片目だけ目がピクピクして治らない原因は?受診の目安を解説
2026/02/12
片目のまぶたがピクピクする・・・その症状、放置していませんか?
「片目のまぶたが急にピクピクし始めた」
こんな経験をされたことはありませんか?
パソコン作業の途中や、ふとした瞬間にまぶたが小刻みに痙攣する。最初は気にならなくても、何度も繰り返すと不安になってきます。
実は、片目のまぶたがピクピクする症状は、多くの方が経験する身近な症状です。
大半は「眼瞼ミオキミア」と呼ばれる良性の状態で、疲労やストレスが原因となっています。数日から数週間で自然に治まることがほとんどです。
しかし、中には注意が必要なケースもあります。症状が両目に広がったり、顔の他の部分にまで痙攣が及んだりする場合は、別の疾患の可能性も考えられます。
この記事では、眼科専門医の立場から、片目のまぶたがピクピクする原因、自宅でできる対処法、そして病院を受診すべきタイミングについて、詳しく解説していきます。
片目がピクピクする主な原因とは
まぶたの痙攣には、いくつかの原因があります。
最も多いのが「眼瞼ミオキミア」です。
これは、まぶたにある眼輪筋という筋肉が不随意に攣縮している状態を指します。上まぶたにも下まぶたにも起こりますが、特に下まぶたに多く見られます。
眼瞼ミオキミアの特徴
眼瞼ミオキミアは、まぶたの一部がさざ波のように小刻みに動く状態です。
通常、片目だけに起こり、数秒から数分程度続きます。1日に何度か繰り返すこともありますが、まぶた全体に広がることはありません。自分の意思で目を開け閉めすることは問題なくできます。
睡眠不足や肉体的・精神的疲労、ストレスなどによって起きると考えられています。パソコンやスマートフォンを長時間使用した後に起こりやすく、現代人に非常に多い症状です。
その他の誘因となる要因
眼瞼ミオキミアを引き起こす要因は、疲労やストレスだけではありません。
カフェインの過剰摂取も原因の一つです。コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインは、神経を興奮させ、まぶたの痙攣を誘発したり悪化させたりします。
また、ドライアイによる目への刺激も関係しています。涙液が不足して目の表面が不安定になると、まぶたの筋肉に負担がかかりやすくなります。
結膜炎などの炎症も同様に、目への刺激となって症状を引き起こすことがあります。
さらに、ビタミンB12の不足が眼瞼ミオキミアに関係している可能性も指摘されています。
ビタミンB12は神経や血液細胞を健康に保つ働きがあるため、不足すると眼瞼の神経で異常が起こりやすくなります。
注意が必要な「眼瞼痙攣」と「片側顔面痙攣」
まぶたのピクピクが、単なる疲れ目では済まないケースもあります。
それが「眼瞼痙攣」と「片側顔面痙攣」です。これらは眼瞼ミオキミアとは異なる病態で、適切な治療が必要になります。
眼瞼痙攣の症状と特徴
眼瞼痙攣は、「まばたきの制御異常」と捉えるとわかりやすいです。
初期段階では、まばたきが増えたり、光をまぶしく感じたりする症状が現れます。病状が進行すると、自分の意思で目を開けることが難しくなり、目を閉じている方が楽という状態になります。
両目に起こることが多いですが、片目だけに見られる場合もあります。40~70代の女性に多く、男性の2~2.5倍の発症率とされています。
眼瞼痙攣の原因ははっきりとわかっていませんが、中枢神経の神経伝達異常が関係していると考えられています。
安定剤、睡眠導入薬、抗精神病薬の服用が誘因になっている場合もあります。
片側顔面痙攣の症状と特徴
片側顔面痙攣は、初期には片側の目の周囲がピクピクと痙攣します。
次第に痙攣する範囲が広がり、頬や口元まで及ぶようになります。
口元まで痙攣が広がると、飲み物を飲む際に口からこぼれるといった現象が起こることもあります。
原因は、顔面の筋肉を動かす顔面神経が、血管によって圧迫されることです。
顔面神経が脳幹から分かれる部分で動脈(ときに静脈)が神経を圧迫し、異常な信号が出てしまうため、顔面の筋肉が勝手に収縮して痙攣を起こします。
人と話したり緊張したりすると起こりやすく、運転中に起こると遠近感がつかみにくくなって困るという方もいます。
自宅でできる対処法
眼瞼ミオキミアの場合、多くは生活習慣の見直しで改善が期待できます。 ここでは、自宅で実践できる具体的な対処法をご紹介します。
目を十分に休ませる
パソコンやスマートフォンの使用時間が長い方は、意識的に目を休ませることが大切です。
当院では「20-20-20ルール」をお勧めしています。これは、20分ごとに20秒間、約6m先を見るという方法です。
近くを見続けることで緊張した毛様体筋をリラックスさせ、眼精疲労を予防できます。
また、1時間作業したら15分程度の休憩を取るなど、こまめな休息を心がけましょう。
目が疲れたと感じたら、その都度目を休ませることが重要です。
目の周囲を温める
まぶたの痙攣を抑えるには、血行促進が有効です。
蒸しタオルなどで目の周囲を温めると、筋肉の緊張がほぐれて症状が和らぐことがあります。40度程度の温かさで、5~10分程度温めるのが目安です。
市販のホットアイマスクを使用するのも良い方法です。就寝前に使用すると、リラックス効果も得られて一石二鳥です。
十分な睡眠時間を確保する
睡眠は、身体の休息だけでなく目を休める重要な役割があります。
昼間酷使した目を、十分な睡眠時間を確保することで休ませることができます。理想的には7~8時間の睡眠を心がけましょう。
寝る前にパソコンやスマートフォンを見ないようにすることも重要です。ブルーライトは睡眠の質を低下させるため、就寝1時間前からは画面を見ないようにしましょう。
疲れたと感じたら、日中の短時間の昼寝も目を休ませるのに有効です。
カフェインの摂取を控える
カフェインをたくさん摂取すると、神経が興奮してまぶたの痙攣が起こりやすくなります。
コーヒーだけでなく、エナジードリンクにも多くのカフェインが含まれているため注意が必要です。まぶたの痙攣が気になる方は、1日のカフェイン摂取量を見直してみましょう。
カフェインレスのコーヒーや、麦茶などのノンカフェイン飲料に切り替えるのも一つの方法です。
ビタミンB12を含む食品を摂取する
ビタミンB12不足が眼瞼ミオキミアに関係している可能性があります。
ビタミンB12を多く含む食品としては、牛レバー、魚介類(特に貝類)、卵、牛乳などがあります。バランスの良い食事を心がけることで、自然とビタミンB12を補給できます。
病院を受診すべきタイミング
では、どのような場合に病院を受診すべきでしょうか?以下のような症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。
十分な休息を取っても改善しない場合
眼瞼ミオキミアは、通常数日から数週間で自然に治まります。
しかし、十分な睡眠を取り、目を休めても1~2か月以上症状が続く場合は、一度眼科を受診することをお勧めします。
背景に他の疾患が隠れている可能性もあります。
症状が両目に広がった場合
片目だけの症状が両目に広がった場合は、眼瞼痙攣の可能性があります。眼瞼痙攣は放置すると症状が進行し、日常生活に支障をきたすこともあります。
早期に適切な治療を受けることが大切です。
顔の他の部分にも痙攣が広がった場合
目の周囲だけでなく、額や口の周りにまで痙攣が広がった場合は、片側顔面痙攣の可能性があります。
片側顔面痙攣は、脳神経外科や神経内科での精密検査が必要になることもあります。
まずは眼科を受診し、必要に応じて専門医を紹介してもらいましょう。
日常生活に支障が出ている場合
症状が軽くても、始終ピクピクしていて集中できない、人と話すのが気になるなど、日常生活に支障が出ている場合は受診を検討しましょう。
運転中に症状が出て遠近感がつかみにくくなるなど、安全面で問題がある場合は特に注意が必要です。
眼科での診察と治療
眼科を受診すると、どのような診察や治療が行われるのでしょうか?
詳細な問診と検査
まず、症状について詳しくお聞きします。
いつから症状が出ているのか、どのような時に症状が出やすいか、生活習慣やお仕事の内容、服用している薬などを確認します。
その後、視力検査・屈折検査・調節機能検査・眼圧測定・細隙灯顕微鏡検査・涙液評価などを組み合わせ、症状の原因を一つひとつ確認していきます。
眼精疲労の背景に、度数の合っていない眼鏡、老視の初期段階、ドライアイ、白内障や緑内障などの疾患が隠れていないかを丁寧に診断します。
眼瞼ミオキミアの治療
眼瞼ミオキミアの場合、基本的には生活習慣の改善が中心となります。
疲れやストレスを溜めないようにし、眼精疲労がある場合には点眼薬で目の疲れを解消します。ドライアイに対する点眼治療や、眼精疲労の改善を目的とした点眼薬・内服薬の処方を行うこともあります。
適切な度数の眼鏡や作業用眼鏡の提案も行います。
特に、パソコン作業が多い方には、作業距離に合わせた眼鏡が有効です。
眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の治療
眼瞼痙攣や片側顔面痙攣の場合、ボツリヌス毒素療法が有効です。
これは、眼周囲の皮膚にボツリヌス毒素Aを製剤にしたものを少量注射して、目をつぶる力を弱める方法です。3分ほどの処置で、比較的安全かつ簡便に行えます。
効果は約3~4か月持続しますが、徐々に効果が薄れてくるため、定期的に注射を繰り返す必要があります。
片側顔面痙攣の場合、症状が重い場合や薬物療法で効果が不十分な場合は、脳神経外科での手術治療が検討されることもあります。
梅の木眼科クリニックでの眼精疲労診療
当院では、眼精疲労を単なる疲れ目として扱わず、医学的な視点から原因を見極めた診療を提供しています。
まぶたのピクピクも、眼精疲労の一症状として現れることがあります。「休んでも治らない目のつらさ」に悩む方は、ぜひ一度ご相談ください。
総合的な検査と診断
当院では、詳細な問診に加え、視力検査・屈折検査・調節機能検査・眼圧測定・細隙灯顕微鏡検査・涙液評価などを組み合わせ、症状の原因を総合的に評価します。
度数の合っていない眼鏡、老視の初期段階、ドライアイ、長時間の近業作業による毛様体筋の過緊張、白内障・緑内障など他の眼疾患の有無、生活環境や生活リズムなど、多角的に確認していきます。
一人ひとりに合わせた治療とアドバイス
検査結果をもとに、患者様の状態に合わせた治療を提案します。
適切な度数の眼鏡・作業用眼鏡の提案、ドライアイに対する点眼治療、眼精疲労の改善を目的とした点眼薬・内服薬の処方、デジタル機器使用時の目の使い方・休憩方法の指導、日常生活で実践できるセルフケアのアドバイスを行います。
特に、20-20-20ルールや作業環境の調整など、実践しやすい方法を具体的にお伝えしています。薬に頼るだけでなく、生活習慣や目の使い方まで含めてサポートすることを大切にしています。
院長が一貫して対応
当院では、院長が診察から治療、経過観察まで一貫して対応しています。
小さなお子様からご高齢の方まで、幅広い年代の目の悩みに対応し、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供しています。
「これくらいで受診していいのかな?」と感じたときこそ、相談のタイミングです。
目の疲れや不調が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
片目のまぶたがピクピクする症状は、多くの場合「眼瞼ミオキミア」という良性の状態です。
疲労やストレス、睡眠不足、カフェインの過剰摂取などが原因となり、数日から数週間で自然に治まることがほとんどです。
目を休める、十分な睡眠を取る、カフェインを控えるなど、生活習慣の見直しで改善が期待できます。
しかし、十分な休息を取っても1~2か月以上症状が続く場合、症状が両目に広がった場合、顔の他の部分にも痙攣が広がった場合は、眼瞼痙攣や片側顔面痙攣の可能性があります。
これらは適切な治療が必要な疾患ですので、早めに眼科を受診しましょう。
また、まぶたの痙攣の背景に、ドライアイや白内障、緑内障などの疾患が隠れているケースもあります。「年のせい」「仕事のせい」と自己判断せず、気になる症状があれば専門医に相談することが大切です。
梅の木眼科クリニックでは、眼精疲労を医学的視点から原因を見極めて診療しています。
まぶたのピクピクや目の疲れ、不調が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
患者様の「見え方」だけでなく「つらさ」そのものに寄り添った診療を心がけています。
目の健康は、日常生活の質に直結します。小さな不調も見逃さず、早めのケアを心がけましょう。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

