視界の中心がゆがむ原因とは?加齢黄斑変性症など注意すべき6つの病気
2026/01/22
視界の中心がゆがむ症状とは
ものを見ようとしたとき、視界の中心部分がゆがんで見える。
直線が波打つように見える、あるいは文字が読みづらくなる・・・こうした症状に気づいたことはありませんか?
視界の中心部分のゆがみは、網膜の中心にある「黄斑」という部分に異常が起きているサインかもしれません。黄斑は、ものの詳細を見分けたり、色を判別するのにとても大切な場所です。
中心視力の9割を担うといわれており、この部分に問題が生じると、日常生活に大きな支障をきたします。
視界のゆがみは、片目だけに現れることが多いため、もう片方の目で視野が補われてしまい、気づきにくいという特徴があります。
そのため、片目ずつ白い壁などを眺めて、ゆがみがないか確認することが大切です。
加齢黄斑変性症・・・視力低下の主要原因
視界の中心がゆがむ原因として、もっとも注意すべき病気が「加齢黄斑変性症」です。
加齢黄斑変性症は、網膜の下の脈絡膜から黄斑の網膜に向かって、新生血管という異常な血管が生えて、出血したり、血液中の水分が漏れてたまってしまうことで、中心部に見えないところやゆがみを生じ、視力が低下する病気です。
50歳以上の約1.2%に見られ、年を重ねるごとに多くなり、患者数も年々増える傾向にあります。
この病気の怖いところは、初期段階では自覚症状が少ないという点です。
しかし、眼内に一度出血すると急激に中心部分が見えなくなり、改善が難しくなります。
新生血管が発生・発育して、血液や滲出液がもれだす原因物質として、血管内皮増殖因子(VEGF)が見つかっています。
VEGFは正常な血管を形成し、維持するために不可欠な物質ですが、本来は必要のない血管を発生させるなど、加齢黄斑変性では悪い働きをします。
日本では加齢性黄斑変性症を主とした黄斑変性症は視覚障害者の原因疾患の第4位となっており、欧米では以前より主要な失明原因となる怖い病気として知られていました。
日本でも高齢者の増加にともなって患者様が増えています。また喫煙者に多くみられることも報告されています。
加齢黄斑変性症の主な症状
網膜の中心部が悪くなるので、視野の中心のもっともよく見ようとするものが見えにくくなります。
具体的には、以下のような症状が現れます。
視界の中心部分がゆがむ・・・直線が波打って見える
中心部分がぼやける・・・モヤがかかったように見える
中心部分が黒っぽい・・・中心暗点と呼ばれる症状
視力の低下・・・徐々に、あるいは急激に進行する
病巣が黄斑に限られていれば、見えにくい部分は中心部だけですが、大きな出血が起これば、さらに見えにくい範囲は広がります。
加齢性黄斑変性症は進行するにつれて視力低下はもとより、日常生活の不自由さがとても強くなるご病気です。
黄斑上膜・・・網膜に膜が張る病気
黄斑上膜は、加齢によって網膜の中心部の黄斑の上に、透明な膜が張られてしまう病気です。
具体的には、以下のような症状が現れます。
視界の中心部分がゆがむ・・・直線が波打って見える
視力の低下・・・徐々に、あるいは急激に進行する
大視症・・・反対の目と比べてものが大きく見える
膜が張って収縮が起きると黄斑にシワが寄るため、視界の中心部分に違和感が出てきます。
黄斑に存在する視細胞は本来きれいに整列していますが、膜ができることで引っ張られ、ものがゆがんで見えたり、視界の中心部分の見え方が低下したりします。
この病気は比較的ゆっくりと進行することが多いですが、視力低下やゆがみが強くなる場合には、手術による治療が必要になることもあります。
膜が張ってから時間をおいて手術をすると、歪みが改善しない場合があるので、適切なタイミングでの手術が大切です。
黄斑円孔・・・網膜に穴があく病気
黄斑円孔は、網膜の中央部分である黄斑のなかにある「中心窩」に穴があいてしまう病気です。
わずか0.5mmにも満たない小さな穴ですが、視力を司る網膜のもっとも鋭敏な中心窩に穴ができてしまうため、視力低下や視界の中心部分への阻害など、ものの見え方に大きな影響が現れます。
この病気も加齢に伴って発症することが多く、特に60歳以上の女性に多く見られます。視界の中心部分がゆがむだけでなく、中心部分がまったく見えなくなることもあります。
早期に発見し、適切な治療を受けることで、視力の回復が期待できる場合もあります。
黄斑円孔の主な症状
視界の中心部分がゆがむ
視力の低下
中心暗点・・・視界の中心が暗く見える
ものが小さく見える・・・小視症と呼ばれる症状
中心性漿液性脈絡網膜症・・・ストレスが原因の病気
中心性漿液性脈絡網膜症は、黄斑の裏側に水が溜まってしまうことが原因で、視力が低下したり、視野の中心が暗くなったり、モノがゆがんで見えたりするなどの症状が出ます。
過度のストレスや過労により発症しやすく、特に30〜40代の男性に起こりやすい病気です。
ステロイド薬の全身投与が誘因となることもあります。多くの方は自然に治癒しますが、再発を繰り返すこともあるため、ストレス管理や生活習慣の改善が重要です。
視界の中心部分のゆがみ、視力低下、ものが小さく見える小視症などが、片目のみに現れるケースが多くみられます。
網膜剥離・・・網膜が剥がれる緊急疾患
網膜剥離は、網膜裂孔から進行したり、基礎疾患や外傷などに起因して、網膜が剥がれてしまった状態です。
視野の狭窄や飛蚊症に加え、物が歪んで見える症状が出ることがあります。網膜剥離は放置すると失明に至る可能性がある緊急性の高い病気です。
視界の一部が欠けて見える、黒い点や糸くずのようなものが見える、光が走って見えるといった症状が現れたら、すぐに眼科を受診する必要があります。
早期に発見し、レーザー治療や手術を行うことで、視力を保つことができる場合が多いです。
糖尿病網膜症(黄斑浮腫)・・・糖尿病の合併症
糖尿病網膜症は、糖尿病に罹患している方の血液循環が悪くなり、網膜部分にも循環障害が起きて、眼底出血や部分的な詰まりを引き起こす病気です。
糖尿病網膜症にはいくつかの段階があり、網膜の血液循環が悪くなりはじめた段階から、詰まりが起きて新生血管がつくられ、眼内にも出血が起きてくる重度の網膜症まで、4段階に分けられます。
特に糖尿病黄斑浮腫という状態になると、網膜の中心部(黄斑部)がむくみ、視野の歪みやぼやけ、視力低下の症状が現れます。
糖尿病や高血圧の治療を行いながら、黄斑浮腫に対する治療(硝子体内注射)を行うことが重要です。
糖尿病網膜症の主な症状
視界のかすみ
ものがゆがんで見える
視野欠損
飛蚊症
視力低下
梅の木眼科クリニックでの診断と治療
視界の中心がゆがむ症状を感じたら、早めの受診が大切です。
梅の木眼科クリニックでは、加齢黄斑変性の早期発見・早期治療を重視しています。
視力検査、眼底3次元画像解析装置(OCT)光干渉断層血管撮影(OCTA)などを用いて、網膜のむくみ・厚み・出血や新生血管の状態を立体的に詳しく調べ、治療をご提案してまいります。
OCT、OCTAは痛みもなく、短時間で終わる検査です。
視力低下の原因が何かをしっかり確認してから治療を提案いたします。
抗VEGF抗体硝子体注射による治療
当院で行える治療は、抗VEGF抗体硝子体注射です。
新生血管の成長やそこから漏れ出す血液中の水分を減らす治療で、中心のゆがみや見えにくさを改善する目的で行います。必要があれば当日の抗VEGF硝子体注射にも対応できる体制を整えており、患者様の視力低下を極力起こさせないよう努めています。
それ以外の治療が必要な場合には、光線力学療法(PDT)を行える病院をご紹介させていただきます。
光線力学療法は、光に反応するお薬を腕の静脈から注射投与し、弱いレーザーを照射して新生血管を閉塞させる治療法です。
早期発見のためのセルフチェック方法
視界のゆがみを早期に発見するために、アムスラーチャートという格子の図を使ったセルフチェックが有効です。
普段眼鏡やコンタクトレンズを使っている場合は、装用してください。
チャートから30センチ、目を離し、片目を手のひらで隠し、中央の黒い点を見つめます。反対側の目でも同じようにチェックします。
左右どちらかの目で、直線であるはずの格子が歪んで見える、チャートの中央が欠けて見える、中心がぼやっと黒く見るという場合には、目の異常が疑われます。
見え方になんらかの違和感がある場合には、お早めに眼科にご相談ください。
こんな症状があったらすぐに受診を
片目だけで見ても変だなと感じる
文字の中心がにじんで見える
ものがゆがむ気がする
直線が波打って見える
視界の中心が暗くなる
こんな小さな違和感が最初のサインです。
まとめ・・・視界のゆがみは早期受診が大切
視界の中心がゆがむ症状は、加齢黄斑変性症をはじめとする重要な眼科疾患のサインです。
加齢黄斑変性症、黄斑上膜、黄斑円孔、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜剥離、糖尿病網膜症など、さまざまな病気が原因となります。
これらの病気は、放置すると視力が大きく低下し、日常生活に支障をきたす可能性があります。
特に加齢黄斑変性症は、初期は自覚が少ないのですが、眼内に一度出血すると急激に中心部分が見えなくなり、改善が難しい病気です。
50歳以上の約1.2%に見られ、年を重ねるごとに多くなり、患者数も年々増える傾向にあります。喫煙者に多くみられることも報告されていますので、禁煙も予防策の一つとなります。
梅の木眼科クリニックでは、早期発見・早期治療を心がけており、必要があれば当日の抗VEGF硝子体注射にも対応できる体制を整えています。
将来も今と同様に見えることを目標として二人三脚の治療に努めてまいります。
ちょっとした違和感でも、どうぞお気軽にご相談ください。
あなたの「見える未来」を守るための検査・治療をご提案いたします。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

