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新しい緑内障点眼が国内承認されました〈横浜市 梅の木眼科クリニック〉

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2026/07/05

ロープレッサ点眼液とは?緑内障治療の新しい選択肢を作用機序から解説 | 梅の木眼科クリニック
2026年6月 国内承認・新しい緑内障治療薬

ロープレッサ®点眼液とは?
緑内障治療の新しい選択肢を作用機序から解説

2026年6月、参天製薬が国内での製造販売承認を取得した緑内障・高眼圧症治療薬「ロープレッサ点眼液0.02%」。 海外ではすでに9年近い使用実績がある薬剤です。1日1回の点眼で効果が期待できる仕組みと、 海外での使用実感、注意点までを眼科医の立場からまとめました。

緑内障・高眼圧症 1日1回点眼 ROCK阻害薬 海外実績9年
🩺
監修:熊谷 悠太
梅の木眼科クリニック 院長 2026年

緑内障の治療は、進行を止めるために眼圧をできる限り下げ続けることが基本です。多くの方が複数の点眼薬を1日に何度も使う必要があり、 「点し忘れる」「本数が多くて負担」といった声をよく伺います。

ロープレッサは、これまでの緑内障点眼薬とは異なる仕組みで眼圧を下げる薬で、1日1回の点眼で効果が期待できる点が特徴です。 今回は、その作用機序と、すでに使用されている海外での実感も含めてご紹介します。

SECTION 01

ロープレッサとはどんな薬か

ロープレッサ点眼液0.02%は、ネタルスジルメシル酸塩を有効成分とする緑内障・高眼圧症治療薬です。 2026年6月19日に参天製薬が国内での製造販売承認を取得しました。

一般名
ネタルスジルメシル酸塩
(0.02%製剤)
国内承認
2026年6月19日
参天製薬
用法
1日1回 点眼
(就寝前が推奨されます)
対象
緑内障・高眼圧症
既存治療で効果不十分な方など

海外ではすでに販売されており、米国・韓国では「Rhopressa」、英国・スウェーデンでは「Rhokiinsa」という製品名で 流通しています。米国では2017年12月にFDA承認を取得しているため、今回の国内承認時点で海外での使用実績はおよそ9年に 及びます。

🔍 コラム:「Rhopressa」という名前の由来

推測海外製品名「Rhopressa」は、作用機序である Rhoキナーゼ阻害と、適応である眼(英語でpressure/press)を組み合わせた造語ではないか、 という見方があります。実際、医薬品のブランド名には作用機序や適応症を示す単語を組み合わせる手法(記述的商標)が よく使われており、「Rho」+「press」+語尾「a」という構成はこのパターンに自然に当てはまります。

ただし、開発元のAerie Pharmaceutical社やFDA添付文書などの公式資料に、この由来を明言した記載は見当たりません。 あくまで名称の構成から見て取れる、もっともらしい推測としてお楽しみください。

SECTION 02

作用機序 ─ 2つの経路で眼圧を下げる

緑内障治療薬の多くは「房水(眼の中を満たす体液)の排出を促す」か「房水の産生を抑える」かのどちらか一方の仕組みで 眼圧を下げています。ロープレッサの特徴は、この2つの経路に同時に働きかける点です。

ネタルスジル 経路A:ROCK阻害作用 (活性代謝物AR-13503も同様の作用) 線維柱帯・シュレム管の 主流出路から房水流出を促進 経路B:NET阻害作用 (ノルエピネフリントランスポーター) 毛様体上皮における 房水の産生を抑制 眼圧低下

NET阻害 ─ もう一つの経路をもう少し詳しく

経路B「NET阻害作用」は、他の緑内障点眼薬にはあまり見られない、ロープレッサならではの仕組みです。 少し専門的になりますが、順を追って説明します。

  1. NET(ノルエピネフリントランスポーター)とは: 交感神経の末端から放出されたノルエピネフリン(神経伝達物質)を、再び神経終末へ回収する「回収装置」の役割を 果たすタンパク質です。通常はこの回収により、神経伝達物質の働きが一定時間で終わるよう調整されています。
  2. ネタルスジルがNETを阻害すると: 回収がうまく働かなくなるため、毛様体(房水をつくる組織)周辺の血管では、ノルエピネフリンがシナプス間隙に 留まりやすくなり、局所的に濃度が高い状態が続きます。
  3. その結果起こること: ノルエピネフリンの作用が強まることで毛様体の血管が収縮し、毛様体突起への血流が減少します。 房水は毛様体突起の血流をもとに産生されるため、血流が落ちることで房水そのものの産生量が抑えられます。

つまり、経路Aの「出口を広げる」作用に、経路Bの「入り口を絞る」作用が加わることで、2方向から眼圧に働きかける 仕組みになっています。あわせて、上強膜静脈圧(房水が最終的に流れ込む静脈の圧力)を下げる作用も報告されており、 これも眼圧低下に寄与すると考えられています。

📌 なぜ他の緑内障点眼薬にはない仕組みなのか
プロスタグランジン関連薬は「ぶどう膜強膜流出路」という別の出口を広げ、β遮断薬やα2作動薬は毛様体の アドレナリン受容体(β受容体・α2受容体)に直接作用して房水産生を抑えます。一方でNET阻害は、受容体そのものではなく 神経伝達物質の「回収」という手前の段階に働きかける点が異なり、国内承認済みの緑内障治療薬の中では ロープレッサに特有の作用点です。なお、点眼薬として目に投与されるため全身への移行はごくわずかとされていますが、 全身性のノルエピネフリン再取り込み阻害薬(一部の抗うつ薬など)と標的分子自体は同じ仲間にあたります。
💡 グラナテック(リパスジル)との違い
国内には2014年から同じROCK阻害薬「グラナテック」がありますが、違いは作用機序だけではありません。
  • 作用機序:グラナテックはROCK阻害という単独の経路のみに作用するのに対し、ロープレッサはROCK阻害に加えて ノルエピネフリントランスポーター阻害という房水産生を抑える経路も併せ持ちます。
  • 投与回数:グラナテックは1日2回の点眼が必要ですが、ロープレッサは1日1回で効果が期待できます。 点眼回数が減ることで、点し忘れの防止など アドヒアランス(治療の継続しやすさ)の向上にもつながると考えられています。
国内臨床試験(J-ROCKET-1)では、この2剤を比較する形で有効性・安全性が検討されました。
SECTION 03

臨床試験でわかっていること

海外での試験(ROCKET試験シリーズ)

海外では、ネタルスジル1日1回点眼とチモロール1日2回点眼を比較する第III相試験「ROCKET-1〜4」が実施されました。 4試験を統合した解析(有効性評価対象:ネタルスジル群494例、チモロール群510例)では、投与後3か月間の9時点すべてで 1日1回のネタルスジルが1日2回のチモロールに対して非劣性を示しています。ある試験(ROCKET-2)では、12か月時点まで 追跡した118例で、投与90日目から12か月目までの眼圧下降効果の差はわずか0.1mmHgと、効果の持続性も確認されました。

国内での試験(J-ROCKET試験シリーズ)

国内では、グラナテック(リパスジル点眼液)との比較試験(J-ROCKET-1)、ラタノプロスト点眼液との併用比較試験 (J-ROCKET-2)、長期投与での安全性を確認する試験(J-ROCKET-3)の3試験の結果をもとに承認されています。 単剤・他剤併用いずれの場面でも眼圧下降作用が確認されたことが、承認の根拠のひとつとなりました。

SECTION 04

海外での使用実績と患者さんの声

ロープレッサ(海外名Rhopressa)は米国で2017年12月にFDA承認、欧州でも2019年11月にEMA承認(Rhokiinsaとして) を取得しており、日本より一足早く臨床現場で使われてきました。

2017年12月
米国でFDA承認(製品名 Rhopressa)。緑内障・高眼圧症治療の新しい選択肢として発売開始。
2019年11月
欧州でEMA承認(製品名 Rhokiinsa)。英国・スウェーデンなどで流通開始。
2026年6月
日本国内で製造販売承認取得(製品名 ロープレッサ)。海外での実績を経ての国内導入。

海外の患者さんからは、眼圧のコントロールという点では前向きな声がある一方で、後述する「目の充血」を理由に 使用感への不満を訴える声も少なくありません。米国の医療系口コミサイトに寄せられた声の一部(あくまで個人の体験談で あり、効果や副作用の出方には個人差があります)を、良い面・気になる面の両方からご紹介します。

POSITIVE 他の点眼薬では下がりきらなかった眼圧が、併用に加えたことで目標の水準まで下がった。手術を回避できて助かっている、という声。
海外・患者コミュニティ投稿より要約
NEGATIVE 充血が強く出て人前でサングラスが手放せなかった、涙目や乾燥・かゆみが続き使用を続けるのがつらかった、という声。
海外・患者コミュニティ投稿より要約

これらはあくまで個人の体験談であり、医学的に検証されたデータではありませんが、「効果は感じるが充血が気になる」という 傾向は、後述する臨床試験での副作用データともおおむね一致しています。ご自身に合うかどうかは、実際に使用しながら 診察で経過を見ていくことが大切です。

SECTION 05

副作用・注意点

海外の臨床試験で報告された主な副作用の頻度は次の通りです。

結膜充血(目の充血)約53〜54%
最も頻度が高い副作用。多くは軽度で一過性ですが、これを理由に使用を中止した方が約6%いました。
角膜渦状混濁約20%
角膜に渦巻き状の混濁が生じることがありますが、多くは自覚症状がなく、中止後に消退します。
点眼時の痛み・結膜出血約20%
霞み目・流涙・まぶたの赤み等5〜10%
⚠ ご使用にあたっての注意
  • コンタクトレンズをご使用の方は、点眼前にレンズを外し、点眼後15分以上経ってから装着してください。
  • 点眼薬の共用による細菌性角膜炎の報告があるため、ボトルの先端が目やまぶたに触れないようご注意ください。
  • 妊娠中・授乳中の方は、使用について必ず担当医にご相談ください。
  • 目の痛みや視力低下を感じた場合は、自己判断で様子を見ず、速やかにご連絡ください。
SECTION 06

他の緑内障点眼薬との比較

薬剤分類 代表的な薬剤 作用機序 点眼回数 主な副作用
ROCK阻害薬
(デュアル作用型)
ロープレッサ(ネタルスジル) ROCK阻害+NET阻害(房水流出促進+産生抑制) 1日1回 結膜充血・角膜渦状混濁
ROCK阻害薬 グラナテック(リパスジル) ROCK阻害(房水流出促進) 1日2回 結膜充血・眼瞼炎
プロスタグランジン関連薬 ラタノプロスト等 ぶどう膜強膜流出路からの房水排出促進 1日1回 まつ毛の変化・虹彩や眼瞼の色素沈着
β遮断薬 チモロール等 毛様体上皮での房水産生を抑制 1日1〜2回 徐脈・気管支収縮(喘息の方は禁忌)

※ ロープレッサとグラナテックはどちらも「ROCK阻害薬」という同じ薬剤分類に属します。ロープレッサはこれに NET阻害という作用が加わる点が異なるため、便宜上「デュアル作用型」として区別しています。
※ 副作用は代表的なものを記載しています。すべての方に生じるわけではなく、個人差があります。

SECTION 07

どんな方に向いているか

既存の点眼薬だけでは眼圧が十分に下がらない方
プロスタグランジン関連薬によるまつ毛の変化や色素沈着が気になる方
喘息や徐脈などでβ遮断薬が使いづらい方
点眼の本数・回数をできるだけ減らしたい方

一方で、目の充血が気になりやすい方や、コンタクトレンズを日常的に使用される方は、事前に医師とよく相談した上で 使用を検討することをおすすめします。

SECTION 08

よくある質問

Qもう処方してもらえますか?
A2026年6月に製造販売承認を取得した段階で、薬価収載・発売時期は本記事執筆時点でまだ発表されていません。実際に処方できるようになる時期は、当院からあらためてご案内します。
Q他の目薬と一緒に使えますか?
A海外の試験ではラタノプロストなど他剤との併用データもあり、併用は可能とされています。複数の点眼薬を使う場合は、点眼の間隔を5分ほど空けるのが基本です。詳しくは診察時にご相談ください。
Q充血はどのくらい続きますか?
A海外のデータでは、多くの場合軽度で一過性とされていますが、方によっては点眼を続ける限り充血が続くこともあります。気になる場合は自己判断で中止せず、必ず診察でご相談ください。
Q朝と夜、いつ点眼するのがよいですか?
A点眼後数時間は充血が出やすいため、海外では夜(就寝前)の点眼が一般的に案内されています。具体的な点眼タイミングは処方時に確認してください。

眼圧のコントロールでお悩みの方へ

「今の点眼薬で眼圧が下がりきらない」「点眼の回数を減らしたい」——
そのようなお悩みは、ぜひ梅の木眼科クリニックへご相談ください。

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※ 本記事は2026年7月時点で公表されている情報に基づいています。国内での薬価収載・発売時期、用法・用量の詳細は 今後変更される可能性があります。
※ 海外の患者さんの声として紹介した内容は個人の体験談であり、医学的に検証されたデータではありません。効果や 副作用の現れ方には個人差があります。
※ 本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の治療を推奨・保証するものではありません。治療の選択は必ず 医師との相談のもとで行ってください。
参考文献:参天製薬 プレスリリース(2026年6月19日)/ Serle JB, et al. Am J Ophthalmol. 2018;186:116-127(ROCKET-1・2)/ Pooled efficacy and safety analysis of netarsudil ophthalmic solution 0.02%(ROCKET-1〜4統合解析)/ 米国FDA添付文書 RHOPRESSA® Prescribing Information

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