白内障で物が二重に見えるのはなぜ?片目で起こる見え方の異変
2026/03/05
白内障による複視とは
「最近、物が二重に見える」「片目で見ても文字が重なって見える」...このような症状に悩んでいませんか?
物が二重に見える症状は「複視」と呼ばれ、片目だけで見た時に起こる場合と両目で見た時に起こる場合があります。
片目で起こる複視を「単眼複視」といい、白内障が原因となっているケースが多く見られます。
白内障は加齢によって目の水晶体が濁る病気です。80代になるとほぼ100%の人が発症するといわれていますが、40代から徐々に始まることもあります。
水晶体が濁ると光の進み方が変わり、物が二重や三重に見えることがあるのです。
この記事では、白内障による複視のメカニズムから早期発見のポイント、治療法まで詳しく解説します。見え方の異変を感じたら、早めに眼科を受診することが大切です。
片目で起こる複視のメカニズム
単眼複視と両眼複視の違い
複視には大きく分けて二つのタイプがあります。
片目だけで物が二重に見える「単眼複視」は、目の屈折異常や水晶体の濁りが原因です。一方、両目で見たときだけ二重に見える「両眼複視」は、目を動かす筋肉の異常や脳神経の問題が考えられます。
簡単なセルフチェック方法があります。片目ずつ隠して見え方を確認してください。
片目でも二重に見える場合は単眼複視、両目で見たときだけ二重に見える場合は両眼複視の可能性が高いです。
両眼複視の場合は脳卒中などの重篤な疾患の可能性もあるため、特に突然症状が現れた場合は早急に医療機関を受診する必要があります。
白内障が複視を引き起こす理由
白内障による複視は、水晶体の濁り方に関係しています。
水晶体は本来、透明でレンズのような働きをしています。しかし、加齢とともにタンパク質が変性し部分的に濁ってくると、透明な部分と濁った部分で光の進行方向が変わってしまいます。
その結果、一つの物体から来た光が網膜上で複数の像を結ぶため、物が二重や三重に見えるのです。
特に水晶体の中心部から濁りが始まる「核白内障」では、この症状が現れやすい傾向があります。
月を見てみると分かりやすいかもしれません。眼鏡をかけた状態で片目ずつ月を見て、二重三重に見えた場合は白内障の可能性があります。
白内障特有の見え方の変化
かすみや視力低下
白内障の最も一般的な症状は、視界全体がかすむことです。
くもりガラスを通して見ているような感覚になり、なんとなくすっきり見えない、ピントが合いにくいといった症状が現れます。水晶体が濁ると光の透過性が落ちるため、このような見え方になるのです。
視力低下は、濁りが水晶体の中心部に到達してから実感することが多いです。初期段階では視力低下を感じないこともあります。
眼鏡を新しくしても見え方が改善しない場合は、白内障が進行している可能性があります。
光をまぶしく感じる症状
夜道で街灯や信号を見たとき、異常にまぶしく感じることはありませんか?
白内障では光の散乱が生じやすくなります。水晶体が濁っていると光がまっすぐ網膜に届かず、光が散乱してしまうのです。
特に皮質白内障や後嚢下白内障では、水晶体が白く濁ってくるため光の散乱が生じやすく、夜間の車の運転中にヘッドライトをまぶしく感じやすくなります。
このような症状が現れると、交通事故にもつながりかねません。夜の光がまぶしすぎると感じたら、必ず眼科医に相談してください。
色の見え方の変化
白内障が進行すると、色の見え方にも変化が現れます。
水晶体が黄色く濁ってくると、視界全体が黄色っぽく見えるようになります。白いものが黄ばんで見えたり、青色と緑色の区別がつきにくくなったりすることがあります。
ただし、この変化は徐々に進行するため、自分では気づきにくいことも多いです。手術後に「世界がこんなに明るく鮮やかだったのか」と驚かれる方も少なくありません。
白内障以外で複視を起こす原因
屈折異常による複視
近視、遠視、乱視などの屈折異常も複視の原因となります。
特に乱視は、角膜の表面に凹凸があったりゆがんでいたりすることで、目に入ってくる光が乱反射を起こします。
その結果、物が二重に見えたり、症状が強い場合には物が歪んで見えたりすることもあります。
屈折異常による複視は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正することで改善できます。子どもが乱視になると弱視を誘引する恐れもあるため、早期の発見と治療が重要です。
眼精疲労とドライアイ
パソコンやスマートフォンを長時間使用すると、目に大きな負担がかかります。
眼精疲労が起こると、ピントが合いにくい、目が疲れる、物がかすむ、ぼやける、二重に見えるといった症状が現れます。さらに悪化すると、倦怠感、頭痛、肩こりなど体の不調の原因になる可能性もあります。
また、涙の不足や質の低下でドライアイが起こると、物が重なって見えることがあります。点眼薬や涙点プラグなどで治療を行い、症状改善を図ります。
注意が必要な疾患
複視の中には、早急な治療が必要な疾患が隠れている場合があります。
両眼複視の場合、斜視や甲状腺眼症、脳神経疾患の可能性があります。特に脳卒中や動脈瘤、脳腫瘍などが原因でものが二重に見えることもあり、CTやMRI検査を行うことで診断します。
突然両眼性複視が生じた場合は、命に関わる病気のこともあります。めまいや頭痛などの症状を伴う場合には、放置せずに必ず医療機関を受診しましょう。
早期発見のためのチェックポイント
日常生活で気づく初期症状
白内障は初期段階では自覚症状がほとんどありません。
しかし、以下のような変化に気づいたら注意が必要です。
文字を読むときに見づらさを感じる、夜間の運転でライトがまぶしく感じる、眼鏡を新調しても見え方が改善しない、色の鮮やかさが失われたように感じる...これらは白内障の初期サインかもしれません。
片目が少し見えづらくなっても、もう一方の目が自然とカバーするため、それなりに日常生活を送ることができてしまいます。
その結果、自覚症状がないままの状態が10年以上続くこともあります。
セルフチェックの方法
自宅で簡単にできるチェック方法があります。
片目ずつ隠して、見え方を確認してください。左右の目で見え方に差がある場合、視力が低下している方の目に問題がある可能性があります。
また、月や街灯を見て、光が二重三重に見える場合も要注意です。
ただし、セルフチェックはあくまで目安です。
異常を感じたら、自己判断で放置せずにできるだけ早期に眼科を受診するようにしましょう。
定期検診の重要性
40歳を過ぎたら、定期的な眼科検診をお勧めします。
白内障は一般的に40代から発症し始め、80代になるとほとんどの方が発症します。早期発見することで、適切なタイミングで治療を受けることができ、生活の質を保つことができます。
特に糖尿病やアトピー性皮膚炎をお持ちの方、ステロイド薬を長期使用している方は、若年層でも白内障を発症するリスクが高いため、より注意が必要です。
白内障の診断と検査
眼科での診察内容
眼科では、まず視力検査を行います。
その後、細隙灯顕微鏡検査という特殊な顕微鏡を使って、水晶体の濁りの程度を詳しく調べます。この検査では、濁りの位置や範囲、進行度を確認することができます。
国家資格である視能訓練士が精度の高い視機能検査を行うことで、正確な術前診断と適切な治療を可能としています。
また、眼底検査を行い、網膜や視神経に異常がないかも確認します。
白内障の進行度評価
白内障の進行度は、濁りの程度によって分類されます。
初期段階では、水晶体の周辺部から濁りが始まり、日常生活にはほとんど影響がありません。進行期になると、濁りが中心部に広がり、視力低下やかすみなどの症状が現れます。成熟期では、水晶体全体が白く濁り、視力が大きく低下します。
ただし、視力低下と白内障の進行度は必ずしも比例するわけではありません。
核性白内障では主に黄色く濁るだけで水晶体の透明性は比較的保たれることが多いため、進行しなければ視力は低下しないこともあります。
他の眼疾患との鑑別
複視の原因は白内障だけではありません。
眼科では、網膜裂孔や網膜剥離などの網膜疾患がないかも精査します。これらの疾患も光が見える症状を引き起こすことがあるため、眼底をチェックすることが重要です。
また、緑内障や加齢黄斑変性、糖尿病網膜症など、他の眼疾患の有無も確認します。複数の疾患を併発している場合もあるため、総合的な診断が必要です。
白内障の治療法
点眼治療と経過観察
初期の白内障では、まず経過観察を行います。
日常生活に支障がない段階では、点眼治療を行うこともあります。ただし、点眼薬は白内障の進行を遅らせる効果が期待できるものの、濁った水晶体が元に戻るわけではありません。
定期的に診察を受けて、病状の進行具合を確認することが大切です。視力低下をきたしたり、日常生活に支障を感じるようであれば、手術治療を考えます。
白内障手術の概要
白内障の根本的な治療は手術です。
手術は基本的に局所麻酔で行います。点眼麻酔と、目の周囲に麻酔薬の注射を追加することもありますが、強い痛みを感じることはあまりありません。
目の表面をほんの数ミリ切開し、濁った水晶体を超音波で砕きながら取り除き、そこへ人工の水晶体である眼内レンズを挿入します。
手術時間はおよそ10分程度で、日帰りまたは1泊の入院で行える手術です。創口は縫合を必要とせず自己閉鎖するため、身体への負担も軽減されています。
翌日からほぼ普段通りの生活を送ることが可能です。
眼内レンズの選択
手術で挿入する眼内レンズには種類があります。
単焦点眼内レンズは、遠くまたは近くのどちらか一点にピントが合うレンズです。保険診療で行うことができます。
一方、多焦点眼内レンズは、遠くも近くも自然に見えるレンズで、「できれば老眼鏡をかけたくない」という希望に応えることができます。
梅の木眼科クリニックでは、患者様の目の状態・生活の質・希望の見え方をもとに最適なレンズを選択しています。挿入する眼内レンズについては医師と相談して決めることが大切です。
手術後のケアと注意点
手術後のケアはとても大切です。
定期的に診察を受けて、処方された点眼薬を正しく使うことで炎症や感染を防ぎます。眼内レンズは生涯にわたり安定した固定性と透明性を維持しますので、通常は交換や再手術の必要もありません。
ただし、ピント調節機能はありませんので、手術後もメガネなどによる矯正が必要な場合があります。
また、手術を行って数ヶ月から数年経過してから、水晶体の袋が濁ってくる後発白内障というものがあります。この場合、レーザー後嚢切開で日帰りで治療することができます。
梅の木眼科クリニックでの白内障治療
経験豊富な院長による一貫診療
梅の木眼科クリニックでは、診察から手術、術後のフォローまで院長自らが責任を持って対応しています。
手術を担当するのは、大学病院・市中病院で15年以上の経験を持つ熊谷悠太院長です。
「安心して任せられる一貫診療」を実現しており、患者様との会話を大切にしながら、医学的な根拠と生活の両面から最善の治療を提案してくれる温かい人柄も、地域で選ばれる理由のひとつです。
日帰り白内障手術の特徴
当院では、毎週月曜・水曜に日帰り白内障手術を行っています。
手術時間はおよそ10分で、局所麻酔で痛みも少なく、翌日からほぼ普段通りの生活を送ることが可能です。
創口は縫合を必要とせず自己閉鎖するため、身体への負担も軽減されています。
患者様の生活スタイルやご事情を丁寧に伺いながら、最適な手術時期とレンズ選びを一緒に考えます。
「安心して任せられた」「説明が丁寧で不安がなくなった」という声も多く寄せられています。
アクセスと診療体制
梅の木眼科クリニックは、相鉄線「西谷駅」北口から徒歩7分の場所にあります。駐車場も3台完備しており、満車時は近隣コインパーキングのご案内もしています。
手術日は月曜・水曜で、早期治療が可能です。休診日は土曜午後・日曜・祝日です。
専
門スタッフによる精密検査体制を完備しており、白内障だけでなく、緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症・眼瞼下垂症・小児眼科などにも対応しています。
一般眼科から外科的治療まで一貫して行うことで、家族全員の「かかりつけ眼科」として安心して通えるクリニックです。
まとめ
白内障による複視は、水晶体の濁りによって光の進み方が変わることで起こります。
片目で物が二重に見える単眼複視は、白内障や屈折異常が原因のことが多いです。一方、両目で見たときだけ二重に見える両眼複視は、脳や神経の異常の可能性があるため、特に注意が必要です。
「最近、視界がかすむ」「まぶしく感じる」「夜の運転が不安」...これらは白内障のサインかもしれません。
40歳を過ぎたら定期的な眼科検診を受け、早期発見に努めることが大切です。
白内障は手術によって視力を回復させることができます。
日帰り手術で身体への負担も少なく、翌日からほぼ普段通りの生活が可能です。
見えづらさを我慢せず、適切なタイミングで治療を受けることで、生活の質を大きく変えることができます。
梅の木眼科クリニックでは、あなたの目と気持ちの両方に寄り添い、「見える喜び」をもう一度取り戻すお手伝いをしています。
不安なことがあれば、まずは一度ご相談ください。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

