白内障手術で老眼も一緒に治せる?レンズ選びで変わる見え方とは
2026/07/16
白内障手術で老眼も一緒に治せるのか?
多焦点眼内レンズを選択することで、白内障手術と同時に老眼を改善できる可能性があります。ただし、すべての方に適しているわけではなく、目の状態やライフスタイルによって最適なレンズは異なります。
白内障とは、目の中にある「水晶体」が濁り、視力が低下する病気です。
日本眼科医会(2020年12月改訂)によると、白内障手術は日本で年間約160万件行われており、すべての外科手術の中で最も多く実施されています。
加齢が主な原因ですが、アトピー性皮膚炎・糖尿病・紫外線なども発症要因となります。60歳で約70%、70歳で約80%、80歳を超えるとほぼ100%に白内障が現れるとされており、誰にとっても身近な病気です。
手術では濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き(超音波乳化吸引術)、代わりに人工の「眼内レンズ」を挿入します。このとき選ぶレンズの種類によって、術後の見え方が大きく変わります。
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズ、何が違うのか?
単焦点眼内レンズはピントが1点のみ、多焦点眼内レンズは遠方・中間・近方など複数の距離にピントが合います。どちらを選ぶかで、術後にメガネが必要かどうかが大きく変わります。
単焦点眼内レンズの特徴
単焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方のいずれか1点にピントを合わせるレンズです。すべて健康保険が適用されるため、費用負担を抑えられる点が大きなメリットです。
遠方に合わせた場合:車の運転やテレビ視聴は快適になりますが、手元を見るときに老眼鏡が必要になります
近方に合わせた場合:読書やスマートフォン操作は快適になりますが、遠くを見るときに近視用メガネが必要になります
コントラスト感度が高く:見え方がクリアで、夜間のハロー・グレアが出にくいのも特徴です
「老眼鏡をかけることに抵抗がない」「費用を抑えたい」という方には単焦点眼内レンズが適しています。
多焦点眼内レンズの特徴
多焦点眼内レンズは、遠方と近方など複数の距離にピントが合うよう設計されており、老眼の改善も期待できます。
3焦点タイプ:遠方、中間と近方にピントが合い、メガネなし生活を目指せます
焦点深度拡張型(EDOF):遠方から中間距離をなめらかにカバーし、ハロー・グレアが出にくいのが特徴です
2020年4月より、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は「選定療養」の枠組みで受けられるようになりました。手術費用は保険適用で、多焦点眼内レンズ代の差額分のみ自己負担する仕組みです。
多焦点眼内レンズで老眼が治るとはどういうことか?
多焦点眼内レンズを挿入すると、遠方と近方の両方にピントが合うようになり、結果として老眼が改善された状態に近づきます。
ただし、若い頃の自然な調節力が完全に戻るわけではありませんので老眼の治療のために白内障手術をすることはお勧めできません。
老眼は水晶体の弾力性が失われることで起こります。白内障手術では水晶体そのものを取り除くため、単焦点眼内レンズを入れた場合は老眼鏡が必要になります。
一方、多焦点眼内レンズは光を複数の焦点に分配する設計により、遠くも近くも見えるようにします。
ただし、多焦点眼内レンズは特定の距離以外はピントがやや甘くなる場合があります。また、コントラストが落ちるので、「あらゆる距離が完全にクリアだった若い頃の見え方」が完全に再現されるわけではない点は、事前に理解しておくことが大切です。
多焦点眼内レンズに向いている人は?
多焦点眼内レンズは「できるだけメガネをかけたくない」方に向いていますが、夜間運転が多い方や精密な視力が必要な職業の方には不向きな場合があります。
多焦点眼内レンズが向いている方
老眼鏡をかけることに強い抵抗がある方
スポーツ・旅行・趣味など、アクティブな生活を送っている方
スマートフォン・読書・車の運転など、幅広い距離を裸眼で見たい方
眼内レンズの費用はいくらか?保険と選定療養の違いは?
単焦点眼内レンズは健康保険が適用され、3割負担で片目約5万1,000円が目安です。
多焦点眼内レンズは2020年4月から「選定療養」制度が適用され、手術費用は保険適用、レンズ代の差額分のみ自己負担となります。
単焦点眼内レンズ(保険適用):片目・3割負担で約5万1,000円(薬剤・処置内容により変動)
多焦点眼内レンズ(選定療養):手術費用は保険適用+レンズ差額分の自己負担。レンズの種類によって追加費用が異なります
多焦点眼内レンズ(自由診療):薬事承認を受けていない海外製レンズは全額自費となります
選定療養制度の活用により、以前の全額自費に比べて費用負担を大幅に抑えられるようになりました。ただし、民間の先進医療保険の特約は使用できなくなる点に注意が必要です。
費用については受診時に詳しくご説明します。
梅の木眼科クリニックの白内障手術はどのような流れか?
横浜市保土ヶ谷区の梅の木眼科クリニックでは、日帰り白内障手術に対応しており、手術時間は約10分、局所麻酔によりほとんど痛みはありません。手術翌日からほぼ通常の日常生活を送ることができます。
手術の流れ
術前検査:目の状態・眼内レンズの度数計算・ライフスタイルのカウンセリングを行います
点眼麻酔:目薬による局所麻酔を行います。注射は不要で、ほとんど痛みを感じません
角膜切開:角膜に約2〜3mmの小さな切開を行います
超音波乳化吸引術:超音波で濁った水晶体の中身を砕いて吸引します
眼内レンズ挿入:折り畳んだ眼内レンズを水晶体嚢(袋)の中に挿入します
自己閉鎖:創口は縫合不要で自然に閉じます。手術時間は約10分です
当院では白内障の程度を問わず手術できる体制を整えています。院長は日本眼科学会認定眼科専門医であり、手術の研鑽を積んだ経験を持ちます。患者様一人ひとりの生活スタイルやご事情に合わせて手術のタイミングを決定しています。
手術を受ける時期の目安
メガネが合わなくなってきた
老眼鏡をかけても新聞や本が読みにくい
車の運転が不安になってきた
趣味(ゴルフ・手芸・読書など)のときに見えにくさを感じる
まぶしさやかすみが気になる
視力の数値だけでなく、日常生活での不便を感じ始めたときが手術を検討するタイミングです。
「まだ早いかな」と思っていても、お気軽にご相談ください。
レンズ選びで術後の見え方はどう変わるのか?
眼内レンズの種類によって、術後にメガネが必要な場面・頻度が大きく変わります。自分のライフスタイルに合ったレンズを選ぶことが、術後満足度を高める最大のポイントです。
当院では、患者様の目の状態・ライフスタイル・ご希望の見え方に応じて十分に説明した上でレンズを決定しています。老眼鏡が必要なことに抵抗をお持ちの場合は、多焦点眼内レンズなどの新しいレンズもご提案しています。
生活シーン別のレンズ選びの目安
車の運転・テレビ・スポーツ観戦が中心の方:単焦点(遠方)または多焦点(遠方重視)が適しています
スマートフォン・読書・手芸が多い方:多焦点(近方対応)または単焦点(近方)が適しています
PC作業・料理・会話など中間距離が多い方:焦点深度拡張型(EDOF)または連続焦点型が適しています
できるだけメガネなしで生活したい方:3焦点または連続焦点型の多焦点眼内レンズが適しています
なお、乱視がある方は「トーリック(乱視矯正)眼内レンズ」を選ぶことで、白内障・老眼・乱視を同時に矯正できる場合があります。目の状態によって選択肢が異なるため、まずは検査を受けることをお勧めします。
多焦点眼内レンズの注意点・デメリットは何か?
多焦点眼内レンズは「ハロー・グレア」「コントラスト感度の低下」「慣れるまでに時間がかかる」といったデメリットがあります。事前に理解した上で選択することが大切です。
ハロー・グレア:夜間に光の周りに輪が見えたり(ハロー)、まぶしく感じたり(グレア)することがあります。最新レンズでは大幅に改善されています
コントラスト感度の低下:濃淡を見分ける能力がやや低下することがあります。術後数週間〜数ヶ月で慣れることが多いです
慣れるまでの期間:手術直後からすぐにクリアに見えるとは限りません。脳が新しい見え方に適応するまで時間がかかる場合があります
全員に適応があるわけではない:眼底疾患・角膜疾患・強い乱視がある場合は使用できないことがあります
白内障手術のレンズ選びでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
梅の木眼科クリニックでは、日本眼科学会認定眼科専門医が患者様一人ひとりの目の状態とライフスタイルに合わせて、最適なレンズをご提案しています。
相鉄線西谷駅からアクセス良好で、日帰り手術に対応しています。梅の木眼科クリニック 白内障のページから詳細をご確認いただけます。
よくある質問
白内障手術で老眼は完全に治りますか?
多焦点眼内レンズを選択することで老眼を大幅に改善できますが、若い頃の完全な調節力が戻るわけではありません。
特定の距離以外はピントがやや甘くなる場合があります。
多焦点眼内レンズの費用はどのくらいかかりますか?
2020年4月から選定療養制度が適用され、手術費用は保険適用、多焦点レンズ代の差額分のみ自己負担となります。レンズの種類によって追加費用が異なりますので、受診時にご確認ください。
白内障手術は痛いですか?
点眼麻酔(目薬による麻酔)を使用するため、ほとんど痛みはありません。手術時間は約10分で、注射による麻酔は不要です。
手術後、いつから日常生活に戻れますか?
手術翌日からほぼ通常の日常生活を送ることができます。ただし、激しい運動・水泳・目をこするなどの行為は一定期間控える必要があります。
単焦点と多焦点、どちらを選べばよいですか?
「費用を抑えたい」「メガネに抵抗がない」方には単焦点、「できるだけメガネなしで生活したい」方には多焦点が向いています。目の状態・ライフスタイル・ご希望を医師に伝えた上で決定することが大切です。
多焦点眼内レンズのハロー・グレアはずっと続きますか?
ハロー・グレアは術後しばらく気になる場合がありますが、多くの方は数週間〜数ヶ月で慣れてきます。
最新の焦点深度拡張型レンズではこれらの症状が大幅に抑えられています。
白内障手術は何歳から受けられますか?
白内障の程度や生活上の不便を感じ始めた時期が目安で、年齢制限はありません。60歳以上で発症率が高まりますが、若年層でも発症するケースがあります。
眼内レンズは一生使えますか?
眼内レンズの寿命は人間の寿命より長いとされており、通常は一度挿入すれば交換不要です。
日本眼科医会によると、よほどのことがない限り取り出したり入れ替えたりすることはありません。
乱視がある場合も白内障手術を受けられますか?
乱視矯正対応の「トーリック眼内レンズ」を選択することで、白内障手術と同時に乱視を矯正できます。単焦点・多焦点の両方にトーリックタイプがあります。
梅の木眼科クリニックへのアクセスは?
神奈川県横浜市保土ヶ谷区に位置し、相鉄線西谷駅から徒歩圏内でアクセス良好です。日帰り白内障手術に対応しており、電子決済にも対応しています。
結論
白内障手術で老眼も改善したい場合は、多焦点眼内レンズの選択が有効な選択肢です。
費用を抑えたい・見え方のクリアさを重視する方には単焦点、メガネなし生活を目指す方には多焦点(選定療養)が向いています。
どちらが適切かは目の状態・ライフスタイル・ご希望によって異なるため、眼科専門医による検査と十分な説明を受けた上で決定することが最も重要です。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

