ドライアイで頭痛が起こるのはなぜ?目の疲れとの関係と受診が必要なサイン
2026/05/18
パソコンやスマートフォンを長時間使用していると、目の乾きとともに頭痛に悩まされることはありませんか?
実は、ドライアイと頭痛には深い関係があります。
目の乾燥が続くと眼精疲労が進行し、それが引き金となって頭痛や肩こり、さらには吐き気などの全身症状を引き起こすことがあるのです。
この記事では、ドライアイがなぜ頭痛を引き起こすのか、そのメカニズムを医学的に解説します。また、眼科を受診すべき危険なサインについても詳しくお伝えします。
ドライアイとは?涙の役割と症状
ドライアイは、涙の量が不足したり涙の質が悪くなったりすることで起きる慢性疾患です。
涙は目の表面を潤すだけでなく、機械的刺激や細菌・ウイルスなどの感染から目を守る重要な役割を担っています。
涙の層が不安定になると、目の表面に摩擦が起き「こすれ」などの不快感が生じたり、角膜に傷ができて痛みが生じたりします。
ドライアイの主な症状
ドライアイの症状は「目が乾く」ことだけではありません。以下のような多彩な症状が現れます。
目が疲れやすい
目がゴロゴロする
目が痛い、重い感じがする
目が赤くなりやすい
理由もなく涙が出る
物がかすんで見える
光をまぶしく感じやすい
目やにが出やすい
中には目の乾きをほとんど感じず、「物が見えにくくなった」など見え方の異常だけを訴える方もいます。
ドライアイの原因
パソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズ装用者の増加に伴い、ドライアイ患者さんも増えています。
その数は約2,200万人ともいわれ、非常に多いことがわかります。
主な原因としては、パソコン画面を見続けながらの長時間作業の増加、スマートフォンの普及などにより、目を酷使する機会が増えたことが挙げられます。
また、エアコンによる室内の乾燥、コンタクトレンズの長時間装用、ストレスの増加、女性の更年期障害なども原因となります。
ドライアイが頭痛を引き起こすメカニズム
ドライアイと頭痛の関係を理解するには、眼精疲労という概念が重要です。
目の疲れ(眼精疲労)やドライアイが頭痛の原因となることがあります。目の異常が肩こりや疲労を引き起こし、その心身のストレスから片頭痛や緊張型頭痛になると考えられています。
眼精疲労から頭痛へのプロセス
ドライアイになると眼精疲労が進行し、頭痛、吐き気、首や肩のこり、腰痛・背中・腕の痛みやしびれなどの症状が出てしまうことがあります。
また、イライラ感や不安感、憂うつ感など心のトラブルも引き起こすことがあるといわれており、たかがドライアイとあなどれません。
ドライアイは生活の質を長期にわたって損なってしまう病気なのです。
VDT症候群との関連
眼精疲労やドライアイの一番の原因はパソコンやスマートフォン等のデジタルデバイスの使いすぎです。
デジタルデバイスによって目の疲れ・痛み、肩こりや頭痛、こころなど全身に及ぶ不調が起こる病気をVDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群といいます。IT眼症とも呼ばれています。
VDT症候群の予防には、1時間作業したら10〜15分程度の休憩をとる、目とディスプレイの間の距離を40 cm以上とる、などの対策が有効であるといわれています。
ブルーライトと頭痛の関係
スマートフォンやパソコンのディスプレイから出る光には、ブルーライト(青色光)が含まれています。 このブルーライトが頭痛に影響を及ぼしているともいわれています。
ブルーライトが睡眠に与える影響
人間には1日周期で身体のリズムやホルモンなどを調節するための体内時計(サーカディアンリズム)が備わっています。
夜に眠たくなり、朝に目が覚めるのはこの体内時計のおかげです。
このしくみには脳内の松果体で分泌されるメラトニンというホルモンがかかわっています。メラトニンは眠気を誘うなどの役割をもち、夜間に多く分泌され昼間は少なくなることが知られています。
目で感じた日光に含まれるブルーライト等が、メラトニンの分泌を抑えるからだと考えられています。
寝る前のスマートフォン使用に注意
昨今のスマートフォンの普及によって寝る直前までブルーライトを浴び続ける方が急増したことで、夜でもメラトニン分泌が抑制され睡眠の質が下がってしまっている方が増えていると考えられています。
もし心当たりがある方は、質の良い眠りのために以下のような対策を実行してみましょう。
寝る数十分〜1時間程度前から、スマートフォンやテレビなどのディスプレイを見ないようにする
間接照明などを利用して、夜間は強い光を避ける
部屋の照明を寒色系ではなく暖色系にする、または色を変えられる照明であれば夜間のみ暖色系に変える
頭痛に伴って起こる目の症状
片頭痛や群発頭痛では、頭痛に伴い目の症状があらわれることがあります。
三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
目の症状を伴う代表的な頭痛として、群発頭痛があります。
この群発頭痛は、三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)と呼ばれる頭痛のグループに分類されています。
TACsの症状は片側にだけ出現することが多く、目の奥が強烈に痛む「顔面痛」と涙や鼻水などの「自律神経症状」が同時に起こるという特徴があります。
三叉神経が活発になり、その興奮により副交感神経系が活性化されることによって、結膜の充血、涙が出る、まぶたが腫れる・下がる、瞳孔が縮む、おでこや顔から汗が出る、鼻水や鼻づまりといった自律神経症状があらわれると考えられています。
片頭痛による光過敏と閃輝暗点
片頭痛でも目の奥の痛みや、結膜の充血、涙が出るなどの自律神経症状が出現することがあります。
片頭痛では、光過敏と閃輝暗点という目に関連する症状があらわれる場合があることが知られています。片頭痛発作時、ふだんは気にならない室内の照明などの光がまぶしく感じたり、不快に感じることがあります。
どちらの頭痛にも三叉神経が深くかかわっています。三叉神経は目の周辺の知覚を担当している神経でもあるため、それが目の痛みと関係しているのではないかと考えられています。
ドライアイを放置すると起こる全身症状
ドライアイは軽く考えられがちですが、放置すると目の不調にとどまらず、全身的なつらい症状を引き起こしてしまうこともあります。
角膜上皮障害のリスク
涙には機械的刺激や細菌やウイルスなどの感染から目を守る働きがありますが、ドライアイでは目は乾いて傷つきやすい状態となります。
重症になると角膜(黒目)の表面に無数の傷がついている場合もあります。
これを角膜上皮障害といい、適切な対処をしないまま放置した場合、視力の低下が起こる可能性があります。
結膜炎やアレルギー症状の悪化
ドライアイのために結膜炎やものもらいにかかりやすくなったり、花粉症などのアレルギー性結膜炎が重症化したりするケースもよく見られます。
涙が少ないと、目に入った異物を洗い流せないためですが、もともとアレルギー体質の人は涙の状態が不安定になりやすく、ドライアイの症状が出やすいということが分かっています。
逆に、こうした症状がある場合は、ドライアイになっていないかどうか眼科でチェックした方がよいでしょう。
梅の木眼科クリニックでのドライアイ治療
当院では、ドライアイの診断から治療まで、一貫した専門的なケアを提供しています。
詳細な検査による正確な診断
ドライアイの診断には、複数の検査を組み合わせて行います。
視力検査・・・視力測定からドライアイだけではなく他の疾患がないかを探ります
フルオレセイン染色・・・角膜(黒目)の傷の有無や程度をチェックします
BUT検査・・・涙の質を調べる検査で、目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間を測ります
シルマー検査・・・涙の量を調べる検査で、専用の試験紙を下まぶたの端に5分間挿入し、試験紙が涙で濡れた長さで涙の量を測ります
症状に応じた治療方法
症状が軽い場合は、潤いを持たせる点眼薬で緩和させることができます。
点眼薬だけでは症状をコントロールできない方には、涙点プラグ治療を行います。
涙点プラグ治療は、目の表面を潤した涙が排水される「涙点」に栓をする治療法で、点眼麻酔下での簡単な処置で行うことができます。
左右の目の目頭側には上下に涙点がありますので、そこに栓をすることで涙の排出を抑え乾燥を防ぐ治療です。
眼瞼痙攣に対するボトックス療法
眼瞼痙攣は、両眼のまわりの筋肉が自分の意思に関係なく勝手に力が入り、うまくまばたきができなくなったり目が開けにくくなる病気です。
初期には、まぶしい、目をつぶっていた方が楽、目が乾く、目がショボショボするなどドライアイと似通った症状が見られ、ドライアイとして治療されている場合もあります。
当院では、眼瞼痙攣に対するボトックス療法を提供しています。ボトックス療法は、神経の伝達を阻害する薬剤で、筋肉の緊張をやわらげる作用があります。
まぶたのまわりの緊張している筋肉にボトックスを直接注射することで、筋肉のけいれんや収縮の原因になっている神経の働きを抑え、緊張しすぎている筋肉を緩めるものです。
治療を受けた患者様の80%で症状の改善が得られるという統計が出ています。ボトックス療法の効果は通常2〜3日後から現れ、おおむね2〜4か月ほど効果が続きます。
眼科を受診すべき危険なサイン
以下のような症状がある場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします。
市販の目薬で改善しない場合
市販の目薬は基本的には水分を補うもので、それだけでは改善しにくい場合があります。
水分以外にも目の表面の細胞・粘膜などをターゲットとした治療を行わなくてはいけないことがあるため、市販の目薬を使用することでむしろ悪化してしまう可能性もあります。
頭痛や肩こりが続く場合
頭痛、肩こりでお困りの方でドライアイの症状がある方は眼科受診をおすすめします。
ドライアイが原因で眼精疲労が進行し、頭痛や吐き気、首や肩のこり、腰痛・背中・腕の痛みやしびれなどの症状が出てしまうことがあるためです。
視力低下や見え方の異常
ドライアイがひどくなると視力の低下も起こります。
放置しておくと、知らないところで症状が悪化し、合併症を引き起こします。物がかすんで見える、視力が落ちたと感じる場合は、早めに眼科を受診しましょう。
まとめ
ドライアイは単なる目の乾燥だけでなく、眼精疲労を引き起こし、頭痛や肩こり、吐き気などの全身症状につながる可能性があります。
パソコンやスマートフォンの長時間使用、ブルーライトの影響、睡眠不足などが原因となり、VDT症候群として全身に及ぶ不調を引き起こすこともあります。
市販の目薬で改善しない場合や、頭痛・肩こりが続く場合、視力低下を感じる場合は、早めに眼科を受診することが大切です。
当院では、視力検査、フルオレセイン染色、BUT検査、シルマー検査などの詳細な検査を行い、点眼薬や涙点プラグ治療、眼瞼痙攣に対するボトックス療法など、症状に応じた適切な治療を提供しています。
目の健康は生活の質に直結します。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

