結膜炎を早く治す7つの方法〜眼科医が教える効果的なケア
2025/11/18
結膜炎とは?症状と原因を理解しましょう
結膜炎は、目の表面を覆う薄い透明な膜である結膜に炎症が生じる病気です。結膜は黒目(角膜)の周りの白目の表面と、まぶたの裏側を覆うピンク色の部分からなっています。
結膜には目に入ってきた異物や病原体が目の中に侵入するのを防ぐ重要な働きがあるのです。この膜に炎症が起こると、血管が拡張して白目が赤くなり、様々な不快な症状が現れます。
結膜炎の主な症状には、目の充血、目やに、涙目、目のかゆみや異物感、まぶたの腫れなどがあります。症状の程度は結膜炎の種類や原因によって異なります。
原因としては大きく分けて、細菌やウイルスによる感染性のものと、アレルギーによる非感染性のものがあります。それぞれ症状や治療法が異なるため、適切な対処をするためには原因を正しく把握することが重要です。
結膜炎の主な種類と特徴
結膜炎は原因によって大きく3つのタイプに分類されます。それぞれ症状や治療法が異なるため、どのタイプかを見極めることが早期回復への第一歩となります。
ウイルス性結膜炎(はやり目)
アデノウイルスが主な原因で、非常に感染力が強いのが特徴です。突然の充血、大量の目やに、涙、まぶたの腫れなどの症状が現れます。
特に朝起きたとき、目やにで目が開かないほどになることもあります。また、耳の前のリンパ節が腫れて触ると痛みを感じることがあります。
ウイルス性結膜炎には特効薬がなく、症状が治まるまで1〜3週間ほどかかります。
感染力が非常に強いため、タオルの共用を避け、手洗いを徹底するなどの感染予防が重要です。
細菌性結膜炎
インフルエンザ菌や黄色ブドウ球菌などの細菌感染によって起こります。粘り気のある黄色い目やにが特徴で、白目が充血します。
ウイルス性と比べると感染力は弱いですが、子どもや高齢者、体力の落ちている方は注意が必要です。
抗菌薬による治療が効果的で、適切な治療を受ければ比較的早く回復します。
アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因で起こります。目のかゆみが強く、白っぽい糸を引くような目やにが特徴です。
季節性のものと通年性のものがあり、季節性は主に春や秋に花粉によって症状が現れます。
通年性はダニやハウスダストが原因で一年中症状が続きます。
感染性ではないため人にうつることはありませんが、アレルゲンから離れないと症状が続きます。抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬が効果的です。
結膜炎を早く治す7つの方法
結膜炎は適切なケアを行うことで、症状の緩和や回復期間の短縮が可能です。ここでは眼科医として長年の経験から、結膜炎を早く治すための7つの効果的な方法をご紹介します。
1. 早期の眼科受診と適切な診断
結膜炎の症状が現れたら、できるだけ早く眼科を受診しましょう。原因によって治療法が異なるため、専門医による正確な診断が早期回復の鍵となります。
特に目の痛みが強い、視力低下がある、光がまぶしく感じるといった症状がある場合は、角膜にも炎症が及んでいる可能性があるため、すぐに眼科を受診してください。
2. 適切な点眼薬の使用
医師の処方に従って、適切な点眼薬を正しく使用することが重要です。細菌性結膜炎には抗菌点眼薬、アレルギー性結膜炎には抗アレルギー点眼薬が効果的です。
ウイルス性結膜炎には特効薬はありませんが、炎症を抑えるステロイド点眼薬や二次感染を防ぐための抗菌点眼薬が処方されることがあります。
点眼薬は指示された回数と期間を守って使用しましょう。症状が改善してきても、医師の指示なく途中で使用を中止すると再発する恐れがあります。
3. 清潔なタオルでの冷却
特にアレルギー性結膜炎では、清潔な冷たいタオルで目を冷やすと、かゆみや炎症を和らげる効果があります。冷蔵庫で冷やした清潔なタオルを軽く絞り、閉じた目の上に数分間置きましょう。
ただし、タオルは必ず清潔なものを使用し、使い回しは避けてください。
特にウイルス性結膜炎の場合は、感染拡大を防ぐために一度使用したタオルは洗濯するか、使い捨てのペーパータオルを使用するのが望ましいです。
4. 目をこすらない
かゆみがあっても目をこすらないようにしましょう。こすることで炎症が悪化したり、角膜に傷がついたりする可能性があります。
また、感染性の結膜炎の場合は、手を介して他の部位や他の人に感染を広げる原因になります。
どうしてもかゆい場合は、清潔なハンカチやティッシュで軽く押さえるにとどめ、こするのは避けてください。
5. コンタクトレンズの使用中止
結膜炎の症状がある間は、コンタクトレンズの使用を中止しましょう。レンズが炎症を悪化させたり、細菌の温床になったりする可能性があります。
症状が完全に治まってから、新しいレンズに交換して使用を再開するのが安全です。また、使用していたレンズケースも新しいものに交換することをお勧めします。
6. 感染予防の徹底
特にウイルス性結膜炎は感染力が非常に強いため、家族内での感染予防が重要です。タオルやハンカチの共用は避け、こまめな手洗いを心がけましょう。
また、目を触った後は必ず手を洗い、使用したタオルやシーツはこまめに洗濯することで、家族内での感染拡大を防ぐことができます。
7. 十分な休息と栄養バランスの良い食事
体の免疫力を高めることも、結膜炎からの回復を早める重要な要素です。十分な睡眠をとり、バランスの良い食事を心がけましょう。
特にビタミンAやビタミンCは免疫機能の維持に重要な栄養素です。緑黄色野菜や果物を積極的に摂取することをお勧めします。
結膜炎の種類別・効果的な対処法
結膜炎の種類によって最も効果的な対処法は異なります。ここでは、各タイプの結膜炎に対する具体的な対処法をご紹介します。
ウイルス性結膜炎の対処法
ウイルス性結膜炎には特効薬がないため、症状を和らげるための対症療法が中心となります。
目やにがひどい場合は、清潔なガーゼや脱脂綿を生理食塩水や白湯で湿らせ、目の外側から内側に向かって優しく拭き取りましょう。この際、使用したガーゼは捨て、再利用しないようにしてください。
ウイルス性結膜炎は接触感染なので、目ヤニなどがついた手から感染が拡大します。感染拡大を防ぐため、タオルやハンカチの共用は避け、こまめに手を洗いましょう。特に目を触った後は必ず手を洗うことが重要です。
また、学校や職場は症状のピークが過ぎるまで(通常1週間程度)休むことが望ましいでしょう。
細菌性結膜炎の対処法
細菌性結膜炎は抗菌薬による治療が効果的です。医師の処方に従って抗菌点眼薬を使用しましょう。
目やには清潔なガーゼで優しく拭き取り、感染拡大を防ぐために使用したガーゼは捨てるようにしてください。症状が軽ければ通常の生活を送ることも可能ですが、子どもや高齢者の場合は感染予防に特に注意が必要です。
アレルギー性結膜炎の対処法
アレルギー性結膜炎は原因となるアレルゲンを避けることが最も効果的です。
花粉が原因の場合は、外出時にメガネやマスクを着用し、帰宅後は手洗い・うがい・洗顔を行いましょう。室内では空気清浄機の使用や、こまめな掃除でハウスダストを減らす工夫も効果的です。
医師の処方に従って抗アレルギー点眼薬を使用し、症状が強い場合は内服薬を併用することもあります。
かゆみが強い場合は、清潔な冷たいタオルで目を冷やすと症状が和らぎます。ただし、目をこすらないように注意しましょう。
結膜炎の予防法と日常生活での注意点
結膜炎は適切な予防策を講じることで、発症や再発のリスクを減らすことができます。日常生活での注意点をご紹介します。
手洗いの徹底
感染性結膜炎の予防には、こまめな手洗いが最も効果的です。特に外出後や目を触る前には必ず手を洗いましょう。
石鹸をよく泡立て、指の間や爪の間まで丁寧に洗い、清潔なタオルで拭き取ることが重要です。
タオル・ハンカチの共用を避ける
家族内でもタオルやハンカチの共用は避けましょう。
特に誰かが結膜炎になった場合は、個人用のタオルやペーパータオルを用意し、タオルの使用後はこまめに洗濯することが大切です。
コンタクトレンズの適切な管理
コンタクトレンズを使用している方は、レンズの洗浄や保存を適切に行い、装着時間を守ることが重要です。
また、レンズを装着したまま就寝することは避け、定期的にレンズケースも新しいものに交換しましょう。
アレルギー対策
アレルギー性結膜炎を予防するには、原因となるアレルゲンを避けることが重要です。
花粉の季節には外出時にメガネやマスクを着用し、帰宅後は手洗い・うがい・洗顔を行いましょう。
室内では定期的な掃除や空気清浄機の使用で、ハウスダストやダニを減らす工夫も効果的です。
結膜炎と間違えやすい眼疾患
結膜炎と似た症状を示す眼疾患もあります。自己判断せず、正確な診断を受けることが重要です。
角膜炎は黒目(角膜)に炎症が生じる疾患で、結膜炎よりも痛みが強く、視力低下を伴うことが多いです。放置すると視力に影響を及ぼす可能性があるため、早期の受診が必要です。
ぶどう膜炎は目の中間層に炎症が生じる疾患で、充血に加えて、痛み、視力低下、光がまぶしく感じるなどの症状があります。こちらも早期治療が重要です。
ドライアイも目の乾燥による充血や異物感があり、結膜炎と間違えられることがあります。
しかし、目やにが少なく、乾燥感や疲れ目の症状が強いのが特徴です。
まとめ:結膜炎の早期回復のために
結膜炎は適切な対処と治療を行うことで、症状の緩和や回復期間の短縮が可能です。重要なのは、原因に応じた適切な対応を行うことです。
ウイルス性結膜炎は特効薬がないため、症状を和らげる対症療法と感染拡大防止が中心となります。細菌性結膜炎は抗菌薬による治療が効果的で、適切な治療を受ければ比較的早く回復します。
アレルギー性結膜炎はアレルゲンを避けることと抗アレルギー薬の使用が効果的です。
いずれの場合も、早期の眼科受診と医師の指示に従った治療が重要です。また、手洗いの徹底やタオルの共用を避けるなどの予防策も忘れないようにしましょう。
目の健康は日常生活の質に大きく影響します。少しでも気になる症状があれば、自己判断せずに眼科を受診することをお勧めします。
結膜炎でお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。患者様一人ひとりの症状に合わせた適切な治療をご提案いたします。
梅の木眼科クリニックでは、結膜炎をはじめとする様々な眼疾患に対応しております。経験豊富な医師による丁寧な診察と説明で、皆様の目の健康をサポートいたします。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定 眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

