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白内障の種類と原因を徹底解説|加齢・糖尿病・外傷など発症メカニズムの違い

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白内障の種類と原因を徹底解説|加齢・糖尿病・外傷など発症メカニズムの違い

白内障の種類と原因を徹底解説|加齢・糖尿病・外傷など発症メカニズムの違い

2025/12/17

白内障とは・・・目の「水晶体」が濁る病気

「最近、視界がかすむようになった」「夜の運転で対向車のライトがまぶしく感じる」・・・そんな症状に心当たりはありませんか?

白内障は、目の中にある「水晶体」という透明なレンズが濁ってしまう病気です。
水晶体はカメラのレンズのような役割を担い、光を屈折させて網膜に像を結びます。この水晶体が濁ると、光がうまく通過できなくなり、視界がかすんだり、まぶしく感じたりするようになります。

白内障は決して珍しい病気ではありません。80歳以上ではほぼ100%の方が何らかの白内障を発症すると言われており、加齢とともに誰にでも起こりうる目の変化です。
ただし、原因は加齢だけではなく、糖尿病やアトピー性皮膚炎、外傷など、さまざまな要因が関係しています。

この記事では、白内障の種類とそれぞれの原因について、眼科専門医の視点から詳しく解説します。
ご自身やご家族の目の健康を守るために、白内障についての正しい知識を身につけていただければ幸いです。

白内障の種類・・・先天性と後天性に大別される

白内障は、発症の時期によって大きく2つに分類されます。

先天性白内障・・・生まれつき水晶体が濁っている状態

先天性白内障とは、生まれたときからすでに水晶体が濁っている状態を指します。

発症の要因には、遺伝的な問題や母胎内での感染(風疹など)が挙げられます。
先天性白内障の場合、外からの光が網膜まで十分に届かないため、視力の発達が遅れる可能性があります。そのため、視力が正常に発達できるよう、できる限り早めの手術が必要となることがあります。

また、母体感染が原因の場合は、ご家族の検査も必要になることがあります。

後天性白内障・・・加齢や外傷などで発症する白内障

後天性白内障は、生まれつきではなく、加齢や外傷、病気などの影響で発症する白内障です。

主な原因は加齢ですが、ステロイド剤の副作用や糖尿病、アトピー性皮膚炎などの持病が発症の引き金になることもあります。水晶体の濁り具合や持病の影響なども考慮されるため、治療方法は状況に応じて異なります。

後天性白内障も手術によって治すことができる病気です。適切なタイミングで治療を受けることで、視力を回復し、生活の質を大きく改善することが可能です。

加齢性白内障・・・最も多い白内障の原因

白内障を発症する原因の約90%は加齢によるものです。
加齢性白内障(老人性白内障)は、年齢を重ねることで水晶体のタンパク質が変性し、徐々に濁ってくる状態を指します。

個人差はありますが、40歳代で約40%、50歳代で約65%、60歳代で75%、70歳代で85%、80歳代以上ではほぼ100%の方が何らかの白内障を発症すると言われています。

加齢で水晶体が濁るメカニズム

水晶体の主成分は「クリスタリン」というタンパク質と水です。若い頃、このタンパク質は規則正しく並んでいるため、水晶体は透明です。しかし、加齢や長年の紫外線の影響によってタンパク質が変性し、白く濁ってしまいます。

この変化は、透明な生卵の白身に熱を加えると白く固まる様子と似ています。一度濁った水晶体は、残念ながら自然に元の透明な状態に戻ることはありません。

加齢性白内障の症状

加齢性白内障は、水晶体の周囲(皮質部分)から濁ってくることが多く、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
進行して濁りが中央にかかってくると、以下のような症状が現れます。

目がかすむ
まぶしく感じる(羞明)
視力が低下する
メガネを替えても見えにくい
色が見分けづらくなる

特に夜間の運転で対向車のヘッドライトがまぶしく感じたり、光が散乱して見えにくくなったりする場合は、白内障の可能性があります。

若年性白内障・・・20~40代でも発症する可能性

白内障は高齢者の病気というイメージがありますが、実は20~40代の若い世代でも発症することがあります。 若年性白内障の原因には、以下のようなものが考えられています。

紫外線
強度近視
疲労やストレス
偏った食生活
喫煙
過度のアルコール摂取
糖尿病やアトピー性皮膚炎

若い人が白内障を発症する明確な原因は完全には解明されていませんが、紫外線やストレス、生活習慣、潜在的な体質などが関係すると考えられています。

若年性白内障の特徴

若年性白内障は、加齢性白内障に比べて進行が早いことが特徴です。また、「ただの疲れ目」や「老眼の始まり」と勘違いされやすく、発見が遅れることもあります。

視界がかすむ、光がまぶしい、夜間の運転がしづらいなどの症状が出た場合、年齢にかかわらず眼科を受診することが大切です。

糖尿病性白内障・・・血糖値の影響で発症する白内障

糖尿病を患っている方は、健康な方に比べて白内障を発症しやすく、進行も早い傾向があります。

糖尿病が白内障を引き起こすメカニズム

高血糖の状態が続くと、水晶体の中にあるタンパク質が糖と結びつき(糖化)、変性します。この変性が進むと、水晶体の透明性が失われ、白内障が発症します。

また、ブドウ糖が体内で代謝される際に「ソルビトール」という物質が生成されます。糖尿病の方はこの代謝がうまくいかず、水晶体内にソルビトールが蓄積します。
ソルビトールは水分を引き寄せる性質があるため、水晶体がむくみ、透明度が低下して白内障が進行しやすくなります。

さらに、糖尿病では体内の「酸化ストレス」が増加します。水晶体の細胞がこのダメージを受けると、透明性が失われ、白内障が発症・進行しやすくなります。

糖尿病性白内障の特徴

糖尿病性白内障は、一般的な加齢性白内障と異なり、比較的若年層にも発症しやすく、進行速度も速いことが特徴です。

糖尿病の方は、白内障以外にも糖尿病網膜症という合併症のリスクもあるため、眼科での定期的な診察が非常に重要です。血糖値のコントロールを安定させることが、白内障の予防と進行抑制につながります。

アトピー性白内障・・・アトピー性皮膚炎に起因する白内障

アトピー性皮膚炎を患っている方は、若い年齢でも白内障を発症する可能性が高くなっています。

アトピー性白内障の発症原因

アトピー性白内障の発症原因には、以下のようなものが考えられています。

目を掻いたり叩いたりする刺激
免疫の異常による影響
ステロイド薬の長期使用

アトピー性皮膚炎の痒みの影響で、目を掻いたり叩いたりした際の刺激が、水晶体に損傷を与えることがあります。また、免疫の異常による働きからも、アトピー性白内障を発症することがあります。

アトピー性白内障の特徴

アトピー性白内障は、後嚢下白内障(水晶体の後嚢の皮質から濁り始める白内障)の形態をとることが多く、若年層でも発症率が高いことが特徴です。

アトピー性皮膚炎を患っている方は、定期的に眼科を受診し、目の状態をチェックすることが大切です。

外傷性白内障・・・目の怪我が原因で発症する白内障

目に物が当たったり、怪我をしたりなどの衝撃や外傷が原因で発症する白内障を、外傷性白内障と呼びます。

外傷性白内障の原因

外傷性白内障は、以下のような原因で発症します。

鈍的外傷:バトミントンのシャトルや野球のボールが目にぶつかる、転倒して机の角に目をぶつける、喧嘩で目の周辺を殴られる、交通事故で目をぶつけるなど

穿孔性外傷:バイクで転倒してプラスチックの破片が目に入る、自動車の事故で割れたフロントガラスが目に入る、工場の作業中に欠けた鉄片が目に入る、うっかりペンで目を突いてしまうなど

外傷性白内障の特徴

外傷性白内障は、目の傷の程度によっては白内障の進行が早く、他の白内障と比較して急速に深刻な状態に陥ることがあります。

鈍的外傷による白内障は濁りがゆっくりと進む傾向がありますが、放置すると緑内障発作の原因になることもあります。
目の周りに外力が加わった場合は、目立った症状が現れていなくても眼科を受診して経過を観察することが重要です。

穿孔性外傷の場合は、外傷性白内障のほか、感染症などのリスクもあるため、目を傷つけたときはすぐに眼科を受診しましょう。 また、外傷性白内障の場合、目が傷ついてから数年後に発症するケースもあります。

すぐに症状が現れないからといって、外傷性白内障のリスクがないわけではありません。

その他の白内障・・・併発白内障・薬剤性白内障

併発白内障・・・他の目の病気に起因する白内障

ぶどう膜炎や網膜剥離、網膜色素変性症など、他の目の病気によって引き起こされる白内障を、併発白内障と呼びます。

これらの病気はいずれも眼科での定期的な検診が必要な病気です。持病がある方は、定期的に眼科を受診し、目の状態をチェックすることが大切です。

薬剤性白内障・・・ステロイド剤などの副作用による白内障

ステロイド剤の長期使用が、白内障の発症原因となることがあります。
喘息や膠原病などの治療で長期的にステロイドを使用していると、水晶体に変性が起こりやすくなります。アトピー性皮膚炎の治療でステロイド剤を使用している場合も、白内障のリスクが高まります。

ステロイド剤を長期使用している方は、定期的に眼科を受診し、目の状態を確認することが推奨されます。

白内障の治療・・・手術で視力を回復できる病気

白内障が初期のうちは、進行を予防する目的で目薬を点眼します。しかし、目薬は進行を抑制するのみで、視力を改善させる効能はありません。

ある程度進行し、視力が低下した場合や、まぶしさ(グレア)を訴える場合には、手術を行います。

白内障手術のタイミング

手術の時期は、視力の必要度が患者様の社会生活により異なるため、視力検査の数値だけでは一概に決められません。
また、白内障の程度と視力は一致しないことがあるため、濁りの程度でも手術時期の決定は困難です。

梅の木眼科クリニックでは、患者様の生活スタイルやご事情を丁寧に伺いながら、最適な手術時期とレンズ選びを一緒に考えます。

白内障手術の方法

白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズと置き換える手術です。

当院では、日帰り白内障手術を実施しており、手術時間はおよそ10分です。局所麻酔で痛みも少なく、翌日からほぼ普段通りの生活を送ることが可能です。
また、創口は縫合を必要とせず自己閉鎖するため、身体への負担も軽減されています。

眼内レンズの選択

白内障手術で使用する眼内レンズには、単焦点レンズと多焦点レンズがあります。

単焦点レンズは、遠くまたは近くのどちらか一方にピントが合うレンズです。多焦点レンズは、遠くも近くも自然に見えるレンズで、「できれば老眼鏡をかけたくない」という希望に応えることができます。

当院では、患者様の目の状態・生活の質・希望の見え方をもとに、最適なレンズを選択しています。

白内障の予防と進行抑制・・・日常生活でできること

白内障の完全な予防は困難ですが、進行を遅らせるために日常生活でできることがあります。

紫外線対策

紫外線は白内障の原因の一つです。外出時にはUVカットのサングラスや帽子を着用し、目を紫外線から守りましょう。

禁煙

喫煙は白内障の大きなリスク因子です。禁煙することで、白内障の発症リスクを減らすことができます。

バランスの取れた食事

抗酸化作用のある栄養素(ビタミンC、ビタミンE、ルテインなど)を含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。

血糖値のコントロール

糖尿病の方は、血糖値を安定させることが白内障の予防と進行抑制につながります。

定期的な眼科検診

白内障は初期段階では自覚症状がほとんどありません。
定期的に眼科を受診し、目の状態をチェックすることが早期発見・早期治療につながります。

まとめ・・・見づらさをあきらめず、適切な治療を

白内障は、加齢や糖尿病、アトピー性皮膚炎、外傷など、さまざまな原因で発症する病気です。

「見えづらいけど、まだ大丈夫かな?」と我慢してしまう方も多いですが、適切なタイミングで治療を受けることで、生活の質を大きく変えることができます。

梅の木眼科クリニックでは、患者様の目と気持ちの両方に寄り添い、「見える喜び」をもう一度取り戻すお手伝いをしています。
15年以上の経験を持つ熊谷悠太院長が、診察から手術、術後のフォローまで一貫して担当し、安心して任せられる医療を提供しています。

不安なことがあれば、まずは一度ご相談ください。
西谷駅から徒歩7分、駐車場も3台完備しており、アクセスも良好です。

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定 眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

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