医療法人柔敦

目の前に黒い影が見える飛蚊症は危険?受診すべき症状と放置のリスク

お問い合わせはこちら

目の前に黒い影が見える飛蚊症は危険?受診すべき症状と放置のリスク

目の前に黒い影が見える飛蚊症は危険?受診すべき症状と放置のリスク

2026/01/22

視界に黒い影が見えたら、まず知っておきたいこと

「青空を見上げたとき、黒い点や糸くずのようなものが視界にふわふわと浮かんでいる」

こんな経験をされた方は少なくありません。これは「飛蚊症(ひぶんしょう)」と呼ばれる症状で、多くの場合は加齢に伴う自然な変化によるものです。
しかし、中には網膜裂孔や網膜剥離といった視力に影響する病気が隠れていることもあるため、注意が必要です。

飛蚊症の症状は人それぞれで、黒い点として見える方もいれば、糸くず・透明なアメーバのような影・輪のような形として見える方もいます。
目を動かすと影も一緒に動き、まばたきをしても消えないという特徴があります。特に明るい背景、例えば白い壁や晴れた空を見たときに目立ちやすくなります。

梅の木眼科クリニックでは、飛蚊症の診察を日々行っていますが、患者さんの多くが「いつから気になっていたけれど、受診すべきか迷っていた」とおっしゃいます。

飛蚊症は放置しても問題ないケースがほとんどですが、一部には早急な治療が必要な場合もあります。

飛蚊症が起こる仕組みと2つのタイプ

飛蚊症を理解するには、まず眼の構造を知る必要があります。

眼球の内部には「硝子体(しょうしたい)」というゼリー状の透明な組織が詰まっています。
この硝子体は、水晶体の後方から網膜に達するまでの眼球の大部分を占めており、眼球の形を保ったり、網膜を保護したりする役割を担っています。

本来、硝子体の成分は99%が水で透明ですが、何らかの原因で濁りができると、その影が網膜に映り、視界に黒い影として見えるようになります。

生理的飛蚊症・・・多くの方に起こる自然な変化

飛蚊症の原因は大きく2つに分類されます。

1つ目は「生理的飛蚊症」です。加齢とともに硝子体が液状化し、網膜から離れていく「後部硝子体剥離」という現象が起こります。40代から60代にかけて好発しますが、強い近視の方では10年ほど早く起こることもあります。
この後部硝子体剥離が起きるとき、硝子体内にできた濁りやコラーゲン線維の塊が影となって見えるのが生理的飛蚊症の正体です。

生理的飛蚊症は、年齢とともに増えやすく、白内障の手術を受けた方では1年以内に出現することもあります。多くの場合、経過観察で問題なく、時間とともに慣れて気にならなくなる方がほとんどです。

病的飛蚊症・・・注意が必要なケース

2つ目は「病的な飛蚊症」です。 こちらは眼の病気が原因となっている場合で、早期治療が視力を守るポイントとなります。

代表的な病気として、網膜裂孔(網膜に穴が開く)、網膜剥離、硝子体出血(糖尿病・高血圧が原因のことも)、ぶどう膜炎などが挙げられます。
後部硝子体剥離が起きる際、網膜と硝子体が強く癒着している部分では、網膜を一緒に引っ張ってしまい、網膜に裂け目をつくってしまうことがあります。この確率は6~19%とされています。

網膜に裂け目ができると、そこから網膜の下に水が入り込み、網膜剥離へと進行する可能性があります。
網膜剥離は放置すると失明につながる重大な病気ですが、早期に発見して治療すれば視力を守ることができます。

すぐに受診すべき「危険な飛蚊症」のサイン

飛蚊症の症状が出たとき、どのような場合にすぐ受診すべきなのでしょうか?

網膜トラブルの初期症状として現れる危険なサイン

以下のような症状が出た場合は、網膜裂孔や網膜剥離の可能性があるため、できるだけ早く眼科を受診してください。

飛蚊症の数が急に増えた・・・何時何分と指定できるくらい突然に数えきれないほどの黒い影が出現した場合は要注意です
ピカピカ光る「光視症」が出てきた・・・視界の一部に光が走るように見える症状で、網膜が引っ張られているサインの可能性があります
視界の一部が欠ける、黒い影が広がる・・・視野の下半分や内側など、一部が見えにくくなってきた場合は網膜剥離が進行している可能性があります
見え方が急に変わった・・・数時間から数日で視力低下を感じる、黒いベールがかかるように見えるなどの症状
飛蚊症とともに視力低下を感じる・・・見えにくさが持続している場合は早急な対応が必要です

これらの症状は消えずに持続するのが特徴です。

「疲れ目かな?」と思ってしまうこともありますが、症状が急に出た場合や持続する場合は、自己判断せずに眼科を受診しましょう。
網膜剥離は失明につながる緊急性のある病気ですが、早期発見・早期治療で視力を守ることができます。

糖尿病や高血圧をお持ちの方は特に注意

糖尿病や高血圧などの持病がある方は、硝子体出血のリスクが高まります。

糖尿病網膜症では、新しい血管が網膜や硝子体内で形成されやすく、これらの血管が破れて出血することがあります。
この出血が硝子体に入り込むと、突然大量の黒い影が見える、視界が赤みがかって見える、片目だけ急に見えにくくなるといった症状が現れます。こ

の場合も緊急性が高いため、早めに眼科を受診してください。

飛蚊症を放置するとどうなるのか

「飛蚊症があっても痛みがないから大丈夫」と考える方もいらっしゃいます。

確かに、生理的飛蚊症であれば放置しても問題ありません。多くの方は徐々に慣れてきて、次第に気にならなくなります。しかし、病的飛蚊症を放置すると、網膜剥離が進行し、失明に至ることもあります。

網膜剥離が進行すると起こること

網膜剥離が進行すると、視野が一部欠損し、視力が低下します。痛みなどの自覚症状はほとんどないため、気づいたときには進行していたというケースも少なくありません。
網膜剥離は、カメラでいうフィルムに該当する網膜が剥がれた状態になってしまう病気で、そのまま放置すると失明することもあります。

特に50歳代以降に発症することが多いため、そのあたりの年代で突然飛蚊症を自覚した場合には、網膜裂孔や網膜剥離の可能性を調べてもらうことが大切です。

早期発見が視力を守る鍵

網膜裂孔の段階で発見できれば、レーザー治療で網膜剥離の進行を予防できることがあります。レーザーの光エネルギーで孔の周囲にある網膜を凝固し、接着力を増加させる「網膜光凝固術」という治療法です。
ただし絶対的な効果はないため、適応を十分に考慮してから慎重に行います。

一度剥がれてしまった網膜はレーザー治療では治せないため、手術が必要になります。
網膜復位術や硝子体手術といった方法がありますが、治療のタイミングを誤ってしまうと、手術によっても視機能回復が困難となってしまう場合があります。

眼科での飛蚊症の検査と診断

飛蚊症で眼科を受診すると、どのような検査を行うのでしょうか?

散瞳検査で眼底を詳しく調べる

飛蚊症の検査では、まず視力や眼圧を測ります。その後、散瞳剤(さんどうざい)という目薬を点眼して瞳孔を開き、硝子体や網膜に異常がないかを調べる「眼底検査」を行います。
散瞳剤を点眼してから瞳孔が開くまでに20~40分間程度かかり、検査時間は数分間で終わります。

検査後、瞳孔がもとに戻るまで5~6時間程度かかります。その間は光がまぶしく、ピントがぼやけた状態になりますので、車やバイクの運転はできません。
公共の交通機関を使って眼科を受診することをおすすめします。

生理的飛蚊症か病的飛蚊症かを見極める

眼底検査によって、硝子体の濁りが網膜に及んでいないか、網膜裂孔や網膜剥離が起きていないかを確認します。
生理的飛蚊症であれば特に治療は必要ありませんが、病的飛蚊症の場合は早急な治療が必要になります。

飛蚊症の症状が出たら、自己判断せずに一度眼科を受診して、危険な病状のサインかどうかを確認することが大切です。

飛蚊症を悪化させないために心がけたいこと

生理的飛蚊症の進行を完全に防ぐことは難しいですが、日常生活を見直すことで悪化を防ぐことができます。

目を適度に休ませる

長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、飛蚊症の症状を感じやすくなります。
1時間に1回は画面から目を離し、遠くを見るなど、目をリラックスさせましょう。

また、睡眠を十分にとるのも目の回復に効果的です。目を酷使せず、定期的に休ませることで、視界のストレスも軽減されます。

バランスの良い食事を心がける

ビタミンAやC、E、そしてルテインや亜鉛など、目の健康を保つ栄養素を意識して摂るようにしましょう。緑黄色野菜や青魚、ナッツ類、果物などを日々の食事に取り入れるのがおすすめです。

栄養の偏りは、目の疲れや老化を進める原因にもなります。

紫外線対策を忘れずに

紫外線は目にダメージを与え、飛蚊症の悪化の原因になります。
外出時にはUVカット機能付きのサングラスや帽子を活用しましょう。曇りの日も油断は禁物です。
紫外線対策を怠ると、目の老化が進み、視力の低下につながることもあります。

喫煙を控える

煙草に含まれる有害物質は血流を悪化させ、目の酸素や栄養の供給を妨げます。

結果、硝子体の老化が進み、飛蚊症の症状が悪化する可能性があります。また、喫煙は白内障や黄斑変性などの目の病気のリスクも高めるため、禁煙が難しい場合は本数を減らすことから始めるのも効果的です。

まとめ・・・飛蚊症は早めの受診が安心への第一歩

飛蚊症は、視界に虫や糸くずのような影がふわふわと浮いて見える症状です。
多くは加齢に伴う自然な変化で心配のないケースがほとんどですが、中には網膜裂孔や網膜剥離といった視力に影響する病気が原因のこともあります。両目で見ているとあまり気づかないものですので、日頃から片目づつ飛蚊症が増えていないか確認することが大切です。

特に、飛蚊症の数が急に増えた、ピカピカ光る「光視症」が出てきた、視界の一部が欠ける、黒い影が広がる、見え方が急に変わったといった症状は、網膜トラブルのサインの可能性があります。
これらの症状が出た場合は、すぐに眼科を受診してください。

早期発見・早期治療で視力を守ることができます。不安を感じたら、その日のうちにご相談ください。
梅の木眼科クリニックでは、飛蚊症の診察を丁寧に行い、患者さんの不安に寄り添った診療を心がけています。

視界に黒い点や糸くずが見えたら、早めのチェックを。

あなたの大切な視力を守るために、私たちがお手伝いいたします。

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。