医療法人柔敦

目の健康を守る栄養素と食べ物〜効果的な摂取法と選び方を専門医が解説

お問い合わせはこちら

目の健康を守る栄養素と食べ物〜効果的な摂取法と選び方を専門医が解説

目の健康を守る栄養素と食べ物〜効果的な摂取法と選び方を専門医が解説

2025/09/02

目次

    目の健康に欠かせない栄養素とは

    現代社会では、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を長時間使用する機会が増え、目の健康が脅かされています。
    私たち眼科医が日々の診療で実感するのは、目の疲れや不調を訴える患者様が年々増加していることです。 目の健康を維持するためには、適切な栄養素を日常的に摂取することが非常に重要です。
    特に以下の栄養素は、目の機能維持や疾患予防に大きな役割を果たしています。
    目の健康維持に欠かせない主な栄養素をご紹介します。これらの栄養素をバランスよく摂取することで、目の疲れを軽減し、様々な眼疾患のリスクを下げることが期待できます。

    ビタミンA

    ビタミンAは「目のビタミン」とも呼ばれ、視機能の維持に不可欠な栄養素です。
    特に網膜にあるロドプシンという色素の構成成分となり、薄暗い場所でものが見えるようにする働きがあります。 また、角膜の表面にある細胞の新陳代謝を促進し、涙の分泌を調節する役割も担っています。
    ビタミンAが不足すると、ドライアイや夜盲症などの症状が現れることがあります。
    レバーやうなぎ、にんじん、かぼちゃなどの食品に多く含まれています。
    特に緑黄色野菜にはβ-カロテンとして豊富に含まれており、体内でビタミンAに変換されます。

    ルテイン・ゼアキサンチン

    ルテインとゼアキサンチンは、カロテノイドの一種で、眼の網膜にもともと存在する成分です。特に黄斑部に多く存在し、目にとって有害な光(紫外線やブルーライトなど)から網膜を守る働きがあります。
    これらの成分には強力な抗酸化作用があり、加齢による黄斑変性や白内障などの予防に役立つと考えられています。
    ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

    ビタミンB群

    ビタミンB群は、目の神経機能の維持や細胞の修復に重要な役割を果たします。
    特にビタミンB1、B2、B6、B12は、視神経の健康維持や目の疲れの軽減に効果があります。 ビタミンB2(リボフラビン)は、目の疲れやかすみ目の予防に役立ち、角膜の健康を維持します。レバーや納豆、卵、海苔、牛乳、ヨーグルトなどに多く含まれています。
    ビタミンB群は豚肉や鶏肉、魚類、大豆製品などに豊富に含まれており、日常的な食事で摂取することができます。
    バランスの良い食事を心がけることで、自然とこれらの栄養素を補給することができるでしょう。

    目に良い食べ物と効果的な摂取法

    目の健康を維持するためには、必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。ここでは、目に良い栄養素を含む食べ物と、その効果的な摂取方法についてご紹介します。 日々の食事で意識して取り入れることで、目の健康維持や疾患予防につながります。特に、加齢に伴う眼疾患のリスクが高まる40代以降は、より積極的に取り入れていただきたいと思います。

    アントシアニンを含む食品

    アントシアニンは、ブルーベリーやぶどう、カシス、ナスなどの紫~黒色の食品に多く含まれる色素成分です。目の網膜にある色素や疲れ目の回復に効果があるとされています。 特にブルーベリーは、第二次世界大戦中にイギリス空軍のパイロットが夜間視力を向上させるために摂取していたという有名なエピソードがあります。現代の研究でも、アントシアニンには目の毛細血管の血流を改善し、網膜の機能を高める効果が確認されています。アントシアニンを効果的に摂取するためには、生のまま食べるのが最も良いでしょう。熱に弱い性質があるため、加熱調理よりも、そのままヨーグルトに混ぜたり、スムージーにしたりして摂取するのがおすすめです。

    アスタキサンチンを含む食品

    アスタキサンチンは、サケやいくら、カニ、エビ、キンメダイなどの赤~オレンジ色の魚介類に多く含まれる色素成分です。強力な抗酸化作用を持ち、目のピント調節機能を改善する効果があります。 特に、長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用による目の疲れや肩・腰の負担を軽減する効果が期待できます。現代のデジタル社会では特に注目したい栄養素です。 アスタキサンチンは脂溶性のため、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。サケを焼き魚として食べる際には、少量のオリーブオイルをかけるとより効果的です。週に2~3回、アスタキサンチンを含む食品を食事に取り入れると良いでしょう。

    ビタミンCとEを含む食品

    ビタミンCとEには強力な抗酸化作用があり、目の組織を酸化ストレスから守る働きがあります。特に白内障や加齢黄斑変性などの予防に効果的と考えられています。 ビタミンCは赤ピーマン、芽キャベツ、レモン、キウイ、オレンジなどの果物や野菜に多く含まれています。ビタミンEはかぼちゃ、アーモンド、うなぎ、植物オイルなどに豊富です。これらのビタミンは水溶性と脂溶性の両方があるため、様々な調理法で摂取できます。ビタミンCは熱に弱いため、生食や短時間の加熱がおすすめです。一方、ビタミンEは油と一緒に摂ると吸収率が高まります。 朝食にフレッシュフルーツを取り入れ、サラダにはナッツ類とオリーブオイルをかけるという簡単な習慣で、効率よくこれらのビタミンを摂取することができます。

    目の健康を守るための食事プラン

    ここまで目に良い栄養素と食品について解説してきましたが、実際の食生活にどのように取り入れればよいのでしょうか。バランスの取れた食事プランを立てることで、目の健康維持に必要な栄養素を効率よく摂取することができます。 以下に、目の健康を守るための具体的な食事プランをご紹介します。これらは私が実際に患者様にアドバイスしている内容で、継続しやすく効果的な方法です。

    朝食の理想的なメニュー

    朝食は一日のスタートとして重要な食事です。目の健康に良い朝食の例としては、以下のようなメニューがおすすめです。

    ・ヨーグルトにブルーベリーやカシスなどのアントシアニンを含む果物をトッピング
    ・全粒粉のトーストにアーモンドバターを塗る
    ・緑黄色野菜を使った野菜ジュースやスムージー
    ・卵料理(ビタミンB2、ルテイン豊富)

    特に朝は時間がないという方も多いと思いますが、前日に準備しておくなど工夫することで、栄養バランスの良い朝食を摂ることができます。
    目の疲れを感じやすい方は、特に朝食を抜かないことをお勧めします。
    朝食をしっかり摂る習慣のある患者様は、そうでない方に比べて目の疲れを訴えることが少ない傾向があります。朝食で目に良い栄養素を摂ることは、一日の目の健康を支える基盤となります。

    朝食をしっかり摂る習慣のある患者様は、そうでない方に比べて目の疲れを訴えることが少ない傾向があります。朝食で目に良い栄養素を摂ることは、一日の目の健康を支える基盤となります。

    昼食・夕食での栄養バランス

    昼食と夕食では、主食・主菜・副菜をバランスよく組み合わせることが大切です。
    特に意識したいのは、緑黄色野菜と魚を積極的に取り入れることです。

    ・主食:玄米や雑穀米(ビタミンB群豊富)
    ・主菜:サケ、サバ、マグロなどの魚(DHA、アスタキサンチン豊富)
    ・副菜:ほうれん草、ブロッコリー、パプリカなどの緑黄色野菜(ルテイン、ビタミンC豊富)
    ・汁物:わかめや小松菜の味噌汁(ミネラル豊富)

    特に夕食では、目の修復に必要な栄養素を十分に摂ることが重要です。一日の疲れた目を回復させるために、タンパク質と抗酸化物質を含む食品を意識して取り入れましょう。
    魚料理を週に2~3回取り入れることで、DHAやEPAなどの目に良い脂肪酸を効率よく摂取できます。焼き魚や蒸し魚など、シンプルな調理法がおすすめです。

    間食・おやつの選び方

    間食やおやつも、選び方次第で目の健康をサポートする機会になります。
    砂糖や脂肪の多いスナック菓子ではなく、以下のようなものを選ぶと良いでしょう。
    ・ナッツ類(アーモンド、クルミなど)
    ・ドライフルーツ(特にブルーベリー、クランベリー)
    ・ダークチョコレート(カカオ70%以上)
    ・緑茶や紅茶(カテキンやフラボノイド豊富)
    特にナッツ類は、ビタミンEやオメガ3脂肪酸が豊富で、少量でも栄養価が高いため、デスクワークの合間のおやつとして最適です。一日の摂取量は一握り(20~30g)程度を目安にしましょう。
    日々の小さな食習慣の積み重ねが、長期的な目の健康を左右します。特に目の疲れを感じやすい方は、間食の選び方にも注意を払うことをお勧めします。

    年代別・目の健康を守るための栄養摂取法

    目の健康状態や必要な栄養素は、年齢によって変化します。
    ここでは、年代別に特に注意したい栄養素と摂取方法についてご紹介します。それぞれの年代に合わせた適切なケアを行うことで、生涯にわたって健やかな目を維持することができるでしょう。 私が日々の診療で接する患者様の年齢層は幅広く、それぞれの年代特有の目の悩みがあります。
    そうした臨床経験をもとに、年代別のアドバイスをまとめました。

    子どもから20代:発達期の目の健康

    子どもから20代は、目の発達期であると同時に、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器を使用する機会が多い世代です。この時期に特に意識したい栄養素は以下の通りです。

    ・ビタミンA:視力の発達に不可欠
    ・DHA:脳と目の発達をサポート
    ・ルテイン:ブルーライトから目を守る

    この年代では、偏食を避け、様々な食品をバランスよく食べることが大切です。
    特に緑黄色野菜や魚を嫌がる子どもも多いですが、調理法を工夫したり、小さい頃から慣れさせたりすることが重要です。 例えば、野菜が苦手な子どもには、スムージーにして飲みやすくしたり、ハンバーグのタネに細かく刻んだ野菜を混ぜたりする方法があります。魚は、フィッシュスティックやタルタルソースをかけるなど、食べやすい工夫をしましょう。
    また、この年代は特にデジタル機器の使用時間を適切に管理し、20分間画面を見たら20秒間遠くを見るという「20-20ルール」を実践することもお勧めします。

    30代~40代:目の疲れが気になる世代

    30代~40代は、仕事や育児で最も忙しく、目の酷使による疲れが蓄積しやすい世代です。
    また、老眼の初期症状が現れ始める時期でもあります。この年代で特に意識したい栄養素は以下の通りです。

    ・ルテイン、ゼアキサンチン:目の疲れの軽減、加齢による変化の予防
    ・ビタミンB群:目の神経機能の維持
    ・アスタキサンチン:ピント調節機能のサポート

    この年代は時間的制約が多いため、効率的に栄養を摂取する工夫が必要です。
    例えば、週末に作り置きをしておく、栄養バランスの良い冷凍食品を活用する、職場に持っていけるおやつとしてナッツ類を常備するなどの方法があります。
    また、コーヒーや緑茶に含まれるカテキンやクロロゲン酸には抗酸化作用があり、目の健康にも良いとされています。仕事の合間に適度に摂取するのもおすすめです。
    この年代の患者様には、「忙しさを理由に食事を疎かにしないこと」をよくお伝えしています。目の健康は日々の積み重ねで守られるものだからです。

    50代以降:加齢による目の変化に対応する

    50代以降は、白内障や加齢黄斑変性などの加齢性眼疾患のリスクが高まる時期です。
    この年代で特に意識したい栄養素は以下の通りです。

    ・ルテイン、ゼアキサンチン:黄斑部の保護
    ・ビタミンC・E:抗酸化作用による組織の保護
    ・オメガ3脂肪酸:炎症の抑制、網膜の健康維持

    この年代では、若い頃より消化機能が低下している場合が多いため、食べやすい調理法を選ぶことも大切です。例えば、野菜は生食よりも軽く蒸すか煮るかして柔らかくする、魚は骨を取り除いて食べやすくするなどの工夫が有効です。
    また、水分摂取も重要です。加齢とともに喉の渇きを感じにくくなりますが、適切な水分摂取は目の潤いを保つためにも必要です。緑茶や白湯などを定期的に飲む習慣をつけましょう。
    この年代で食生活に気を配っている患者様は、そうでない方に比べて眼疾患の進行が緩やかな傾向があります。「今からでも遅くない」という意識で、食習慣の改善に取り組むことをお勧めします。

    目の健康を守るための生活習慣

    目の健康を守るためには、栄養バランスの良い食事に加えて、適切な生活習慣も重要です。ここでは、食事以外の面で目の健康をサポートする方法についてご紹介します。 私が患者様にお伝えしているのは、「目の健康は総合的なケアで守られる」ということです。食事と合わせて、以下のような生活習慣の改善も心がけましょう。

    適切な休息とブルーライト対策

    デジタル機器の長時間使用は、目に大きな負担をかけます。特にブルーライトは網膜に達しやすく、目の疲れや睡眠障害の原因になることがあります。
    以下のような対策を心がけましょう。

    ・20-20-20ルール:20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒間見る
    ・ブルーライトカットメガネやフィルターの使用
    ・就寝前2時間はデジタル機器の使用を控える
    ・画面の明るさを環境に合わせて調整する

    また、定期的に目を休ませることも非常に重要です。意識的に遠くを見る習慣をつけることで、ピント調節筋の緊張を緩和することができます。

    適切な睡眠と水分摂取

    質の良い睡眠は、目の疲れを回復させるために不可欠です。睡眠中は目の組織の修復や再生が行われます。
    また、適切な水分摂取は、ドライアイの予防にも役立ちます。

    ・7~8時間の十分な睡眠時間を確保する
    ・就寝前のリラックスタイムを設ける
    ・一日1.5~2リットルの水分を摂取する
    ・カフェインの摂取は午後3時までにする

    特に加齢とともに涙の分泌量が減少するため、意識的に水分を摂ることが大切です。ただし、就寝直前の大量の水分摂取は避け、日中にこまめに水分を取るようにしましょう。
    睡眠の質を高めるためには、寝室の環境も重要です。適度な暗さと静けさを保ち、快適な温度と湿度を維持することで、より良い睡眠が得られます。

    定期的な眼科検診の重要性

    目の健康を守るためには、定期的な眼科検診が非常に重要です。多くの眼疾患は初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときには進行していることがあります。

    ・40歳未満:2~3年に1回の検診
    ・40歳以上:1年に1回の検診
    ・糖尿病や高血圧がある方:医師の指示に従い、より頻繁に検診を受ける

    特に、家族に緑内障や加齢黄斑変性などの眼疾患の既往がある方は、より早期からの定期検診をお勧めします。早期発見・早期治療が視力低下を防ぐ鍵となります。
    私たち眼科医が最も残念に思うのは、「もっと早く来ていれば」というケースです。目に違和感を感じたら、我慢せずに眼科を受診することをお勧めします。

    まとめ:目の健康を守るための総合的なアプローチ

    目の健康を守るためには、栄養バランスの良い食事、適切な生活習慣、定期的な眼科検診という三つの要素が重要です。
    これらを総合的に実践することで、生涯にわたって健やかな目を維持することができるでしょう。 本記事でご紹介した目に良い栄養素と食べ物をまとめると、以下のようになります。

    ・ビタミンA(レバー、うなぎ、にんじん、かぼちゃなど)
    ・ルテイン・ゼアキサンチン(ほうれん草、ブロッコリーなど)
    ・ビタミンB群(レバー、納豆、卵、魚類など)
    ・ビタミンC(赤ピーマン、キウイ、柑橘類など)
    ・ビタミンE(ナッツ類、植物油、かぼちゃなど)
    ・アントシアニン(ブルーベリー、ぶどう、カシスなど)
    ・アスタキサンチン(サケ、いくら、カニ、エビなど)
    ・オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油など)

    これらの栄養素をバランスよく摂取するためには、多様な食品を食べることが大切です。
    特定の食品や栄養素に偏らず、「主食・主菜・副菜」を組み合わせた日本型の食事は、目の健康維持にも理想的です。 また、食事だけでなく、適切な休息、ブルーライト対策、十分な睡眠と水分摂取、定期的な眼科検診も忘れないようにしましょう。
    これらの習慣を日常に取り入れることで、目の健康を総合的にサポートすることができます。

    最後に、目の健康は一朝一夕で得られるものではなく、日々の小さな習慣の積み重ねによって守られるものです。この記事が、皆様の目の健康維持のための一助となれば幸いです。
    何か目の健康についてご不明な点があれば、お気軽に眼科医にご相談ください。私たちは皆様の大切な視力を守るお手伝いをいたします。

    【著者プロフィール】熊谷悠太(くまがいゆうた)



    2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、同大学病院眼科学教室入局
    2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
    2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長、桜ヶ丘中央病院非常勤
    2019年 梅の木眼科クリニック開院 日本眼科学会認定 眼科専門医 身体障害者福祉法指定医(15条指定医) 視覚障害者用補装具適合判定医師研修会 受講修了
    詳しくは梅の木眼科クリニックのホームページをご覧ください。

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。