加齢黄斑変性の見え方とは?ゆがみ・中心が見えない症状と進行時の変化の特徴
2026/05/11
「最近、ものがゆがんで見える」「文字の中心が読みづらい」…こんな症状に心当たりはありませんか?
それは加齢黄斑変性という病気の初期サインかもしれません。この病気は、初期段階では自覚症状が少ないものの、一度眼内に出血すると急激に中心部分が見えなくなり、改善が難しくなる特徴があります。
日本では視覚障害者の原因疾患の第4位となっており、50歳以上の約1.2%(80人に1人)に見られる病気です。年を重ねるごとに発症率は高くなり、患者数も年々増える傾向にあります。
この記事では、加齢黄斑変性で起こる特徴的な見え方の変化について、初期のゆがみから中心暗点、視力低下まで、症状の進行段階ごとに詳しく解説します。早期発見のポイントも紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
加齢黄斑変性とは?黄斑の役割と病気のメカニズム
加齢黄斑変性を理解するには、まず「黄斑」という部分の重要性を知る必要があります。
黄斑は視力の9割を担う重要な場所
眼球をカメラに例えると、網膜はフィルムにあたる部分です。その網膜のほぼ真ん中に「黄斑(おうはん)」と呼ばれる部分があります。黄斑は中心視力の9割を担うといわれており、ものの詳細を見分けたり、色を判別するのにとても大切な場所です。
さらに、黄斑の中心は「中心窩」と呼ばれ、視力にとって最も重要な場所となっています。
新生血管が引き起こす視力障害
加齢黄斑変性症は、網膜の下の脈絡膜というところから黄斑の網膜に向かって、新生血管という異常な血管が生えて、出血したり、血液中の水分(滲出液)が漏れてたまってしまうことで発症します。
これにより、中心部に見えないところやゆがんで見える症状を生じさせ、視力が低下する病気です。
新生血管が発生・発育して、血液や滲出液がもれだす原因物質として「血管内皮増殖因子(VEGF)」が見つかっています。VEGFは正常な血管を形成し、維持するために不可欠な物質ですが、本来は必要のない血管を発生させるなど、加齢黄斑変性では悪い働きをします。
加齢黄斑変性の初期症状・・・こんな見え方に注意
加齢黄斑変性の初期段階では、特徴的な見え方の変化が現れます。
ものがゆがんで見える「変視症」
最も早く現れる症状が「変視症(へんししょう)」です。
網膜の腫れや網膜の下に液体が溜まると網膜がゆがみます。ゆがんだフィルムで写すとゆがんで写るように、ゆがんだ網膜で見るとものがゆがんで見えます。
例えば、新聞の文字を読んでいるときに、実際の文字が波打って見えたり、直線が曲がって見えたりします。
黄斑部は障害されますが、周辺部は障害されていませんので、中心部はゆがんで見えますが、周辺部は正しく見えます。
片目で見ると気づきやすい初期サイン
両眼で見ていると、もう一方の目が補ってしまうため、初期の変化に気づきにくいことがあります。
片目ずつ確認することで、見え方の異常を早期に発見できます。
「片目で見ると変だな」「文字の中心がにじんで見える」「ものがゆがむ気がする」…こんな小さな違和感が最初のサインです。
進行した加齢黄斑変性の見え方・・・中心暗点と視力低下
症状が進行すると、より深刻な見え方の変化が現れます。
見たいものの中心が見えない「中心暗点」
さらに黄斑部の網膜が障害されると、真ん中が見えなくなる「中心暗点」が生じます。
網膜の中心部が悪くなるので、視野の中心のもっともよく見ようとするものが見えにくくなります。病巣が黄斑に限られていれば、見えにくい部分は中心部だけですが、大きな出血が起これば、さらに見えにくい範囲は広がります。
見ているものの中心が暗い、あるいは何かに遮られているかのように欠けて見えるため、文字を読んだり、人の顔を認識したりすることが困難になります。
急激な視力低下と色覚異常
視力低下が進行すると、運転免許の更新や字を読んだりすることができなくなります。
通常、視力低下は徐々に進行しますが、網膜の下に大きな出血が起こると突然、著しい視力低下が起こることがあります。症状が進んでくると、色が分からなくなる色覚異常も現れます。
自分でできる簡単チェック・・・アムスラーチャートの使い方
加齢黄斑変性の早期発見には、自宅でできる簡単なチェック方法があります。
アムスラーチャートとは?
アムスラーチャートは、碁盤の目のような(方眼紙のような)図を見てもらい、格子のゆがみを調べる検査です。
変視症を早くから検出することができる簡便な検査ですので、自宅でもできます。
正しいチェック方法
チェックシートを眼から30cmくらい離します。メガネやコンタクトレンズは装用したまま行ってください。
中央の黒い点を片眼ずつ見て見え方をチェックします。必ず片眼ずつ行うことが重要です。
ぼやける、ゆがんで見える、欠けて見えるなど、見え方がおかしいときや、以前より見え方が悪化したと感じたときは、すぐに眼科を受診しましょう。
加齢黄斑変性になりやすい人・・・リスク要因を知る
加齢黄斑変性は、特定の条件に当てはまる方に発症しやすい傾向があります。
年齢と性別のリスク
加齢性黄斑変性症は、年をとればかかるおそれのある病気です。50歳以上の方、特に高齢になるほど発症率が高くなります。また、男性の発症率は女性の約3倍ほどともいわれています。
生活習慣とリスク
この疾患の主な原因は、加齢や生活習慣の欧米化などです。
欧米では以前より主要な失明原因となる怖い病気として知られていましたが、日本でも高齢者の増加にともなって患者様が増えています。また喫煙者に多くみられることも報告されています。
喫煙習慣がある方、生活習慣病(高血圧・脂質異常症など)がある方、脂っこい食事が多い方は特に注意が必要です。
梅の木眼科クリニックでの検査と診断
当院では、加齢黄斑変性の早期発見・早期治療を心がけております。
精密な検査で状態を把握
視力検査はもちろん、眼底検査で異常な血管の有無をチェックします。
特に重要なのが「眼底3次元画像解析装置(OCT)」です。OCTは、網膜のむくみ・厚み・出血の状態を立体的に見ることができる最新機器です。痛みもなく、短時間で終わります。
視力低下の原因が何かをしっかり確認してから治療を提案いたします。
当日対応可能な治療体制
梅の木眼科クリニックでは、患者様の視力低下を極力起こさせないよう、必要があれば当日の抗VEGF硝子体注射にも対応できる体制を整えています。
加齢黄斑変性は、早い治療が視力を守ります。治療が早ければ早いほど、今見えている視力を守れる可能性が高くなります。
加齢黄斑変性の治療方法
加齢性黄斑変性症の治療には、いくつかの方法があります。
抗VEGF抗体硝子体注射
新生血管の成長やそこから漏れ出す血液中の水分を減らす治療です。
「VEGF阻害薬」(抗VEGF薬)を眼球に注射(硝子体注射)する方法で、これによって新生血管を縮小させる効果が期待できます。注射にかかる時間は1分ほどですが、何度か通院して繰り返し注射を打つ必要があります。
当院では、この治療を当日行うことも可能です。
レーザー治療
レーザー光線を新生血管のあるところに照射いたします。 新生血管が中心窩から離れたところにある場合に行う治療です。照射によって正常な視細胞なども焼き潰すことになるので、新生血管が中心窩より離れている場合に限定されます。
光線力学療法(PDT)
光に反応するお薬を腕の静脈から注射投与し、弱いレーザーを照射して新生血管を閉塞させます。
当院で行える治療は抗VEGF抗体硝子体注射です。それ以外の治療が必要な場合には、病院をご紹介させていただきます。
早期発見が何より重要・・・定期検査のすすめ
この病気の怖いところは、初期は自覚症状がほとんどないという点です。
定期検査で進行を防ぐ
加齢性黄斑変性症は進行するにつれて視力低下はもとより、日常生活の不自由さがとても強くなるご病気です。
診断された際には定期検査および治療を受けることをおすすめいたします。将来も今と同様に見えることを目標として二人三脚の治療に努めてまいります。
片目の発症後は特に注意
一方の目に加齢黄斑変性が発症した方は、もう一方の目にも発症するリスクが高くなります。
定期的な検査と、日常的なセルフチェックを続けることが大切です。
まとめ・・・見え方の変化を見逃さないために
加齢黄斑変性は、初期の「ものがゆがんで見える」という症状から始まり、進行すると「中心が見えない」「視力が著しく低下する」という深刻な状態に至る病気です。
50歳以上の約1.2%(80人に1人)に見られ、日本では視覚障害者の原因疾患の第4位となっています。
早期発見のポイントは、片目ずつの見え方チェックです。アムスラーチャートを使った自己チェックを習慣にし、少しでも異常を感じたらすぐに眼科を受診しましょう。
梅の木眼科クリニックでは、加齢黄斑変性の早期発見・早期治療を重視し、必要があれば当日の抗VEGF硝子体注射にも対応できる体制を整えています。
ちょっとした違和感でも、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの「見える未来」を守るための検査・治療をご提案いたします。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

