医療法人柔敦

老眼の進行を抑える方法〜専門医が教える効果的な対策

お問い合わせはこちら

老眼の進行を抑える方法〜専門医が教える効果的な対策

老眼の進行を抑える方法〜専門医が教える効果的な対策

2025/09/17

老眼とは?加齢による目の変化を理解する

「最近、スマホの文字が見づらくなった」「本を読むとすぐに目が疲れる」といった経験はありませんか?これらは老眼の初期症状かもしれません。老眼は誰にでも訪れる自然な加齢現象です。
しかし、その進行を緩やかにする方法は確かに存在します。 老眼は一般的に40歳前後から自覚症状が現れ始めます。多くの方が45歳頃には老眼鏡が必要になるといわれています。

日常生活での目の使い方によっては、もっと早く症状が出ることもあります。老眼は病気ではなく、目の老化現象の一つです。私たちの目には「水晶体」というレンズの役割をする部分があり、この水晶体の厚みを変えることで、遠くや近くにピントを合わせています。この厚みを調節しているのが「毛様体筋」という筋肉です。 加齢とともに水晶体は徐々に硬くなり、弾力性を失っていきます。そのため、毛様体筋が収縮しても水晶体の形が変わりにくくなり、近くのものにピントが合わなくなるのです。

これが老眼の正体です。

老眼の主な症状と進行過程

老眼の症状は徐々に進行します。初期症状を知っておくことで、早めの対策が可能になります。
老眼の主な症状には以下のようなものがあります。

・細かい文字が読みづらくなる
・手元が見えにくい
・暗い場所でものが見えにくくなる
・目の疲れを感じやすくなる
・頭痛や肩こりが増える
・夕方になると見辛くなる

特に注目すべきは「夕方老眼」と呼ばれる初期症状です。これは、一日中近くを見る作業をした後、夕方になると遠くがかすんで見えるという症状です。
毛様体筋が近くにピントを合わせたまま固まってしまい、遠くへのピント調整がスムーズにできなくなるためです。

老眼は40代前半から自覚症状が出始め、50代後半までに進行していきます。近視の方は老眼を自覚しにくい傾向がありますが、近視用のメガネやコンタクトを常用している場合は、同じように40歳頃から症状が現れます。

老眼の症状を放置していると、眼精疲労がひどくなるだけでなく、自律神経のバランスが崩れて体調不良を引き起こすこともあります。頭痛や肩こり、倦怠感、さらには集中力の低下などにつながる可能性もあるのです。

老眼の進行を抑える効果的なトレーニング法

老眼は完全に予防することはできませんが、適切なケアやトレーニングによって進行を緩やかにすることは可能です。
ここでは、日常生活で簡単に実践できる効果的なトレーニング法をご紹介します。

目のストレッチで毛様体筋を鍛える

目のピント調節機能を働かせるためのシンプルなトレーニングです。デスクワークやスマホ使用中に10分に1回程度、意識的に行いましょう。

1.手元にピントを合わせる
2.視線をギリギリピントが合う遠い位置に動かす
3.視線を手元に戻す

このトレーニングは、メガネやコンタクトをつけたままでも問題ありません。視線は水平だけでなく、天井など上へ向けるのもおすすめです。毛様体筋を意識的に動かすことで、筋肉の衰えを遅らせる効果が期待できます。

遠近ウォッチングで目の筋肉を活性化

遠近ウォッチングは、目のピント調節に関わる筋肉を動かすことで、目の疲れを和らげるトレーニングです。普段あまり使わない筋肉を刺激することで血流が促進されます。

1.腕を伸ばして親指を立て、爪を1秒間見つめる
2.視線を3~5メートル先に向け、対象物を決めて1秒間見つめる
3.1と2を5往復以上繰り返す

このトレーニングは短時間で手軽にできるので、仕事や勉強の合間のリフレッシュにもぴったりです。毎日続けることで、目の筋肉の柔軟性を維持する効果が期待できます。

100均メガネを活用したピントリセット法

100円均一ショップで売っている老眼鏡を使って、ピント調節で緊張状態となっている毛様体筋をほぐす方法です。
ぼやけた焦点の合わない状態をわざと作って、ピントをリセットします。

1.100均で売っている+2度の老眼鏡を用意する
2.メガネやコンタクトをつけている場合はその上から、老眼鏡をかける
3.1m以上離れている景色や、ポスターなどをぼーっと眺める

毎日5分を目安に、就寝前に行うと効果的です。
このトレーニングは、毛様体筋の緊張をほぐし、リラックスさせる効果があります。あまり長時間行うと頭痛の原因になることがあるので、気をつけてください。

生活習慣の改善で老眼の進行を遅らせる

老眼の進行を抑えるためには、日々の生活習慣の見直しも重要です。
特に目の健康に影響を与える習慣について考えてみましょう。

目に良い食事と栄養素

目の健康を維持するためには、適切な栄養素を摂取することが大切です。
特に以下の栄養素は目の健康に重要とされています。

・ルテイン・ゼアキサンチン:ほうれん草、ケール、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれています
・ビタミンA:レバー、ニンジン、カボチャなどに豊富です
・ビタミンC・E:柑橘類、ナッツ類などから摂取できます
・オメガ3脂肪酸:青魚(サバ、サンマなど)に多く含まれています

バランスの良い食事を心がけることで、目の組織の修復や保護に必要な栄養素を十分に摂取することができます。
特に抗酸化作用のある栄養素は、加齢による目の組織のダメージを軽減する効果が期待できます。

良質な睡眠の確保

睡眠中は目の細胞が修復される大切な時間です。質の良い睡眠を確保することで、目の疲労回復を促進し、老眼の進行を緩やかにする効果が期待できます。
特に就寝前のブルーライトの過剰な摂取は、睡眠の質を低下させる原因となります。寝る1時間前にはスマホやパソコンの使用を控え、目と脳をリラックスさせる時間を作りましょう。

ブルーライトや紫外線からの保護

長時間のデジタル機器の使用は、目に大きな負担をかけます。特にブルーライトは目の奥まで届き、網膜にダメージを与える可能性があります。
ブルーライトカットメガネの使用や、デジタル機器の画面の明るさを調整するなどの対策が効果的です。

また、紫外線も目の老化を促進する要因の一つです。外出時にはサングラスや帽子を活用して、紫外線から目を守りましょう。特に夏場や雪山など、紫外線の強い環境では注意が必要です。

スマホ老眼と若年化する老眼問題

近年、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器の普及により、若い世代でも老眼のような症状を訴える方が増えています。
これは「スマホ老眼」と呼ばれ、従来の加齢による老眼とは少し異なる特徴を持っています。

スマホ老眼の原因と症状

スマホ老眼には、調節弛緩型と調節緊張型の2つのタイプがあります。
調節弛緩型は、近視の方が眼鏡やコンタクトを使わずに過ごし、裸眼で長時間スマホを見続けることで発生します。毛様体筋のピント調節機能が使われず、水晶体も動かないため、次第に水晶体の弾力が失われていきます。

一方、調節緊張型は、眼鏡やコンタクトを使って長時間スマホを見続けると、毛様体筋が縮んだまま緩めなくなり、水晶体も厚くなったままになる状態です。その結果、ピントの調節ができなくなります。

スマホ老眼の主な症状には以下のようなものがあります。

・スマホを見ていて、遠くを見ると遠くがぼやける
・遠くは見えるが、近くの文字が見にくい
・焦点が合いにくいうす暗いと見にくい
・目の疲れ、頭痛、肩こり

スマホ老眼の予防と対策

スマホ老眼を予防するためには、以下のような対策が効果的です。

・1時間に10分は休憩し、長時間スマホを見ない
・スマホを30~40センチ離して見る
・意識的にまばたきを増やし、時々遠くを見る
・スマホの画面を少し暗めに設定する
・眼筋の体操を定期的に行う

若い年代のスマホ老眼は、加齢による老眼と異なり、適切な対策を行うことで回復する可能性が高いとされています。
症状が気になる場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします。

老眼鏡と視力矯正の選び方

老眼が進行してきたら、適切な老眼鏡やコンタクトレンズを使用することで、快適な視生活を送ることができます。
ここでは、老眼矯正用の眼鏡やコンタクトレンズの選び方についてご紹介します。

老眼鏡の種類と選び方

老眼鏡には、大きく分けて以下のような種類があります。

・単焦点レンズ:手元を見るとき専用のもので、一般的な老眼鏡です
・二重焦点レンズ:異なる度数の部分の間にくっきりと境目があるレンズです
・累進屈折力レンズ:レンズの度数が連続的に変化し、境目がないレンズです

累進屈折力レンズには、さらに「遠近両用レンズ」「中近両用レンズ」「近近両用レンズ」などの種類があります。
自分の生活スタイルや使用シーンに合わせて選ぶことが大切です。

老眼鏡を選ぶ際は、自己判断で度数を決めるのではなく、眼科や眼鏡店での検査を受けることをおすすめします。適切な度数の老眼鏡を使用することで、目の疲れを軽減し、老眼の進行を緩やかにする効果も期待できます。

コンタクトレンズによる老眼矯正

コンタクトレンズによる老眼矯正には、以下のような選択肢があります。

・遠近両用コンタクトレンズ:一枚のレンズで遠くと近くの両方を見ることができます
・モノビジョン法:片方の目は近くが見えるように、もう片方の目は遠くが見えるように矯正する方法です

遠近両用コンタクトレンズには、「累進屈折力型」「焦点深度拡張型」などの種類があります。それぞれ視界の特性が異なるため、試してみて自分に合ったものを選ぶことが大切です。

コンタクトレンズの選択にあたっては、それまでのコンタクトレンズの使用経験も考慮します。使用経験がある方は同じ種類(ハード・ソフトなど)のレンズを選ぶと、装用感やケアの面で慣れやすいでしょう。
未経験者の場合は、基本的にソフトコンタクトレンズから始めることが多いです。

専門医が教える老眼と上手に付き合うためのアドバイス

老眼は誰にでも訪れる自然な加齢現象です。
無理に抵抗するのではなく、上手に付き合っていくことが大切です。ここでは、眼科専門医としての経験から、老眼と上手に付き合うためのアドバイスをお伝えします。

早期対応の重要性

老眼の症状を感じ始めたら、早めに対応することが重要です。無理をして目に負担をかけ続けると、眼精疲労がひどくなるだけでなく、頭痛や肩こり、さらには自律神経の乱れにつながることもあります。
特に40歳を過ぎたら、定期的に眼科検診を受けることをおすすめします。老眼の進行度合いを確認するとともに、緑内障や白内障などの目の病気の早期発見にもつながります。

デジタル機器との付き合い方

現代社会では、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を使う機会が増えています。特に老眼が気になり始めた方は、デジタル機器の使い方を工夫することで、目の負担を軽減できます。

・20-20-20ルールを実践する:20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒間見る
・画面の明るさやコントラストを調整する
・文字サイズを大きくする
・ブルーライトカット機能を活用する
・定期的に目を休ませる

これらの工夫を日常的に取り入れることで、デジタル機器による目の疲れを軽減し、老眼の進行を緩やかにすることができます。

定期的な目のケアと検診

老眼の進行を抑えるためには、日常的な目のケアと定期的な検診が欠かせません。
目のケアとしては、温かいタオルで目を温めたり、目の周りのツボを優しく押したりすることで、血行を促進し、目の疲れを和らげる効果が期待できます。 また、1年に1回は眼科で検診を受けることをおすすめします。

老眼の進行度合いを確認するだけでなく、他の目の病気の早期発見にもつながります。特に、緑内障や加齢黄斑変性などの病気は初期症状が分かりにくいため、定期検診が重要です。

まとめ:老眼の進行を抑えるための総合的アプローチ

老眼は誰にでも訪れる自然な加齢現象ですが、適切なケアやトレーニングによって進行を緩やかにすることは可能です。
この記事でご紹介した方法を日常生活に取り入れて、快適な視生活を維持しましょう。

・目のトレーニング:目のストレッチや遠近ウォッチングなどで毛様体筋を鍛える
・生活習慣の改善:バランスの良い食事、良質な睡眠、ブルーライト・紫外線対策
・スマホ老眼対策:適切な距離での使用、定期的な休憩、画面設定の工夫
・適切な視力矯正:自分に合った老眼鏡やコンタクトレンズの選択
・定期的な検診:眼科での定期検診による老眼の進行確認と目の病気の早期発見

老眼を無理に抑えようとするのではなく、上手に付き合っていくことが大切です。早めの対応と日常的なケアで、年齢を重ねても快適な視生活を送りましょう。

目の健康に関する詳しい相談や検査をご希望の方は、お気軽に当院までご相談ください。一人ひとりの目の状態や生活スタイルに合わせた、最適なアドバイスをご提供いたします。

梅の木眼科クリニックでは、老眼をはじめとする様々な目のお悩みに対応しております。小さなお子様からご高齢の方まで、幅広い年齢層の患者様に安心して通っていただける温かい診療を心がけています。
ちょっとした目のお悩みや気になることなどございましたら、一度当院にいらしてお気軽にご相談ください。

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定 眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。