後発白内障になりやすい人の特徴とは?手術後に注意したい見え方の変化
2026/03/12
白内障手術後に起こる「後発白内障」とは
白内障手術を受けて視界がクリアになり、快適な日々を送っていたのに、数ヶ月から数年経ってから再び「見えにくい」と感じることがあります。これは白内障が再発したわけではありません。
白内障手術では、濁った水晶体を取り除いて眼内レンズを挿入しますが、レンズを固定するために残した水晶体嚢(すいしょうたいのう)という透明な袋が、時間とともに濁ってくることがあります。これを「後発白内障」と呼びます。
白内障手術後に発生する最も一般的な合併症のひとつで、術後5年で約20〜30%の患者さんに発症するといわれています。後発白内障は珍しい病気ではなく、白内障手術を受けたすべての方に起こりうる症状です。
ただし、視力低下などの自覚症状が現れて治療が必要になるケースは全体の約20%程度とされています。
後発白内障になりやすい人の特徴
後発白内障は誰にでも起こりうる症状ですが、特に発症リスクが高いとされる方々がいます。
若年層の患者さん
若い方ほど細胞の増殖能力が高いため、水晶体上皮細胞の再生が活発になります。
40代や50代で白内障手術を受けた方は、高齢者に比べて後発白内障を発症しやすい傾向があります。10代で手術が必要になった方では、さらにそのリスクが高まります。
糖尿病をお持ちの方
糖尿病は全身の血管や細胞に影響を及ぼす疾患です。
糖尿病の方は、水晶体上皮細胞の増殖が促進されやすく、後発白内障の発症リスクが高まることが知られています。
また、糖尿病網膜症などの合併症がある場合は、術後の経過観察がより重要になります。
アトピー性皮膚炎の方
アトピー性皮膚炎は、白内障そのものの発症リスクを高める要因のひとつですが、手術後の後発白内障の発症にも関連があるとされています。炎症反応が関与している可能性が考えられています。
眼内レンズの素材や形状による違い
使用する眼内レンズの素材や形状によっても、後発白内障の発症率に差があることが報告されています。
アクリル素材のレンズや、水晶体嚢との接触面積を最小限にするデザインのレンズでは、後発白内障の発症リスクが低減されるといわれています。
後発白内障の症状と見え方の変化
後発白内障の症状は、白内障の初期症状とよく似ています。
せっかく手術を受けて良く見えるようになったのに、再び白内障になったのではないかと不安に思われる方もいらっしゃいますが、濁った水晶体はすでに取り除いていますので、白内障が再発することはありません。
代表的な症状
後発白内障では、以下のような症状が現れます。
物がかすんで見える・・・視界全体に霧がかかったような見え方になります。
物がぼやけて見える・・・輪郭がはっきりせず、ピントが合わない感覚があります。
光を眩しく感じる・・・明るい場所や夜間の車のライトなどが以前より眩しく感じられます。
視力が低下する・・・矯正視力が徐々に低下していきます。
後発白内障は徐々に進行するため、自覚症状が少ない場合もあります。特に両眼同時に進行した場合は、見え方の変化に気づきにくいことがあります。
手術後のクリアな視界と比較して、少しでも見えにくさを感じたら、眼科を受診することをお勧めします。
後発白内障の診断と検査
後発白内障の診断は、眼科での詳細な検査によって行われます。
視力検査に加えて、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)という特殊な顕微鏡を使って、水晶体嚢の濁りの程度を直接観察します。
濁りの範囲や程度、視力への影響などを総合的に評価し、治療の必要性を判断します。
後発白内障の種類
後発白内障には主に2つのタイプがあります。
線維性後発白内障は、水晶体上皮細胞が線維芽細胞のように変化し、後嚢に膜状の濁りを形成するタイプです。光の通過を妨げ、視力低下の原因となります。
再生性後発白内障は、水晶体上皮細胞が再生・増殖し、「エルシュニグ真珠」と呼ばれる小さな透明な球体を形成するタイプです。特に若年者や成長期の患者さんに多く見られます。
YAGレーザー治療による後発白内障の治療
後発白内障の治療は、YAGレーザーを用いた外来治療が標準的な方法です。 この治療は非常にシンプルで安全性が高く、入院の必要もありません。
治療の流れ
まず点眼麻酔を行い、レーザー用のコンタクトレンズを装着します。
その後、YAGレーザーを照射して濁った後嚢に小さな穴を開け、光が正常に通過できるようにします。治療時間は片眼で5分程度、痛みもほとんどありません。
レーザー治療後は、視力が速やかに改善することが多く、多くの方が手術直後のクリアな視界を取り戻すことができます。
治療後の経過と注意点
レーザー治療後は、翌日と1週間後に経過観察のための受診が必要です。
治療直後は、レーザーで破った水晶体嚢の破片が目の中に散らばるため、細かいゴミが飛んでいるように見える「飛蚊症」のような症状が出ることがあります。これは1ヶ月程度で徐々に吸収され、気にならなくなることがほとんどです。
まれに術後の炎症や眼圧上昇、網膜剥離などの合併症を起こすことがありますので、治療後に痛みや見づらさなどの症状が出た場合には、すぐに眼科医に相談しましょう。
後発白内障は一度治療すれば再発することは稀です。
ただし、治療後も定期的な眼科検診を受けることで、他の眼疾患の早期発見にもつながります。
後発白内障の予防と定期検診の重要性
残念ながら、後発白内障を完全に予防する方法は現在のところありません。
しかし、定期的な眼科検診を受けることで早期発見・早期治療が可能になります。
白内障手術後は、6ヶ月から1年に一度は眼科で診察を受け、目の状態をチェックすることをお勧めします。
手術技術とレンズ選択による予防
白内障手術の際に、前嚢切開のデザインや眼内レンズの正確な配置を工夫することで、水晶体上皮細胞の増殖を抑制できる可能性があります。
また、バリア効果の高い眼内レンズを選択することで、後発白内障のリスクを低減できる場合もあります。
当院では、患者さんの年齢や生活スタイル、目の状態を丁寧に伺いながら、最適な手術時期とレンズ選びを一緒に考えています。
単焦点レンズ・多焦点レンズのどちらも取り扱っており、「遠くも近くも自然に見えるようにしたい」「老眼鏡をかけたくない」といったご希望にも対応しています。
他の眼疾患との関連
後発白内障以外にも、加齢に伴う乱視の変化や、加齢黄斑変性症、緑内障などの他の眼疾患が発症すると、視力が低下することがあります。定期検診では、これらの疾患の早期発見も可能になります。
「手術後よく見えるようになっていたけど、最近見えにくい」と感じたら、まずは眼科を受診してください。
実際には視力は良好で、眼鏡の使い方が間違っているだけの場合もあります。専門医による正確な診断が、適切な対処への第一歩です。
梅の木眼科クリニックでの白内障治療と術後フォロー
横浜市保土ケ谷区の梅の木眼科クリニックでは、白内障手術から術後のフォローまで、一貫した診療体制を整えています。
毎週月曜・水曜に日帰り白内障手術を実施しており、手術時間はおよそ10分です。
局所麻酔で痛みも少なく、翌日からほぼ普段通りの生活を送ることが可能です。創口は縫合を必要とせず自己閉鎖するため、身体への負担も軽減されています。
手術を担当するのは、大学病院・市中病院で15年以上の経験を持つ熊谷悠太院長です。
診察から手術、術後のフォローまで院長自らが責任を持って対応し、「安心して任せられる一貫診療」を実現しています。
後発白内障に対するYAGレーザー治療も当院で行っており、術後の定期検診の際に早期発見・早期治療が可能です。
患者さんとの会話を大切にしながら、医学的な根拠と生活の両面から最善の治療を提案しています。
アクセスと診療情報
相鉄線「西谷駅」北口から徒歩7分、駐車場3台完備でアクセスも便利です。
白内障だけでなく、緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症・眼瞼下垂症・小児眼科にも対応しており、家族全員の「かかりつけ眼科」として安心して通えるクリニックです。
梅の木眼科クリニック
所在地:神奈川県横浜市保土ケ谷区西谷1-25-21
電話番号:045-371-2666
手術日:月曜・水曜
休診日:土曜午後・日曜・祝日
まとめ:後発白内障は適切な治療で改善できます
後発白内障は、白内障手術後に起こりうる一般的な合併症です。
特に若年層の方や糖尿病をお持ちの方は発症リスクが高いとされていますが、YAGレーザー治療によって簡単に改善できることがほとんどです。
治療は外来で短時間に行うことができ、痛みもほとんどありません。
大切なのは、定期的な眼科検診を受けて早期発見することです。視力の変化や見えにくさを感じたら、我慢せずに眼科を受診しましょう。
後発白内障だけでなく、他の眼疾患の早期発見にもつながります。
白内障手術を受けた後も、いつまでも快適な視生活を送るために、定期的な検診と適切なケアを心がけていただければと思います。
見えづらさの原因を一緒に探し、生活の中で安心して過ごせるようお手伝いします。
少しでも気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

