特徴があります。多くの場合、経過観察で問題ありません。
病的飛蚊症は、注意が必要なケースです。網膜裂孔(網膜に穴が開く)、網膜剥離、硝子体出血(糖尿病や高血圧が原因のことも)、ぶどう膜炎といった目の病気が原因となっている場合があります。
こちらは早期治療が視力を守るポイントとなります。
すぐに受診が必要な症状
以下のような症状がある場合は、網膜トラブルのサインの可能性があります。
飛蚊症の数が急に増えた
ピカピカ光る「光視症」が出てきた
視界の一部が欠ける、黒い影が広がる
見え方が急に変わった
これらは網膜裂孔や網膜剥離の初期症状として現れることがあり、早期発見・早期治療で視力を守ることができます。
スマホ使用が飛蚊症に与える影響とは
スマホの長時間使用と飛蚊症の関係について、多くの方が疑問を持たれています。
結論から申し上げると、スマホ自体が直接的に飛蚊症を引き起こすわけではありません。しかし、スマホの使い方によっては、目の疲労が蓄積し、飛蚊症の自覚症状を強める可能性があるのです。
目の疲労と眼圧変動の関係
スマホやタブレットを長時間使用すると、瞬きの回数が通常の3分の1程度まで減少します。
これにより目の乾燥が進み、眼精疲労を引き起こします。目が疲れると毛様体筋の緊張が続き、眼圧の変動を生じさせることがあります。
この眼圧変動が硝子体の状態に影響を与え、飛蚊症の自覚症状を強める可能性があるのです。
近距離作業が目に与える負担
スマホは通常の読書よりも目に近い約20センチの距離で使用することが多いです。
近くの物を見る時には、手元にピントを合わせる「調節」という作用と同時に、両眼が少し内側に動く「輻輳(ふくそう)」が起こります。
スマホを使用する際には、読書よりも「調節」と「輻輳」が多く働かなくてはならないため、目の負担が増加し、眼精疲労を招きます。
ブルーライトと目の健康
特に注意すべきは就寝前のスマホ使用です。ブルーライトは睡眠の質を下げるだけでなく、目の疲労回復を妨げます。
ブルーライトの長時間曝露は網膜に酸化ストレスを与え、飛蚊症の原因となる硝子体の早期老化を促進する可能性があるとされています。
1日7時間以上デジタル機器を使用している人は、3時間未満の人と比較して眼科受診率が約1.5倍高いというデータもあります。
目に負担をかけるスマホの使い方
日常的に行っている何気ないスマホの使い方が、実は目に大きな負担をかけているかもしれません。
暗い場所でのスマホ使用
寝る前に布団の中でスマホを見る習慣はありませんか?
暗い環境で明るい画面を見ると、瞳孔が開いた状態で強い光を受けることになり、目への刺激が強くなります。また、暗い場所では画面との明暗差が大きくなり、目の調節機能に過度な負担がかかります。
長時間の連続使用
休憩なしでスマホを使い続けることは、目の筋肉を酷使することになります。
特に動画視聴やゲームなど、集中して画面を見続ける作業では、瞬きの回数がさらに減少し、ドライアイや眼精疲労を引き起こしやすくなります。
不適切な姿勢での使用
寝転がってスマホを見たり、極端に近い距離で見たりする姿勢は、目だけでなく首や肩にも負担をかけます。
もともと目が外にずれる傾向にある間欠性外斜視や外斜位の方は、目から20センチの位置にピントを合わせることができても、両眼が少し内側に動く「輻輳」が追いつかず、片目が外側にずれやすくなります。
このような方は、気がつかないうちに片目だけでスマホを見ることになり、目への負担が増加します。
画面の明るさ設定の不適切さ
画面が明るすぎても暗すぎても、目に負担がかかります。
周囲の明るさに合わせて適切な画面輝度に調整することが重要です。自動調整機能を活用するのも効果的な方法です。
飛蚊症を悪化させないための具体的な対策
飛蚊症の症状を悪化させないために、日常生活で実践できる対策をご紹介します。
20-20-20ルールの実践
これは眼科医も推奨する効果的な方法です。
20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒間見るというシンプルなルールです。
スマホやパソコン作業の合間に、定期的に遠くを見ることで、目の調節機能を休ませることができます。タイマーやアプリを活用して、習慣化することをおすすめします。
適切な使用環境の整備
スマホを使用する際は、以下のポイントを意識しましょう。
画面との距離を30〜40センチ程度に保つ
画面の明るさを周囲の環境に合わせて調整する
ブルーライトカットフィルターを活用する
十分な照明のある場所で使用する
適切な姿勢を保つ(背筋を伸ばし、画面を目の高さより少し下に配置)
目を休ませる時間の確保
1時間に1回は画面から目を離し、遠くを見るなど、目をリラックスさせましょう。
また、睡眠を十分にとるのも目の回復に効果的です。目を酷使せず、定期的に休ませることが、飛蚊症の症状を和らげることにもつながります。視界のストレスも軽減されます。
バランスの良い食事を心がける
目の健康を保つためには、栄養面からのアプローチも重要です。
ビタミンA、C、E、そしてルテインや亜鉛など、目の健康を保つ栄養素を意識して摂るようにしましょう。緑黄色野菜や青魚、ナッツ類、果物などを日々の食事に取り入れるのがおすすめです。
食事は毎日の積み重ねが大切なので、無理なく続けられる内容を意識してください。
紫外線対策の徹底
紫外線は目にダメージを与え、飛蚊症の悪化の原因になります。
外出時にはUVカット機能付きのサングラスや帽子を活用しましょう。曇りの日も油断は禁物です。
紫外線対策を怠ると、目の老化が進み、視力の低下につながることもあります。
喫煙を控える
煙草に含まれる有害物質は血流を悪化させ、目の酸素や栄養の供給を妨げます。結果、硝子体の老化が進み、飛蚊症の症状が悪化する可能性があります。
また、喫煙は白内障や黄斑変性などの目の病気のリスクも高めるため、注意が必要です。
定期的な眼科検診の重要性
飛蚊症の多くは生理的なものですが、中には病気が隠れている場合もあります。
早期発見が視力を守る
網膜裂孔や網膜剥離、硝子体出血などの病気が原因となっている場合は、早期治療が視力を守るポイントとなります。
特に、急に黒い影が増えた、光がちらつく、視界が欠けるなどの症状がある場合は、すぐに眼科を受診しましょう。
飛蚊症の悪化を防ぐことが目の健康を守ることにつながります。
定期検診の目安
40歳を過ぎたら、症状がなくても年に1回は眼科検診を受けることをおすすめします。
強い近視の方、家族に緑内障や網膜剥離の既往がある方、糖尿病や高血圧などの全身疾患をお持ちの方は、より頻繁な検診が必要です。
「これくらいで受診していいのかな?」と迷う必要はありません。何もなければ安心できるという点でも、眼科受診には大きな意味があります。
梅の木眼科クリニックでの飛蚊症診療
当院では、飛蚊症のご相談に対して、丁寧な問診と散瞳検査による網膜・硝子体の詳しいチェックを行い、生理的なものか、治療が必要なものかをしっかり見極めます。
「経過観察で大丈夫ですよ」とお伝えできる場合もあれば、必要に応じて適切な治療や専門的な対応をご案内します。
視界に黒い点や糸くずが見えるときは、早めのチェックをおすすめします。
まとめ:健康的なスマホライフを送るために
スマホは私たちの生活を豊かにする便利なツールですが、使い方次第では目の健康リスクになり得ます。
飛蚊症の多くは加齢に伴う自然な変化ですが、スマホの長時間使用による目の疲労が症状を強く感じさせる可能性があります。
20-20-20ルールの実践、適切な使用環境の整備、十分な休息、バランスの良い食事、紫外線対策など、日常生活でできる対策を取り入れることで、目への負担を軽減できます。
また、飛蚊症の数が急に増えた、光視症が出てきた、視界の一部が欠けるなどの症状がある場合は、すぐに眼科を受診してください。早期発見・早期治療で視力を守ることができます。
人生100年時代を生きる私たちにとって、目の健康寿命を延ばすことは、生活の質を保つために非常に重要です。
今日からできることを始めて、健康的なスマホライフを送りましょう。
視界に気になる症状がある方、飛蚊症について詳しく知りたい方は、お気軽に梅の木眼科クリニックまでご相談ください。
患者さん一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を心がけています。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

