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目がかすむ原因と関連する病気〜見逃せない症状と対処法

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目がかすむ原因と関連する病気〜見逃せない症状と対処法

目がかすむ原因と関連する病気〜見逃せない症状と対処法

2025/09/04

目次

    目がかすむという症状について

    「最近、目がかすんで見えづらい…」 このような経験はありませんか?目のかすみは、単なる疲れ目から重篤な病気のサインまで、様々な原因で起こりうる症状です。
    特に40代以降の方や、デジタル機器を長時間使用する方に多く見られます。目がかすむとは、視界が明瞭でない状態を指します。具体的には、もやがかかったように見える、ピントが合わない、輪郭がぼやける、視野が狭くなるなどの症状が挙げられます。
    一時的な目のかすみであれば、休息で改善することもありますが、症状が長引く場合や急に視界がかすむ場合は、何らかの眼疾患や全身疾患が隠れている可能性があります。

    今回は眼科専門医の立場から、目がかすむ原因と関連する病気、そして対処法について詳しく解説していきます。

    目がかすむ主な原因

    目がかすむ原因は大きく分けて、一時的な要因によるものと、病気によるものがあります。まずは日常生活で起こりうる一時的な要因から見ていきましょう。

    1. 眼精疲労・VDT(Visual Display Terminal Syndrome)症候群

    現代人の多くが経験する眼精疲労は、目のかすみの代表的な原因です。特にパソコンやスマートフォンを長時間使用することで起こるVDT症候群では、目の筋肉が疲労し、ピント調節機能が一時的に低下します。
    また、集中して仕事等をしていると、瞬きの回数が減ってしまうためドライアイも進行します。 これにより、視界がかすんだり、ぼやけたりする症状が現れるのです。
    スマホ老眼という言葉を聞いたことはありますか? これは、スマートフォンを長時間使用した後に、目のかすみやピントを合わせにくくなるといった老眼のような症状が出てくる現象のことです。
    若い方でも起こりうる症状なので注意が必要です。

    2. ドライアイ

    目の表面を保護する涙が不足すると、角膜が乾燥して傷つきやすくなります。これがドライアイです。
    エアコンの効いた乾燥した環境や、コンタクトレンズの長時間使用などが原因となることが多いです。ドライアイになると、目がかすむだけでなく、目の疲れ、異物感、充血などの症状も現れます。
    特に近年では、マスク着用によるマスクドライアイも増えています。 マスクの上部から漏れた息が目に当たり、涙が蒸発しやすくなることが原因です。

    3. 屈折異常(近視・遠視・乱視)

    メガネやコンタクトレンズの度数が合っていないと、視界がかすんで見えることがあります。
    また、加齢とともに進行する老眼も、近くのものがかすんで見える原因となります。軽度の遠視の方の場合、老眼がで始めるくらいから遠くもかすむようになってきます。 老眼は誰もがいつかは経験するもので、早ければ30代後半から始まることもあります。
    水晶体の弾力性や毛様体筋の緊張力が年齢とともに衰えていくことで、目のピント調節機能が低下するのです。

    目がかすむことで疑われる眼疾患

    目のかすみが長引く場合や、他の症状を伴う場合は、以下のような眼疾患が疑われます。

    1. 白内障

    白内障は、目の中でレンズの役割を果たしている水晶体が濁る病気です。主に加齢が原因で発症し、誰もが年を重ねるとともに進行していきます。
    白内障になると、視界がかすんだり、ぼやけたりするだけでなく、まぶしさを感じやすくなったり、色の識別が難しくなったりします。かつては失明原因の多くを占めていましたが、現在は手術で人工レンズを入れることで視力を回復できる病気になっています。
    白内障は徐々に進行していくため、視力低下に気づきづらいこともあります。定期的な眼科検診で進行状況を確認しましょう。

    2. 緑内障

    緑内障は、眼圧の上昇などにより視神経が障害を受け、視野が欠けていく病気です。初期には自覚症状がほとんどないため、「静かな失明」とも呼ばれています。 緑内障には慢性と急性があり、慢性の場合は徐々に視野が狭くなっていきますが、急性の場合は突然の激しい目の痛み、頭痛、吐き気などを伴い、緊急の治療が必要です。 急性緑内障発作は数日で失明する可能性もある怖い病気です。 目がかすむ症状に加えて、強い目の痛みや頭痛、吐き気などがある場合は、すぐに眼科を受診してください。

    3. 糖尿病網膜症

    糖尿病の合併症として起こる糖尿病網膜症は、高血糖状態が続くことで網膜の血管に障害が生じる病気です。初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると視力低下や視界のかすみが現れます。
    糖尿病網膜症は日本人の失明原因の第2位を占める重大な疾患です。
    糖尿病と診断された方は、定期的な眼科検診が不可欠です。 血糖コントロールが不良な状態が続くと、網膜の血管が詰まったり、出血したりして視力に影響を及ぼします。重症化すると網膜剥離を引き起こし、失明のリスクが高まります。

    4. 加齢黄斑変性

    網膜の中心部にある黄斑という部分に障害が起こる病気です。主に50歳以上の方に多く見られ、視界の中心がゆがんだり、かすんだりする症状が特徴です。

    加齢黄斑変性は早期治療が重要です。

    現在は抗VEGF抗体の硝子体注射という治療法が主流となっています。 「アムスラーチャート」という格子状の図を使って、自宅でも簡単にチェックできます。格子のゆがみや欠けを感じたら、早めに眼科を受診しましょう。

    目がかすむ症状と関連する全身疾患

    目のかすみは眼疾患だけでなく、全身の病気のサインであることもあります。以下に主な全身疾患との関連を見ていきましょう。

    1. 高血圧

    高血圧が続くと、網膜の血管に負担がかかり、網膜症を引き起こすことがあります。これにより、視界がかすんだり、視力が低下したりすることがあります。
    高血圧は自覚症状が少ない病気ですが、目の検査で高血圧の兆候が見つかることもあります。
    眼底検査は「生きた血管を肉眼で観察できる唯一の検査」とも言われています。

    2. 自己免疫疾患

    ぶどう膜炎は、目の虹彩、毛様体、脈絡膜に炎症が起こる病気です。これらの組織は「ぶどう膜」と総称され、血管が豊富なため全身の炎症の影響を受けやすい特徴があります。
    ベーチェット病、サルコイドーシス、関節リウマチなどの自己免疫疾患に伴って発症することが多く、目のかすみや充血、痛みなどの症状が現れます。
    ぶどう膜炎の症状がある場合は、眼科だけでなく内科的な精査も必要になることがあります。

    3. 脳血管障害

    脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が視覚を担当する部分で起こると、突然視界がかすんだり、視野の一部が見えなくなったりすることがあります。
    特に片目だけが急に見えにくくなった場合や、視野の半分が見えなくなった場合は、脳血管障害の可能性があるため、緊急の受診が必要です。 「一過性黒内障」という症状をご存知ですか? これは片目の視力が一時的に失われる症状で、数分から数時間で回復します。
    しかし、これは一時的に目にいく血管が詰まって起こっている可能性があり、脳梗塞の前兆である可能性もあるため、決して軽視してはいけません。

    目がかすむときの対処法

    目がかすむ症状に対する対処法は、原因によって異なります。ここでは、症状別の対処法を紹介します。

    1. 疲れ目・眼精疲労によるかすみ

    デジタル機器の使用による疲れ目は、現代人にとって避けられない問題です。
    以下の対策を試してみましょう。

    ・20-20-20ルール:20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒間見る
    ・ブルーライトカットメガネの使用
    ・画面の明るさと位置の調整
    ・定期的な休憩と目の運動
    ・温かいタオルで目を温める

    特に重要なのは、こまめに休憩を取ることです。長時間同じ距離を見続けることで、目の筋肉が緊張状態になります。遠くを見ることで、この緊張を解きほぐしましょう。

    2. ドライアイによるかすみ

    ドライアイは現代社会で急増している眼疾患です。
    以下の対策が効果的です。

    ・人工涙液の使用(防腐剤フリーのものがおすすめ)
    ・室内の湿度管理(加湿器の使用)
    ・コンタクトレンズの装用時間を守る
    ・まばたきを意識する(特にパソコン作業時)
    ・オメガ3脂肪酸を含む食品の摂取

    ドライアイの症状が続く場合は、眼科を受診しましょう。
    涙の質や量を改善する点眼薬や、涙点プラグという治療法もあります。 最近では、マイボーム腺機能不全(MGD)という、まぶたの油を分泌する腺の異常がドライアイの主な原因として注目されています。

    3. 病気が疑われる場合

    以下のような症状がある場合は、自己判断せず、すぐに眼科を受診してください。

    ・突然の視力低下や視界のかすみ
    ・目の痛みを伴う視界のかすみ
    ・頭痛や吐き気を伴う視界のかすみ
    ・視界の一部が見えない
    ・片目だけが急にかすむ
    ・光がまぶしく感じる
    ・虹や光の輪が見える

    これらの症状は、緑内障や網膜剥離、脳血管障害など、緊急治療が必要な病気のサインかもしれません。
    目の健康は全身の健康と密接に関連しています。 定期的な眼科検診は、目の病気だけでなく、全身の病気の早期発見にもつながります。特に40歳を過ぎたら、年に一度は眼科検診を受けることをお勧めします。

    目のかすみを予防するための生活習慣

    目の健康を維持するためには、日常生活での心がけが重要です。以下に効果的な予防法をご紹介します。

    1. バランスの良い食事

    目の健康に良い栄養素を積極的に摂りましょう。

    ルテイン・ゼアキサンチン:ほうれん草、ケール、卵黄
    ビタミンA:レバー、ニンジン、カボチャ
    ビタミンC:柑橘類、イチゴ、ブロッコリー
    ビタミンE:ナッツ類、種子、植物油
    オメガ3脂肪酸:青魚(サバ、サーモンなど)
    亜鉛:牡蠣、赤身肉、豆類 

    特にルテインとゼアキサンチンは、黄斑部に集まって紫外線や青色光から網膜を守る働きがあります。加齢黄斑変性の予防に効果的と言われています。 青魚に含まれるDHAやEPAは、ドライアイの改善にも役立ちます。

    2. 適切な生活習慣

    全身の健康が目の健康にも影響します。以下の点に注意しましょう。

    ・十分な睡眠をとる
    ・禁煙する(喫煙は白内障や加齢黄斑変性のリスクを高める)
    ・適度な運動を行う
    ・紫外線対策(UVカットサングラスの使用)
    血圧・血糖値・コレステロール値の管理

    特に喫煙は様々な眼疾患のリスクを高めることが科学的に証明されています。
    禁煙は目の健康にとって非常に重要です。 また、紫外線は白内障や翼状片の原因となるため、外出時はUVカットサングラスの着用をお勧めします。

    3. 定期的な眼科検診

    多くの眼疾患は初期には自覚症状がないため、定期的な検診が重要です。

    40歳未満:2〜3年に1回
    40〜64歳:1〜2年に1回
    65歳以上:年に1回
    糖尿病や高血圧がある方:医師の指示に従う(通常は年に1〜2回)

    眼科検診では、視力検査だけでなく、眼圧測定や眼底検査など、様々な検査を行います。これにより、自覚症状がない段階で眼疾患を発見することができます。
    「目は口ほどにものを言う」ということわざがありますが、目は全身の健康状態を映し出す鏡でもあります。 目の健康を守ることは、全身の健康を守ることにもつながります。

    まとめ:目がかすむ症状を見逃さないために

    目がかすむという症状は、単なる疲れ目から重篤な病気まで、様々な原因で起こります。症状が一時的なものであれば、休息や生活習慣の改善で対処できることも多いですが、以下のような場合は早めに眼科を受診しましょう。

    目のかすみが長期間続く
    急に視界がかすむ
    目の痛み、頭痛、吐き気などを伴う
    視野の一部が見えない
    片目だけの症状
    光がまぶしく感じる
    虹や光の輪が見える

    特に40歳を過ぎたら、自覚症状がなくても定期的に眼科検診を受けることをお勧めします。
    多くの眼疾患は早期発見・早期治療が重要です。 目の健康は生活の質に直結します。
    日常生活での予防と定期的な検診で、大切な目を守りましょう。 目に関するお悩みがあれば、お気軽に梅の木眼科クリニックにご相談ください。
    経験豊富な専門医が、一人ひとりに合った適切な診断と治療をご提案いたします。 詳しい情報や診療時間については、梅の木眼科クリニック公式サイトをご覧ください。

    著者情報:院長 熊谷悠太

    日本眼科学会認定/眼科専門医
    身体障害者福祉法指定医(15条指定医)
    視覚障害者用補装具適合判定医師研修会/受講修了
    2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、同大学病院眼科学教室入局
    2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
    2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長、桜ヶ丘中央病院非常勤
    2019年 梅の木眼科クリニック開院

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