近視進行抑制治療メガネ、ミヨスマートとは?
2026/07/14
近視抑制治療はメガネだけでもできます
新たに発売されたミヨスマートとは?
ミヨスマート(MiYOSMART)とは?
近視進行抑制眼鏡のしくみと
効果を眼科医が解説
ミヨスマート(MiYOSMART)は、2025年に日本近視学会がガイドラインで正式推奨した近視進行抑制眼鏡です。本記事ではその機序・効果・費用・他の治療との比較を、眼科専門医の立場からわかりやすくお伝えします。
近視が進行するとなぜ危険なのか
近視は単に「遠くが見えにくい」だけの問題ではありません。近視の本態は眼球の奥行き(眼軸長)が伸びることです。眼軸が伸びるほど、網膜が引き伸ばされ、将来的に以下のような重篤な目の病気のリスクが高まります。
ミヨスマートとは?DIMS技術のしくみ
ミヨスマート(MiYOSMART)は、HOYAビジョンケアと香港理工大学が共同開発した近視管理専用の眼鏡レンズです。2018年に発売されて以来、世界30カ国以上・100万人を超える子どもたちが装用しています。
その核心は D.I.M.S.(Defocus Incorporated Multiple Segments)技術 と呼ばれる独自の光学設計です。
どうして眼鏡で近視が抑制できるの?
臨床データ:どのくらい効果があるの?
ミヨスマートは香港理工大学・HOYAによる2年間の二重盲検ランダム化比較試験(RCT)でその効果が検証されました(Lam CSY, et al. British Journal of Ophthalmology, 2020)。8〜13歳の中国人小児183名を対象に、DIMS眼鏡群(93名)と通常の単焦点眼鏡群(90名)に割り付け、6ヶ月ごとに屈折・眼軸長を測定しました。
(等価球面度数、2年・共変量調整後)
(2年・共変量調整後)
(DIMS群、単焦点群は7.4%)
年齢による効果の差は?
論文では、年齢が高い子ども(10〜13歳)ほど効果が大きく、8〜9歳の低年齢ではやや効果が弱い傾向がありました(約80%の大きな進行例が低年齢群)。また、DIMS群の約13%は依然として1D以上の進行がみられており、すべてのお子さんに同等の効果が出るわけではありません。
なお、本RCTは中国人小児を対象としており、他の民族への適用についてはさらなる研究が必要とされています。リバウンドについては別途長期追跡研究(HOYAの6年フォローアップ)で検討されており、装用中止後に近視が急速に悪化するリバウンドは認められていない旨が報告されています。
日本での位置づけ(2025年)
メリットとデメリット
- 眼鏡なので安全性が非常に高い
- 点眼薬や就寝時装用が不要
- 小さな子ども(幼児期後半〜)でも使いやすい
- リバウンドがないことが証明されている
- 視力が正しく矯正され、学校生活に支障なし
- 他の治療(低濃度アトロピン等)との併用も検討可能
- 副作用・合併症リスクが事実上ない
- 紛失・破損時の交換が容易
- 装用していない時間は効果がない(長時間装用が大切)
- レンズ周辺部がわずかに霞む感覚がある(慣れます)
- 通常の眼鏡より割高
- 保険適用外・自由診療
- 抑制率は個人差がある(全員に同一効果ではない)
- 定期的な眼科受診による経過観察が必要
- 乱視が強い場合は別途考慮が必要なことも
- 斜視がある場合は適応外となることがある
他の近視進行抑制治療との比較
現在、子どもの近視進行抑制として有効性が報告されている主な治療法は4つあります。それぞれ特徴が異なるため、お子さんの年齢・ライフスタイル・度数に合わせて選択します。なお、レッドライト療法(RLRL療法)で使用するEyerising機器は日本国内では薬事未承認の医療機器であり、万一の健康被害に対する公的救済制度(PMDA)の対象外となります。導入の際はその点もご理解の上でご検討ください。
| 比較項目 | ミヨスマート (DIMS眼鏡) |
オルソケラトロジー (夜用ハードCL) |
低濃度アトロピン 点眼(リジュセア®) |
レッドライト療法 (RLRL / Eyerising) |
|---|---|---|---|---|
| 近視抑制効果(度数) | 約52%(2年) | 約30〜56%(2年) | 約30〜70%(濃度による) | 約75〜88%(2年) |
| 眼軸長抑制 | 約62% | 約30〜56% | 約30〜50% | 約69〜75% |
| 対象年齢 | 6歳頃〜 | 7〜8歳頃〜 | 5〜6歳頃〜 | 8歳頃〜 |
| 使い方 | 日中に眼鏡をかける | 就寝時にコンタクトを装用 | 就寝前に点眼1回 | 専用機器を1日2回・各3分のぞく(週5回) |
| 裸眼視力の改善 | なし(眼鏡で矯正) | あり(日中は裸眼) | なし | なし |
| コンタクト管理 | 不要 | 毎日の洗浄管理が必要 | 不要 | 不要 |
| 副作用リスク | 事実上なし | 角膜感染症(まれ) | 極めて少ない | まぶしさ・残像(まれ) |
| 保険適用 | なし(自由診療) | なし(自由診療) | なし(自由診療) | なし(自由診療・国内未承認機器) |
| 初年度費用目安 | 約8万円程度(レンズ代、フレーム別) | 7〜15万円程度 | 月3,000〜8,000円 | 月1〜2万円程度 |
| リバウンドリスク | なし(確認済) | 中止後に近視再進行 | 軽度あり | 中止後にリバウンドあり |
費用・価格の目安
ミヨスマートは保険適用外の自由診療です。費用はレンズ代+フレーム代+定期検査の合計となります。
こんなお子さんに向いています
当院での診療の流れ
初診・ご相談
まずは通常の診察でお子さんの近視の状態を確認します。精密検査(眼軸長測定・眼底検査など)は別途ご予約が必要です。ご希望の方はお申し出ください。
治療の適応・方法のご説明
ミヨスマート・オルソケラトロジー・低濃度アトロピンなど、お子さんに最適な治療をご提案。保護者の方とともに方針を決定します。
処方・眼鏡店への紹介
ミヨスマート対応の眼鏡店への処方箋をお渡しします。当院近隣の対応店もご案内可能です。
定期経過観察(3〜6カ月毎)
眼軸長・視力の変化を継続的に評価。効果が不十分な場合は治療法の見直し・調整を行います。
必要に応じたレンズ度数の見直し
定期検査の結果をもとに、度数変化が大きい場合にレンズを更新します。近視の進行が落ち着くまで(通常18〜20歳頃)継続的に経過を見ていきます。
よくあるご質問
お子さんの近視が気になる方へ
「近視の進み方が早い」「将来、目が悪くなりすぎないか心配」
そのようなご不安は、ぜひ梅の木眼科クリニックへご相談ください。
眼軸長測定を含む詳しい検査で、最適な治療法をご提案します。
※ ミヨスマートは自由診療(保険適用外)です。費用は予告なく変更される場合があります。
※ 本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の治療を推奨・保証するものではありません。治療の選択は必ず医師との相談のもとで行ってください。
参考文献:Lam CSY, Tang WC, Tse DY, et al. Defocus Incorporated Multiple Segments (DIMS) spectacle lenses slow myopia progression: a 2-year randomised clinical trial. Br J Ophthalmol. 2020;104:363–368. doi:10.1136/bjophthalmol-2018-313739 / HOYA MiYOSMART 6-year follow-up study / 日本近視学会 近視進行抑制治療ガイドライン第1版 2025
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梅の木眼科クリニック
住所 :
神奈川県横浜市保土ケ谷区西谷1-25-21 ポンデロッサ西谷1F・2F
電話番号 :
045-371-2666
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4つの治療法はそれぞれ一長一短があり、「最も優れた1つ」というものはありません。スポーツを多くするお子さんで日中裸眼がご希望なら、オルソケラトロジーが向いている場合があります。眼鏡を普段からかけていて手軽に始めたい場合はミヨスマート、あるいはアトロピン点眼との併用も効果の上乗せが期待できます。レッドライト療法は高い抑制率が報告されていますが、国内未承認機器である点を踏まえた上でご検討いただく必要があります。当院では、度数・眼軸長・年齢・生活スタイルをもとに、お子さんに最適な治療をご提案しています。