医療法人柔敦

目の違和感を放置するリスク~眼科医が警告する危険性

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目の違和感を放置するリスク~眼科医が警告する危険性

目の違和感を放置するリスク~眼科医が警告する危険性

2025/10/30

目の違和感を感じたら要注意!放置が招く深刻な事態

目のかすみや違和感、ときどき感じることはありませんか?「疲れているだけ」「年齢のせいだから」と軽く考えて放置していませんか?

私は眼科医として15年以上にわたり数多くの患者さんを診てきましたが、目の違和感を放置したことで取り返しのつかない事態に陥るケースを何度も目の前にしてきました。
目は私たちの感覚器官の中でも特に重要な役割を担っており、その健康状態は生活の質に直結します。

目の違和感は、単なる一時的な不調ではなく、重大な眼疾患の初期症状である可能性があるのです。早期発見・早期治療が可能であれば防げたはずの視力低下や、最悪の場合は失明に至るケースもあります。 目の健康は全身の健康とも密接に関わっています。視界がぼやけると歩行速度が低下し、足腰の老化を早めることがわかっています。

また、目の不調は睡眠の質や認知機能にも影響を及ぼし、心身の健康全体に悪影響を与えるのです。 あなたは「目の違和感くらいで大げさな」と思われるかもしれません。しかし、私が日々の診療で見ている現実は、そう甘いものではありません。

目の違和感の種類と隠れた危険性

目の違和感といっても、その症状は多岐にわたります。どのような違和感があるのか、それぞれの症状が示す危険性について詳しく見ていきましょう。
目の違和感は大きく分けると、「見え方の異常」と「感覚の異常」の二つに分類できます。
それぞれの症状が示すサインを見逃さないことが重要です。

見え方の異常が示す危険なサイン

視界がぼやける、かすむといった症状は、白内障やドライアイ、緑内障などの可能性があります。

特に白内障は年齢とともに誰もが発症する可能性がある疾患です。 白内障は初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、進行すると視界がかすんだり、まぶしく感じたりします。これは水晶体が濁ることで光が乱反射するためです。 物が歪んで見える場合は、加齢黄斑変性症や中心性漿液性脈絡網膜症の可能性があります。

加齢黄斑変性症は、網膜の下にある脈絡膜から異常な血管が出現する病気で、視力低下や物が歪んで見える症状が現れます。 一つのものが二重に見える症状は、両目の視線が一致していないことが原因かもしれません。
これは眼球を動かす外眼筋の異常が疑われます。 視野の一部が欠けている、視野が狭いと感じる場合は特に注意が必要です。

これらの症状は緑内障や網膜剥離など、失明の恐れがある重篤な疾患の可能性があります。

感覚の異常から読み取れる病気のサイン

目の乾燥感や異物感はドライアイの可能性があります。
ドライアイは涙の量が不足したり、目の表面に涙が均一に行き届かなくなったりする病気です。 放置すると角膜感染症を引き起こすリスクがあります。
角膜感染症は角膜がウイルスや細菌に感染して炎症を起こす病気で、目の痛みや充血などの症状が現れます。 目の痛みや充血が続く場合は、ぶどう膜炎の可能性もあります。
ぶどう膜炎は目の中の虹彩・毛様体・脈絡膜に炎症が起こる病気で、視界がぼやけるなどの症状が現れます。

目の違和感を感じたら、それが何を意味するのか考えてみましょう。 「たかが目の違和感」と軽視せず、早めに眼科を受診することが大切です。

目の違和感を放置するとどうなる?具体的なリスク

目の違和感を放置することで、どのようなリスクが生じるのでしょうか。具体的な事例とともに解説します。
私の診療経験から、最も多いのは白内障の放置による生活の質の低下です。白内障は進行すると視力が大幅に低下し、日常生活に支障をきたします。

視力低下がもたらす生活への影響

白内障を放置すると、単に見え方が悪くなるだけでなく、生活の質全体に影響します。英国の研究では、70歳以上の女性患者において、白内障の手術を受けた人は放置していた人に比べて、転倒のリスクが4割も少なかったという結果が出ています。

また、米国の研究では、白内障を放置した人は股関節骨折のリスクが著しく高くなることが分かっています。白内障の手術をすることで、骨折のリスクが3割近くも低下したという報告もあります。

運転への影響も見逃せません。米国老年学会の研究では、白内障を放置している人が交通事故を起こすリスクは2.5倍も高いことが報告されています。視力だけでなく動体視力も低下するため、事故のリスクが高まるのです。

ドライアイを放置した場合も、実用視力の低下を招きます。実用視力とは日常生活における平均的な視力のことで、ドライアイになると目の表面がでこぼこして光が乱反射し、視界がぼやけてしまいます。

精神面・認知機能への影響

目の不調は精神面にも大きな影響を与えます。白内障の高齢者の多くは「うつ」状態になっており、認知機能障害を合併しているケースも少なくありません。
私たちは身の周りの情報の約90%以上を視覚から得ています。この「情報の窓」が衰えると、生活から活気が失われ、「うつ」状態や認知障害に陥りやすくなります。

白内障が進行すると、テレビや読書、散歩といった趣味や娯楽を楽しめなくなり、外出や人との交流も減少します。その結果、精神的に「うつ状態」となり、認知機能の低下も加速するのです。

睡眠の質にも影響します。睡眠障害に悩む患者さんが白内障手術をすることで、約60%もの方に睡眠障害の改善が見られたという研究結果もあります。

目の健康は、あなたの人生の質を大きく左右するのです。

見え方別に考えられる目の病気と対処法

目の違和感は、その見え方によって考えられる病気が異なります。ここでは、見え方別に考えられる目の病気と適切な対処法について解説します。

視界がぼやける・かすむ場合

視界がぼやけたり、かすんだりする場合は、白内障、ぶどう膜炎、ドライアイ、眼精疲労などが考えられます。

白内障は加齢が主な原因で、水晶体のタンパク質が酸化・変性することで濁りが生じます。早ければ40代から発症することもあり、80歳以上の高齢者のほとんどが経験する病気です。
軽度の場合は服薬治療で進行を抑えることもできますが、視力低下が著しい場合は手術が必要です。白内障手術は非常に一般的で安全性の高い手術です。

ドライアイは、涙の量が不足したり、目の表面に均一に行き届かなくなったりする病気です。長時間のパソコンやスマートフォンの使用が原因となることも多く、現代人に増加傾向にあります。
ドライアイの治療法には、点眼治療と涙点プラグの2種類があります。点眼治療は人工涙液やヒアルロン酸点眼液を用いて涙液を補充し、角膜の傷の修復を促します。

涙点プラグは涙点に栓をして涙が流れないようにし、目の表面に涙を溜める方法です。 自分でできる対処法としては、こまめに目薬をさす、まばたきの回数を増やす、目を温めるなどがあります。

特にパソコン作業中はまばたきが減りがちなので、意識的に増やすことが大切です。 

物が歪んで見える・二重に見える場合

物が歪んで見える場合は、加齢黄斑変性症や中心性漿液性脈絡網膜症が考えられます。

加齢黄斑変性症は、網膜の下にある脈絡膜から異常な血管が出現する病気です。この新生血管は非常に弱いため破れやすく、出血や浮腫を引き起こし、視力低下や物が歪んで見える症状が現れます。

中心性漿液性脈絡網膜症は、網膜色素上皮から漿液が漏れ出ることで起こる病気です。30~50歳代の働き盛りの男性に多く、視野の中心にモヤがかかったり、物が歪んで見えたりします。一つの物が二重に見える場合は、両目の視線が一致していないことが原因かもしれません。
これは眼球を動かす外眼筋の異常が疑われます。

視野の異常がある場合

視野の一部が欠けている、視野が狭いと感じる場合は、緑内障や網膜剥離などの可能性があります。これらは失明の恐れがある重篤な疾患なので、すぐに眼科を受診することが重要です。

緑内障は、眼圧の上昇などにより視神経が障害される病気です。初期には自覚症状がほとんどなく、気づいたときには視野が狭くなっていることが多いため、定期的な検査が欠かせません。

網膜剥離は、網膜が剥がれてしまう病気で、放置すると失明する可能性があります。視界に黒い影が見える、視野の一部が欠けるなどの症状がある場合は、緊急で眼科を受診してください。

目の異常は、その見え方によって考えられる病気が異なります。少しでも違和感を感じたら、早めに眼科を受診することをお勧めします。

目の違和感を感じたらすべきこと~正しい対処法

目に違和感を感じたとき、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、症状別の正しい対処法と受診の目安について解説します。
まず大切なのは、目の違和感を軽視しないことです。「疲れているだけだろう」「年齢のせいだから仕方ない」と放置せず、適切に対処しましょう。

症状別の応急処置と受診の目安

目の乾燥感や異物感を感じる場合は、市販の人工涙液を使用することで一時的に症状が緩和することがあります。ただし、症状が続く場合は眼科を受診しましょう。
目の充血や痛みがある場合は、冷たいタオルで目を冷やすと症状が和らぐことがありますが、これも一時的な対処法です。痛みが強い場合や視力に影響がある場合は、すぐに眼科を受診してください。
視界がぼやける、かすむ、歪むといった症状がある場合は、自己判断せずに眼科を受診することをお勧めします。
これらの症状は重篤な眼疾患の可能性があるためです。

特に以下のような症状がある場合は、緊急で眼科を受診してください。
突然の視力低下
視野の一部が欠ける
強い目の痛み
目の外傷
激しい充血

これらの症状は、網膜剥離や急性緑内障発作など、緊急治療が必要な状態の可能性があります。

定期検診の重要性

目の健康を守るためには、定期的な眼科検診が欠かせません。
特に40歳を過ぎたら、症状がなくても年に1回は眼科を受診することをお勧めします。 緑内障や加齢黄斑変性症など、初期には自覚症状がほとんどない病気もあります。
定期検診によって早期発見・早期治療が可能になり、視力低下や失明のリスクを大幅に減らすことができます。

また、糖尿病や高血圧などの全身疾患がある方は、眼合併症のリスクが高まるため、より頻繁な検診が必要です。
主治医と相談して、適切な検診間隔を決めましょう。

目の健康は一度失うと取り戻すことが難しいものです。違和感を感じたらすぐに対処し、定期的な検診で予防することが大切です。
あなたの目の健康は、あなた自身で守る意識が何よりも重要なのです。

目の健康を守るための日常生活での予防策

目の病気を予防し、健康な目を維持するためには、日常生活での心がけが重要です。ここでは、目の健康を守るための具体的な予防策をご紹介します。

正しい生活習慣で目を守る

まず大切なのは、バランスの良い食事です。ビタミンA、C、E、亜鉛、ルテインなどの栄養素は、目の健康維持に重要な役割を果たします。緑黄色野菜、果物、魚などを積極的に摂取しましょう。

十分な睡眠も目の健康には欠かせません。睡眠中に目は休息し、修復されます。7~8時間の質の良い睡眠を心がけましょう。

適度な運動も目の健康に良い影響を与えます。運動によって血行が促進され、目への酸素や栄養の供給が増えます。
ウォーキングやヨガなど、無理のない運動を継続しましょう。

喫煙は目の健康に悪影響を及ぼします。喫煙者は非喫煙者に比べて、加齢黄斑変性症や白内障のリスクが高まることが分かっています。禁煙することで、目の健康リスクを減らすことができます。

デジタル機器使用時の注意点

現代人の多くは、長時間パソコンやスマートフォンを使用しています。これらのデジタル機器の使用は、目の疲れやドライアイの原因となります。

デジタル機器を使用する際は、20-20-20ルールを実践しましょう。これは、20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を、20秒間見るというルールです。
これにより、目の疲れを軽減することができます。

また、画面の明るさや位置も重要です。画面は目の高さよりやや下に設置し、適切な明るさに調整しましょう。
部屋の照明も、画面との明暗差が大きくならないよう調整することが大切です。

ブルーライトカットメガネの使用も検討してみてください。ブルーライトは目の疲れや睡眠障害の原因となる可能性があります。

紫外線対策の重要性

紫外線は白内障や加齢黄斑変性症のリスク因子です。外出時には、UVカット機能付きのサングラスや帽子を着用しましょう。
特に、海や雪山など紫外線の強い場所では、より一層の注意が必要です。紫外線は曇りの日でも存在するため、日常的な対策を心がけましょう。

目の健康は、日々の小さな心がけの積み重ねで守ることができます。今日から実践できる予防策を取り入れ、大切な目を守りましょう。
あなたの目は一生使い続ける大切な器官です。今からでも遅くありません。目の健康を守るための第一歩を踏み出しましょう。

まとめ~目の健康は人生の質を左右する

目の違和感を放置することのリスクについて、様々な角度から解説してきました。ここで改めて重要なポイントをまとめてみましょう。

目の違和感は、単なる一時的な不調ではなく、重大な眼疾患の初期症状である可能性があります。白内障、緑内障、加齢黄斑変性症、ドライアイなど、様々な病気が目の違和感として現れることがあります。 これらの症状を放置すると、視力低下だけでなく、転倒や骨折のリスク増加、運転時の事故リスク上昇、うつ状態や認知機能の低下など、生活全般に大きな影響を及ぼします。

目の健康は、生活の質や健康寿命と密接に関わっているのです。 目の違和感を感じたら、自己判断せずに眼科を受診することが大切です。
特に視力低下、視野異常、強い痛みなどの症状がある場合は、緊急で受診してください。 また、40歳を過ぎたら、症状がなくても年に1回は定期検診を受けることをお勧めします。早期発見・早期治療が、視力低下や失明のリスクを大幅に減らす鍵となります。

日常生活では、バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動、禁煙などの健康的な生活習慣を心がけましょう。デジタル機器の使用時には20-20-20ルールを実践し、外出時には紫外線対策を忘れないようにしましょう。

目の健康は一度失うと取り戻すことが難しいものです。「年だから仕方ない」と諦めず、適切なケアと治療で目の健康を守りましょう。

私たち梅の木眼科クリニックでは、患者様一人ひとりに合った最適な治療を提供し、目の健康をサポートいたします。目の違和感や不安がある方は、お気軽にご相談ください。
あなたの大切な目の健康を守るお手伝いをさせていただきます。 詳しい情報や診療時間については、梅の木眼科クリニックのホームページをご覧ください。

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定 眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

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