白内障手術前にやってはいけないことは?見落としやすい注意点と事前準備のポイント
2026/05/12
白内障手術を控えている方にとって、術前の準備は手術の成功を左右する重要な要素です。
手術そのものは約10分程度で終わる日帰り手術ですが、術前の過ごし方次第で術後の経過が大きく変わることをご存知でしょうか。
特に見落としがちな注意点を知らずに手術を迎えてしまうと、感染症のリスクが高まったり、手術自体が延期になったりする可能性もあります。この記事では、白内障手術を安全に受けるために、術前に避けるべき行動や見落としやすい注意点を詳しく解説します。点眼薬の管理方法、感染予防対策、生活上の制限事項など、手術成功のための事前準備を網羅的にご紹介していきます。
白内障手術前にやってはいけないこと【感染予防編】
白内障手術において最も重要なのは感染予防です。
術後の眼内炎は重篤な視力障害を残す可能性があり、厳重な管理が求められます。手術前から感染リスクを最小限に抑えることが、安全な手術の第一歩となります。
目をこすったり触ったりする行為
手術前の数日間は、目をこすったり触ったりする行為を避けてください。
手には目に見えない細菌が多数付着しており、これらが目に入ると感染症の原因となります。特に無意識のうちに目を触ってしまう習慣がある方は、意識的に手を目に近づけないよう注意が必要です。
かゆみがある場合は、清潔なティッシュで優しく押さえる程度にとどめ、決してこすらないようにしましょう。
不潔な環境での過ごし方
手術前は清潔な環境で過ごすことが重要です。
ほこりっぽい場所や、煙が充満している環境は避けてください。また、ペットを飼っている方は、ペットの毛やフケが目に入らないよう注意が必要です。
寝具も清潔なものを使用し、特に枕カバーは手術前日に新しいものに交換することをおすすめします。
化粧品の使用
手術当日はもちろん、手術前日からアイメイクは控えてください。
マスカラやアイシャドウなどの化粧品には細菌が繁殖しやすく、目の周りに使用することで感染リスクが高まります。特に古い化粧品は細菌の温床となっている可能性があるため、手術後に使用する化粧品も新しいものを用意することが望ましいです。
点眼薬の管理で注意すべきポイント
術前の点眼薬は手術の成功に直結する重要な要素です。
散瞳薬や抗菌薬など、指示された点眼薬を正しく使用することで、手術がスムーズに進み、術後の合併症リスクも低減できます。
しかし、点眼薬の管理や使用方法を誤ると、手術の延期や合併症のリスクが高まる可能性があります。
点眼薬の保管方法の間違い
点眼薬は指示された保管方法を厳守してください。
多くの点眼薬は室温保存が可能ですが、一部の薬剤は冷蔵保存が必要な場合もあります。直射日光や高温多湿を避け、清潔な場所に保管しましょう。
また、点眼薬の容器の先端が他のものに触れないよう注意が必要です。容器の先端が汚染されると、点眼液全体が細菌に汚染される可能性があります。
点眼の順番とタイミングの誤り
複数の点眼薬を使用する場合、点眼の順番とタイミングが重要です。
一般的に、異なる点眼薬を使用する際は、5分以上の間隔を空けることが推奨されています。これは、先に点眼した薬剤が目の表面に十分に浸透する時間を確保するためです。
また、医師から指示された点眼の順番がある場合は、必ずその順番を守ってください。点眼のタイミングも重要で、指示された時間に正確に点眼することで、手術時に最適な状態を作ることができます。
点眼薬の使用期限と使い回し
開封後の点眼薬には使用期限があります。
一般的に、開封後1ヶ月を過ぎた点眼薬は使用を避けるべきです。
また、家族間での点眼薬の使い回しは絶対にやめてください。点眼薬は個人専用のものであり、他人と共有することで感染症のリスクが高まります。
使用期限が過ぎた点眼薬や、濁りや変色が見られる点眼薬は、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。
生活習慣で避けるべき行動
手術前の生活習慣も、手術の成功に大きく影響します。
日常生活の中で何気なく行っている行動が、実は手術のリスクを高めている可能性があります。手術前の数日間は、特に以下の点に注意して過ごすことが重要です。
激しい運動や重労働
手術前の激しい運動や重労働は控えてください。
激しい運動は血圧を上昇させ、目の血管に負担をかける可能性があります。また、汗をかくことで目に汗が入り、感染リスクが高まることもあります。重い物を持ち上げる作業も、目に圧力がかかるため避けるべきです。
手術前1週間程度は、軽い散歩程度の運動にとどめ、激しい運動は控えましょう。
飲酒と喫煙
手術前の飲酒と喫煙は、手術のリスクを高める要因となります。
アルコールは血液の凝固機能に影響を与え、手術中の出血リスクを高める可能性があります。また、喫煙は血管を収縮させ、目の血流を悪化させるため、術後の回復を遅らせる可能性があります。
手術前少なくとも24時間は飲酒を控え、可能であれば手術の数日前から禁酒することが望ましいです。喫煙については、手術前後を通じて禁煙することが強く推奨されます。
不規則な生活リズム
手術前は規則正しい生活を心がけてください。
睡眠不足は免疫力を低下させ、感染症のリスクを高めます。また、体調不良の状態で手術を受けると、術後の回復が遅れる可能性があります。
手術前は十分な睡眠を取り、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。特に手術前日は早めに就寝し、体調を整えておきましょう。
薬剤使用で気をつけるべきこと
普段服用している薬剤が、白内障手術に影響を与える場合があります。
手術前には、必ず医師に服用中の薬剤をすべて報告してください。特に以下の薬剤については、手術前に医師と相談し、適切な対応を取る必要があります。
抗凝固薬・抗血小板薬の服用
血液をサラサラにする薬を服用している方は、必ず医師に報告してください。
ワーファリンやバイアスピリンなどの抗凝固薬・抗血小板薬は、手術中の出血リスクを高める可能性があります。しかし、これらの薬剤を自己判断で中止することは、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な合併症を引き起こす危険性があります。
医師は患者様の全身状態を考慮し、薬剤の継続または一時中止について適切に判断しますので、必ず医師の指示に従ってください。
ステロイド薬の長期使用
ステロイド薬を長期間使用している方は、特に注意が必要です。
ステロイド薬の長期使用は、白内障の進行を早めるだけでなく、術後の創傷治癒を遅らせる可能性があります。また、ステロイド薬は感染症に対する抵抗力を低下させるため、術後の感染リスクが高まります。
ステロイド薬を使用している方は、使用量や使用期間を含めて、詳細に医師に報告してください。
市販薬やサプリメントの使用
市販薬やサプリメントも、手術に影響を与える可能性があります。
風邪薬や鎮痛剤などの市販薬、ビタミン剤やハーブサプリメントなども、手術前には医師に報告してください。
特に、イチョウ葉エキスやビタミンEなど、血液の凝固に影響を与える可能性のあるサプリメントは、手術前に中止が必要な場合があります。
手術当日の準備で注意すべきポイント
手術当日は、いくつかの重要な注意点があります。
当日の準備を適切に行うことで、手術がスムーズに進み、術後の回復も良好になります。以下の点に注意して、手術当日を迎えてください。
食事と水分摂取
手術当日の食事については、医師の指示に従ってください。
一般的に、日帰り白内障手術の場合は、通常通りの食事が可能なことが多いですが、施設によって指示が異なる場合があります。水分摂取についても同様に、医師の指示に従ってください。
ただし、手術直前の大量の水分摂取は避けるべきです。また、手術当日はアルコールやカフェインを含む飲料は控えてください。
服装と持ち物
手術当日は、着脱しやすい服装を選んでください。
前開きのシャツやブラウスが理想的です。タートルネックやかぶりタイプの服は、術後に眼帯をつけた状態で脱ぎ着が困難になるため避けましょう。また、アクセサリーや時計は外しておくことをおすすめします。
持ち物については、保険証、診察券、処方された点眼薬などを忘れずに持参してください。
付き添いと帰宅方法
手術当日は、可能な限り付き添いの方と一緒に来院してください。
手術後は眼帯で視界が制限されるため、一人での帰宅は危険です。また、散瞳薬の影響で数時間は視界がぼやけた状態が続きます。
公共交通機関を利用する場合も、付き添いの方がいると安心です。自動車の運転は絶対に避けてください。
タクシーを利用する場合も、できれば付き添いの方と一緒に帰宅することをおすすめします。
術前検査で見落としやすいポイント
術前検査は、手術の安全性を確保するために非常に重要です。
検査結果によっては、手術の延期や追加の治療が必要になる場合もあります。術前検査を受ける際には、以下の点に注意してください。
全身状態の正確な申告
術前検査では、全身状態を正確に申告することが重要です。
糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある方は、現在の治療状況や血糖値・血圧のコントロール状態を詳しく伝えてください。特に糖尿病は、術後の感染リスクや創傷治癒に影響を与えるため、血糖値が安定していることが手術の前提条件となります。また、心臓病や呼吸器疾患がある方も、必ず医師に報告してください。
アレルギー歴の報告
薬剤アレルギーや食物アレルギーがある方は、必ず報告してください。
特に、抗生物質や麻酔薬に対するアレルギーは、手術に直接影響します。過去にアレルギー反応を起こしたことがある薬剤名を正確に伝えることが重要です。
また、ヨード系消毒薬に対するアレルギーがある方も、必ず報告してください。術前の消毒に使用される可能性があるためです。
眼の既往歴
過去の眼の病気や手術歴も、必ず医師に伝えてください。
緑内障、網膜剥離、ぶどう膜炎などの眼疾患の既往歴は、白内障手術の方法や術後管理に影響を与えます。また、過去に眼の手術を受けたことがある方は、その詳細を伝えることが重要です。
コンタクトレンズの長期使用歴や、眼の外傷歴なども、手術計画に影響する可能性があります。
まとめ:安全な白内障手術のために
白内障手術は、現代の眼科医療において非常に安全性の高い手術です。
しかし、術前の準備を適切に行うことで、さらに安全性を高め、術後の回復もスムーズになります。感染予防のための清潔管理、点眼薬の正確な使用、生活習慣の見直し、薬剤情報の正確な申告など、一つひとつの注意点を守ることが重要です。
特に、目をこすらない、点眼薬を正しく使用する、医師の指示に従うという基本的なことを徹底してください。
不安なことや疑問点があれば、遠慮なく医師や看護師に相談することをおすすめします。適切な術前準備により、白内障手術を安全に受け、クリアな視界を取り戻しましょう。
白内障手術について、さらに詳しい情報や個別のご相談をご希望の方は、ぜひ当院までお問い合わせください。
経験豊富な眼科専門医が、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

