MiSight 1dayの取り扱いを始めました!〈横浜市 梅の木眼科クリニック〉
2026/09/07
お子さまの近視、
「進ませない」という選択
日本ではじめて「近視の進行をおさえる」ことが認められたコンタクトレンズ「マイサイト ワンデー」について、しくみ・効果・対象年齢を、できるだけやさしく解説します。
近視は「見えにくいだけ」ではありません
「メガネをかければ見えるから大丈夫」——近視について、そう考えている保護者の方は少なくありません。たしかに、近視そのものはメガネやコンタクトで矯正できます。
けれども近視は、目の奥行き(眼軸長)が伸びていくことで進んでいきます。そして眼軸が伸びた目は、たとえ軽い近視であっても、将来 緑内障・網膜剥離・近視性の網膜症といった目の病気にかかるリスクが高まることが分かっています。
だからこそ、近視が進みやすい子どものうちに「進行そのものをできるだけおさえておく」ことに、大きな意味があります。
裸眼視力1.0未満の小学生の割合は、約40年前とくらべて大きく増加しています。国内では小学生の近視有病率がおよそ77%との報告もあり、近視はもはや特別なことではありません。一方で、日本は海外にくらべて近視の「進行をおさえる対策」がまだ広まっていないのが現状です。
「マイサイト ワンデー」とは?
マイサイト ワンデー(MiSight® 1 day)は、クーパービジョン社が開発した、子どもの近視の進行をおさえることを目的とした1日使い捨てソフトコンタクトレンズです。
これまでのコンタクトレンズが「見えるように矯正する」だけだったのに対して、マイサイトは見え方の矯正と、近視の進行抑制の両方をねらう点が大きく異なります。
マイサイト ワンデーは、2025年8月19日に「近視の視力補正および進行抑制」を効能として厚生労働省の製造販売承認を取得し、2026年2月より国内で発売されました。この効能で承認された国内初のソフトコンタクトレンズです。海外では2019年に米国FDAの承認を受け、世界40か国以上・20万人を超える子どもたちに使われてきた実績があります。
どうやって近視の進行をおさえるの?
マイサイトのしくみを理解するために、まず「なぜ近視が進むのか」を確認しましょう。
近視が進むしくみ
ふつうのメガネやコンタクトでピントを合わせると、目の中心では網膜にきれいに焦点が合います。ところが、その周辺(網膜のまわり)では、焦点が網膜より“奥”に結ばれてしまうことがあります。目はこの「奥のピント」に追いつこうとして、眼軸をさらに伸ばそうとする——これが近視の進行を後押しすると考えられています。
マイサイトの「デュアルフォーカス」設計
マイサイトは、1枚のレンズの中に2種類の光学ゾーンを同心円状(輪っか状)に交互に配置した「デュアルフォーカス(二重焦点)」設計を採用しています。この独自技術は ActivControl® と呼ばれます。
レンズには「屈折矯正ゾーン」と「トリートメントゾーン」が輪っか状に交互に配置されています。屈折矯正ゾーンが網膜にピントを合わせて「見える」を確保し、トリートメントゾーンが焦点をあえて網膜の“手前”にずらすことで、目に「これ以上伸びなくてよい」という信号を、生活しているだけで送り続けます。
ポイントは、見る距離にかかわらず、常に「手前にピント」の信号を目に届けられること。特別なトレーニングは必要なく、いつものように装用しているだけで、進行をおさえる働きが続きます。
どれくらいの効果が確認されているの?
マイサイトの効果は、4か国(英国・ポルトガル・シンガポール・カナダ)で行われた3年間の国際共同臨床試験で確認されています。8〜12歳の近視の子どもを対象に、ふつうの単焦点ソフトコンタクトを装用したグループと比較しました。
3年間の平均
3年間の平均
ふつうのレンズを使い続けた場合とくらべ、3年間で度数の進行を約0.73D、眼軸の伸びを約0.32mm少なくおさえられました。眼軸はわずか0.1mmの差でも将来の目の健康に影響しうると考えられており、0.32mmの差は長い目で見て大きな意味を持ちます。
この試験では、装用した子どもの9割以上が「自分でレンズを着け外しできる」と答えており、痛みも少なく、子どもにも取り入れやすい方法であることが示されています。
どんなお子さまが対象になりますか?
マイサイトは、近視の進行がとくに起こりやすい8〜12歳ごろの開始が目安とされています。ただし、年齢だけでなく次のような点をあわせて判断します。
- 近視が進行している/進みやすい年ごろである
定期的な検査で進行のスピードを確認します。 - 自分でレンズを着け外し・管理できる
1日使い捨てなので手入れは簡単ですが、清潔に扱うことは大切です。ご家庭でのサポートも判断材料になります。 - 目に装用の妨げになる病気がない
診察で目の状態を確認したうえで適応を判断します。
近視の進行は20歳ごろまで続くことが多いため、開始後は数年単位で継続していくことを想定します。いつまで続けるかは、進行の具合を見ながら担当医とご相談ください。
ほかの近視進行抑制の方法とのちがい
近視の進行をおさえる方法は一つではありません。お子さまの年齢・目の状態・ライフスタイルによって、合う方法は変わります。代表的な選択肢を整理しました。
| 方法 | タイプ | 日中の見え方 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| マイサイト ワンデー | 1日使い捨て コンタクト |
裸眼で快適 | 矯正と進行抑制を両立。毎日新しいレンズで衛生的。 |
| 低濃度アトロピン点眼 | 点眼薬 | 併用可 | 1日1回の点眼で手軽。メガネ等との併用が基本。 |
| オルソケラトロジー | 就寝時装用 コンタクト |
日中は裸眼 | 寝ている間に角膜を矯正。日中はレンズ不要。 |
| 近視進行抑制メガネ | メガネ | かけて快適 | コンタクトに不安がある場合の選択肢。装脱が簡単。 |
これらは必ずしもどれか一つを選ぶものではなく、点眼と他の方法を併用するなど、進行の具合に応じて組み合わせることもあります。どの方法が合うかは、検査結果をもとに一緒に考えていきます。
同じ「ソフトコンタクト」でも設計がちがう ― デュアルフォーカスとEDOF
近視進行抑制用のソフトコンタクトには、マイサイトのようなデュアルフォーカス型のほかに、EDOF(イードフ/焦点深度拡張)型と呼ばれる設計もあります。EDOF型は、もともと老眼向けの遠近両用レンズを応用したものが多く、ピントの合う範囲を意図的に広げることで、網膜の手前側にも焦点を作り、近視の進行をおさえる信号を送ります。国内では「シード 1dayPure EDOF」「メニコン Bloom Day」などが知られています。
気になるのは「どちらが効くのか?」ですが、結論から言うと、現時点で「どちらかが明らかに優れている」とは言えません。参考として、公表されている抑制率を1年後・3年後で並べたのが下の表です。
| 抑制率(対照との比較) | マイサイト ワンデー (デュアルフォーカス) | EDOF型 (シード 1dayPure EDOF) |
|---|---|---|
| 近視進行の抑制 1年後 | 約69% | 約59% |
| 近視進行の抑制 3年後 | 約59% | 不明 ※1 |
| 眼軸長の伸びの抑制 1年後 | 約63% | 約49% |
| 眼軸長の伸びの抑制 3年後 | 約52% | 不明 ※1 |
| 比べた相手(対照) | 単焦点コンタクト | 単焦点メガネ |
| 日本での承認 | 進行抑制で承認 | 老視用として承認 ※2 |
※1 EDOF(シード 1dayPure EDOF)は3年間の臨床試験データが報告されていません(2026年時点)。1年後の数値は、インド人小児を対象に単焦点メガネと比較した試験によるものです。
※2 近視進行抑制を効能として国内承認されたEDOF型レンズはありません(2026年時点)。
抑制率のパーセンテージは、観察した期間や、何と比べたか(メガネか単焦点コンタクトか)によって見かけの数字が変わります。上の表でも、マイサイトは3年間・単焦点コンタクトとの比較、EDOFは1年間・単焦点メガネとの比較と“土俵”がちがい、対象の人種や年齢も異なります。そのため、それぞれの「○%」を横並びにして優劣を判断することはできません。
治療の選択肢を考えるうえでより実際的なちがいは、日本での“承認”の有無です。マイサイト ワンデーは「近視の進行抑制」を目的として国が承認した唯一のソフトコンタクトである一方、EDOF型レンズの多くは老眼(老視)用の多焦点レンズとして承認されており、近視抑制目的での使用は承認された使い方ではない(適応外使用)という位置づけになります。*EDOF型のうち近視進行抑制で国内承認された製品はありません(2026年時点)。
治療をやめたら“リバウンド”しませんか?
近視進行抑制でよくあるご心配が、「途中でやめたら、その反動で一気に進んでしまわないか?」という点です。これは「リバウンド(反跳)」と呼ばれ、治療法によって起こりやすさが異なります。
点眼薬(アトロピン)では反動が知られています
低濃度アトロピン点眼は有効な方法ですが、中止した後に近視の進行が一時的に加速する「リバウンド」が報告されています。特に高濃度ほど、また年齢が低いうちに中止するほど起こりやすいとされます。このため点眼治療では、近視の進行が自然に止まる10代後半〜20代前半までは継続し、やめる場合も半年ごとに眼軸長などをチェックすることが勧められています。
マイサイトでは「リバウンドなし」と報告されています
一方、マイサイトについては、世界で最も長く続いている7年間の臨床試験で、装用を中止した後の変化がくわしく調べられています。3年間または6年間装用したあとにレンズをやめても、その後1年間の眼軸の伸び・近視の進行は、その年齢で本来予想される“自然なペース”に戻っただけで、反動的に加速する「リバウンド」は見られませんでした。それまでにおさえてきた効果(貯金)も保たれていました。
リバウンドが起きにくいことは大きな安心材料ですが、近視が進む年齢のうちにやめてしまえば、その分だけ「進みうる余地」が残ります。抑制効果を活かすには、進行が落ち着く年齢まで続けることが基本です。いつ終了するかは、眼軸長の推移を見ながら担当医とご相談ください。
よくあるご質問
いま近視が進んでいなくても始めたほうがいい?
進行抑制は「これから進みそうな時期」に行うことに意味があります。進行のスピードは検査で確認できますので、まずは現在の状態を把握することをおすすめします。すでに進みが速いお子さまほど、早めの対策が役立ちます。
近視が「治る」わけではないのですか?
はい、いったん進んだ近視を元に戻す治療ではありません。目的はこれ以上の進行をできるだけゆるやかにすることです。将来の強い近視や、それに伴う目の病気のリスクを減らすことが狙いです。
痛くないですか?子どもに扱えますか?
やわらかいソフトコンタクトで、臨床試験でも痛みは少なく、9割以上の子どもが自分で着け外しできたと報告されています。1日使い捨てなので洗浄・保存の手間がなく、衛生管理もシンプルです。装用練習はクリニックでサポートします。
スポーツや学校生活で使えますか?
日中に装用するレンズなので、裸眼に近い自然な見え方で活動できます。メガネがずれたり曇ったりする心配が少なく、運動時にも向いています。
効果には個人差がありますか?
あります。ご紹介した抑制率は臨床試験の平均値で、お子さまによって効果の出方は異なります。だからこそ、定期的に眼軸長などを測定しながら、進行の具合を確認していくことが大切です。
当院での取り扱いについて
マイサイト ワンデーは、メーカーが定める専門トレーニングを修了し、認定を受けた施設でのみ処方できるレンズです。梅の木眼科クリニックは、この認定を正式に取得しています。
MiSight® 1 day 認定処方施設
当院は、クーパービジョン・ジャパンによる適正使用のための専門E-learningを修了し、「MiSight® 1 day 処方施設」として正式に認定されています。眼科専門医が、適応検査から処方、その後の経過観察までを一貫して行います。
費用のめやす
診察・検査費は、コンタクトレンズ診療に準じて健康保険が適用されます。上記のレンズ代は保険適用外の実費で、必要な箱数は度数や両眼分によって異なります。くわしい費用は診察時にご案内します。
近視進行抑制治療では、経過観察が欠かせません。近視が進行した場合には適切な度数に調整する必要があるため、3〜4か月ごとの定期検査をおすすめします。なお、中学生以下のお子さまは、保護者の方もご一緒にご来院ください。
まずは「今の進み具合」を知ることから
お子さまの近視が気になる方は、当院までお気軽にご相談ください。
眼軸長の測定を含めた検査で現在の状態を確認し、お子さまに合った進行抑制の方法を一緒に考えます。
参考・出典
- Chamberlain P, et al. A 3-Year Randomized Clinical Trial of MiSight® Lenses for Myopia Control. Optom Vis Sci. 2019;96(8):556–567.
- クーパービジョン・ジャパン プレスリリース(2025年8月:製造販売承認取得、承認番号 30700BZX00189000/2026年2月:国内発売)
- Tideman JWL, et al. Association of Axial Length With Risk of Uncorrectable Visual Impairment. JAMA Ophthalmol. 2016;134(12):1355–1363.
- Chamberlain P, et al. Eye growth and myopia progression following cessation of myopia control therapy with a dual-focus soft contact lens. Optom Vis Sci. 2025.(マイサイト装用中止後のリバウンドに関する7年試験の報告)
- SEED 1dayPure EDOF に関する1年間のランダム化比較試験(SEED LVPEI Indian Myopia Study:単焦点メガネと比較し近視進行を約59%、眼軸長を約49%抑制)
- Yam JC, et al. LAMP Study(低濃度アトロピン点眼の効果と中止後の進行に関する報告)ほか、日本近視学会「低濃度アトロピン点眼液による近視進行抑制治療の手引き」
本記事は近視進行抑制に関する一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針を示すものではありません。臨床試験の数値は8〜12歳の近視児を対象とした特定の試験に基づく平均値であり、効果・適応には個人差があります。マイサイト ワンデーは診察のうえ適応を判断する医療機器です。実際の治療については医師にご相談ください。
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梅の木眼科クリニック
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神奈川県横浜市保土ケ谷区西谷1-25-21 ポンデロッサ西谷1F・2F
電話番号 :
045-371-2666
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