レーシック手術後の白内障手術はなぜ注意が必要なのか〈横浜市 梅の木眼科クリニック〉
2025/05/30
LASIK手術後の白内障手術の難しさはどこにあるのか
5月も終わりになろうとしています。今の時期はどこの眼科でも学校検診で視力低下やその他のご病気が指摘されたり、コンタクトレンズやメガネの作成を希望されたりするお子様が多い時期で、ご来院いただく患者様をお待たせしてしまうことが多く申し訳なく思います。特に土曜日は混み合いますことをご容赦いただけますと幸いです。
さて、今回は近視矯正手術であるレーシック手術の後の白内障手術についてお話ししたいと思います。
レーシック手術は1990年にギリシャで初めて行われました。日本では、2000年1月から厚生労働省の認可が下り、盛んに手術が行われた時期がありました。レーザーで角膜のフラップを作成した後角膜を削ることで屈折力を変化させる手術ですが、近視がなくなり、手術も短時間で両眼終了することから、眼科の手術の中では喜ばれる手術の一つだと思います。合併症もあり、ドライアイが進行したり、眩しさが強くなったり、しばらくすると近視が戻ってきたりということもありますが、近視の不便さから解放されご満足されている方が多いと思います。
以前はそこまでレーシック手術後の方を外来で診察することは多くなかったのですが、最近になり手術後の方を見かける頻度が増えてきた様に思います。以前の高価だったレーシック手術の低価格化も影響があるのかもしれませんが、時代の流れなのかな?と思っています。
レーシック手術ができる様になった時期から20数年経過し、徐々に白内障が出てくる世代になってこられている方も増えた様に思います。そこでレーシック術後の白内障手術での問題点についてまとめてみました。
なぜLASIK後の白内障手術は特別なの?
LASIK手術では角膜の形を変えて視力を改善しています。この角膜形状の変化が、将来の白内障手術に影響することがあります。
どんな問題が起こりうるの?
1. 眼内レンズの度数計算が難しくなる
通常の白内障手術では、角膜の形から適切な眼内レンズの度数を計算します。LASIK後は角膜形状が特殊なため、標準的な計算方法では誤差が生じやすくなります。その結果、予想した視力と実際の術後視力に差が出ることがあります。10数年前は大きな予測度数とのずれが問題となることが多かったのですが、データの蓄積により屈折ずれはかなり改善しましたが、特殊な計算が必要だったりするため、施設によっては手術を断られることもあるかもしれません。
2. 過去の手術データの重要性
LASIK手術前のデータが将来役立ちます。
手術記録や矯正度数などの情報を保管しておくことが大切です。
3. 視機能の特性
LASIK後の目は光の散乱や高次収差などの特性があります。肉眼では見えない角膜の切開線や、ごくわずかな角膜の凸凹が原因で白内障手術後に夜間の見え方に影響が出ることがあります。
LASIK手術をされる方は、やはり裸眼での見え方を重要視される方が多く、多焦点眼内レンズをご希望される方も多いのですが、コントラストが落ちるとよりみづらくなってしまうことがありますので、眼内レンズを選ぶ際にはコントラスト感度を落としづらいレンズを選択するなど注意が必要です。
4. 手術中の注意点
LASIK手術でできた角膜フラップは、何年経っても完全には元の強度に戻りません。白内障手術時には、このフラップへの影響を最小限にする特別な配慮が必要です。場合によっては術後に角膜が白く浮腫んでしまうことがあったりします。
LASIK後を白内障手術を受ける際のポイント
1. LASIK後の白内障手術経験が豊富な眼科で手術を受けることをお勧めします。診察時にはLASIK手術を受けたことがあることを必ず伝えてください。
2. LASIK手術を受けた医療機関名、日付、手術前の視力、度数、手術内容(近視・乱視・遠視の矯正量など)、可能であれば手術前後の角膜形状検査データを記録として残しておくことをお勧めします。LASIK手術を受ける際にはその様なことはあまり気にしないこともありますが、白内障手術時の参考になることがあります。
その他、LASIK前のコンタクトレンズの度数や以前の眼鏡を保管しておくことで、以前の屈折度数の参考になることもあります。
3. 期待値の調整が必要になります。以前よりは術後の屈折ずれは減りましたが、通常の白内障手術より予測が難しいことを理解しておきましょう。また、多焦点眼内レンズを選択した際は、コントラスト感度が落ちていることから、少し見辛く感じることが出ることもあることは承知しておくと良いと思います。必要に応じて術後の視力調整(眼鏡やコンタクトレンズ)が必要になるかもしれないです。
LASIK手術後の白内障手術は特別な配慮が必要ですが、適切な準備と専門的な対応で良好な結果を得ることができます。何より重要なのは、将来に備えてご自身のLASIK手術の情報を記録・保管しておくことです。
不安なことがあれば、早めにご相談ください。医療技術は日々進歩しており、LASIK術後の白内障手術の精度も向上しています。正しい知識と準備をしておくことで、白内障手術でより良い結果が出るようご案内できればと思います。
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