医療法人柔敦

糖尿病と言われたら眼科受診は必要?糖尿病網膜症との関係とは

お問い合わせはこちら

糖尿病と言われたら眼科受診は必要?糖尿病網膜症との関係とは

糖尿病と言われたら眼科受診は必要?糖尿病網膜症との関係とは

2026/07/19

糖尿病と言われたら、なぜ眼科受診が必要なのか?

糖尿病と診断されたら、目の症状がなくても眼科受診が必要です。糖尿病網膜症は初期にほとんど自覚症状がなく、気づかないまま進行するからです。

日本眼科学会・日本糖尿病眼学会(2020年12月)の診療ガイドラインは、「糖尿病と診断された患者は速やかに眼科を受診し、定期検査を受けることが大切」と明記しています。

高血糖が続くと、網膜の細い毛細血管が傷つきます。血管がもろくなり、出血や滲出(しみ出し)が起こりますが、この段階では視力はほぼ正常です。
自覚症状が出たときにはすでに重症化していることが多く、治療が難しくなります。

だからこそ、「見えているから大丈夫」という判断は危険です。糖尿病と言われた時点で眼科を受診し、眼底の状態を確認することが失明予防の第一歩です。

糖尿病網膜症とはどんな病気か?進行ステージを知っておこう

糖尿病網膜症は、単純・増殖前・増殖の3段階で進行する眼疾患です。どのステージも初期は無症状であることが多く、ステージが上がるほど治療は困難になります。

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター(2018年1月)によると、糖尿病網膜症は日本における失明の主要原因のひとつであり、近年は血糖・血圧管理の改善と早期治療の普及により重症例の割合は減少傾向にあるとされています。

単純網膜症(初期)

高血糖が続くと毛細血管がもろくなり、毛細血管瘤・小出血・硬性白斑などが網膜に現れます。この段階では視力への影響はほとんどなく、患者さん自身が気づくことはほぼありません。

眼底検査で初めて発見されます。 治療は主に血糖・血圧・脂質のコントロールによる内科的管理です。
定期的な眼底検査で進行を監視します。

増殖前網膜症(中期)

血流障害が進み、網膜出血・軟性白斑・静脈の異常が増えてきます。視力低下を自覚しない場合もありますが、進行抑制のためにレーザー治療などの眼科的介入が必要になることがあります。

増殖網膜症(進行期)

酸素不足を補おうとして新生血管が生じます。新生血管は非常にもろく、大きな硝子体出血や網膜剥離を引き起こします。さらに、新生血管が房水の出口(隅角)に及ぶと血管新生緑内障となり、眼圧が急上昇して失明リスクが高まります。この段階では早急な治療が必要です。

糖尿病黄斑浮腫(視力に直結する病態)

網膜の中心部「黄斑」にむくみが生じる糖尿病黄斑浮腫は、網膜症のどのステージでも起こりえます。黄斑は最も視力に関わる部位のため、浮腫があるだけで著しい視力低下につながります。
OCT(光干渉断層計)検査で早期発見が可能です。

糖尿病網膜症の自覚症状は?どんな見え方の変化に注意すべきか?

初期〜中期の糖尿病網膜症は、ほとんど自覚症状がありません。進行すると視力低下・かすみ・飛蚊症・視野の一部が欠けるなどの症状が現れます。
自覚症状が出てから受診すると、すでに増殖期に達していることが多く、治療の選択肢が限られます。公益社団法人 日本眼科医会も「早期発見・早期治療が失明防止につながる」と強調しています。

初期:自覚症状なし(眼底検査でのみ発見可能)
中期:軽度のかすみ、視力がやや低下することがある
進行期:突然の視力低下、飛蚊症(黒い点や糸が見える)、視野の欠損
黄斑浮腫:中心部がゆがんで見える、読み書きが困難になる

「最近かすんで見える」「視野の一部が暗い」と感じたら、すでに進行している可能性があります。糖尿病患者さんは症状がなくても定期受診を続けることが重要です。

眼科ではどんな検査を行うのか?糖尿病網膜症の診断方法とは

眼科では視力検査・眼圧測定・眼底検査・OCT(光干渉断層計)・OCTA(光干渉断層血管撮影)などを組み合わせて診断します。散瞳(瞳を開く目薬)を使った精密眼底検査が基本です。

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター(2018年1月)によると、眼底検査で網膜症が疑われる場合は蛍光眼底造影検査を追加し、血管の閉塞やもろさを詳細に確認します。

主な検査の内容

視力検査・屈折検査:現在の視力と屈折状態を確認する基本検査
眼圧測定:眼球内の圧力を測定。血管新生緑内障の早期発見にも重要
眼底検査(散瞳検査):瞳孔を散瞳薬で開いて網膜・血管・視神経を直接観察する。出血・白斑・新生血管の有無を確認 OCT(光干渉断層計):網膜の断層画像を撮影。黄斑浮腫の有無や厚みを精密に計測できる。痛みなし
OCTA(光干渉断層血管撮影):網膜の血管の密度や毛細血管瘤の有無、新生血管の有無を撮影できる。
蛍光眼底造影検査:造影剤を点滴して眼底の血流状態を詳細に評価。進行例で実施

梅の木眼科クリニックでは、眼圧検査・眼底検査・OCT(眼底3次元画像解析)・OCTAによる専門的な検査体制を整えています。視能訓練士も在籍しており、患者さんの状態に応じた丁寧な検査を行います。

散瞳検査後は数時間、視界がぼやけたり光がまぶしく感じたりします。当日の車の運転は控え、公共交通機関や付き添いでの来院をお勧めします。

糖尿病網膜症の治療法は?レーザー・注射・手術の違いとは

糖尿病網膜症の治療は、病期に応じてレーザー治療・抗VEGF硝子体内注射・硝子体手術を組み合わせて行います。最も重要な治療の土台は血糖・血圧・脂質の内科的コントロールです。

血糖コントロール(内科的治療)

網膜症の進行を最も効果的に抑えるのは血糖コントロールです。HbA1cを6.5〜7.0%程度に維持することで、血管へのダメージを最小限に抑えられます。内科主治医との連携が欠かせません。

レーザー治療(網膜光凝固術)

増殖前〜増殖網膜症に対して行う治療です。網膜にレーザーを照射し、酸素不足の部位を凝固させることで新生血管の発生を抑制します。
外来で実施でき、入院は不要です。治療後に視野の一部が狭くなることがありますが、失明を防ぐための重要な処置です。

抗VEGF硝子体内注射

糖尿病黄斑浮腫に対して特に有効な治療です。
眼球内に直接薬剤を注射し、新生血管の成長を促す「VEGF(血管内皮増殖因子)」の働きを抑えます。むくみを軽減して視力低下を防ぎます。複数回の投与が必要になることが多いです。

トリアムシノロン注射

ステロイド薬を硝子体内または眼球周囲に注射する治療です。黄斑浮腫の改善に用いられます。抗VEGF注射と組み合わせることもあります。

硝子体手術

硝子体出血や網膜剥離を起こした重症例に対して行う手術です。
眼内の出血や増殖膜を除去し、剥離した網膜を復位させます。高度な技術を要する手術であり、梅の木眼科クリニックでは院長が豊富な手術経験をもとに対応します。

どのくらいの頻度で眼科を受診すればよいか?定期検査の目安とは

糖尿病患者さんは、網膜症がない場合でも年1回以上の眼科受診が推奨されています。病期が進むほど受診頻度を上げる必要があります。

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター(2018年1月)は「糖尿病の患者さんは、目の見え方などが正常と思っても、1年に1回は眼科受診をするようにしましょう」と明記しています。

網膜症なし:年1回の眼底検査
単純網膜症:3〜6か月に1回
増殖前網膜症:1〜2か月に1回(治療の要否を判断)
増殖網膜症・黄斑浮腫:治療内容に応じて医師が指示する頻度で受診

血糖コントロールが改善した直後は、一時的に網膜症が悪化することがあります。これは「早期悪化現象」と呼ばれ、血糖を急激に下げた際に起こりえます。内科で血糖管理を変更した際は、眼科にも報告することが大切です。

梅の木眼科クリニックでは、内科との連携を重視し、患者さんの病期・生活状況に合わせた受診スケジュールを提案しています。

糖尿病網膜症と緑内障の関係は?同時に気をつけるべき理由とは

糖尿病患者さんは、緑内障のリスクも通常より高くなります。特に増殖網膜症が進行すると「血管新生緑内障」という重篤な合併症を引き起こすことがあります。

緑内障は日本における中途失明原因の第1位(25.5%)を占め、40歳以上の約20人に1人が罹患しているとされます。糖尿病網膜症も失明原因の上位に位置する重大疾患です。
両疾患とも初期は無症状のため、定期的な眼科検査で同時にチェックすることが重要です。

血管新生緑内障:増殖網膜症の新生血管が房水の出口を塞ぎ、眼圧が急上昇する。急激な視力低下・眼痛を伴うことがある
開放隅角緑内障:糖尿病患者では発症リスクが高いとされる。ゆっくりと視野が欠けていく

梅の木眼科クリニックでは、糖尿病網膜症の検査と同時に眼圧測定・視野検査・OCTによる視神経評価を行い、緑内障の早期発見にも注力しています。
緑内障治療では点眼治療を基本とし、必要に応じてSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)やMIGS(小切開緑内障手術)にも対応しています。

梅の木眼科クリニックで受けられる糖尿病網膜症の診療とは?

梅の木眼科クリニックは、糖尿病網膜症の早期発見から手術まで一貫して対応する眼科専門クリニックです。院長・熊谷悠太は日本眼科学会認定眼科専門医として、豊富な手術経験を有します。

神奈川県横浜市保土ヶ谷区に位置し、相鉄本線西谷駅北口より徒歩約7分、梅の木バス停から徒歩1分とアクセスが良好です。駐車場3台完備・バリアフリー設計で、高齢の患者さんも安心して通院できます。

糖尿病網膜症に関する主な対応内容

精密眼底検査・OCT:網膜の状態を詳細に評価し、病期を正確に診断
レーザー治療(網膜光凝固術):増殖前〜増殖網膜症の進行抑制
抗VEGF硝子体内注射:糖尿病黄斑浮腫に対する視力保護治療
トリアムシノロン注射:黄斑浮腫の改善を目的としたステロイド治療
硝子体手術:硝子体出血・網膜剥離など重症例への外科的対応
緑内障の同時管理:眼圧・視野・OCTで緑内障を並行してチェック

患者さん一人ひとりの病期・生活背景・内科治療の状況を踏まえ、オーダーメイドの治療方針を患者さん・ご家族とともに相談しながら決定します。「どこから受診すればよいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

糖尿病網膜症の早期発見・治療は、視力を守るための最善策です。自覚症状がなくても、糖尿病と診断されたら眼科受診を先延ばしにしないでください。

梅の木眼科クリニックは、専門的な検査体制と豊富な治療経験で、患者さんの視力と生活の質を守るサポートをしています。お気軽にご相談ください。

よくある質問

糖尿病と診断されたばかりですが、すぐに眼科を受診する必要がありますか?

はい、自覚症状がなくても速やかに眼科を受診してください。
日本糖尿病眼学会の診療ガイドライン(2020年)は、糖尿病と診断された患者に対して速やかな眼科受診と定期検査を推奨しています。初期の網膜症は眼底検査でしか発見できません。

糖尿病網膜症は治りますか?完治できる病気ですか?

一度進行したステージは元に戻りません。ただし、早期発見・適切な治療と血糖コントロールで進行を大幅に遅らせ、視力を長期間維持することは十分可能です。定期受診が最大の予防策です。

眼底検査は痛いですか?散瞳後の注意点は何ですか?

眼底検査自体に痛みはありません。
散瞳薬(瞳を開く目薬)を使用した後は、数時間ほど視界がぼやけたり光がまぶしく感じたりします。当日の車・バイクの運転は控え、公共交通機関や付き添いでの来院をお勧めします。

血糖コントロールが良好なら眼科受診は不要ですか?

いいえ、血糖が良好でも眼科の定期受診は必要です。糖尿病網膜症は血糖コントロールだけでは完全に予防できず、年1回以上の眼底検査が推奨されています。
また、血糖を急激に改善した際に一時的に網膜症が悪化する「早期悪化現象」が起こることもあります。

糖尿病網膜症の治療費はどのくらいかかりますか?

治療内容・保険負担割合によって異なります。
レーザー治療・抗VEGF注射・硝子体手術はいずれも健康保険の適用対象です。3割負担の場合、レーザー治療は数千円〜数万円程度が目安ですが、病期や照射回数によって変わります。詳細は受診時にご確認ください。

糖尿病網膜症と緑内障は同時に発症することがありますか?

はい、同時に発症することがあります。特に増殖網膜症が進行すると「血管新生緑内障」を引き起こすリスクがあります。糖尿病患者さんは眼底検査と同時に眼圧・視野検査も受けることで、両疾患を早期に発見できます。

糖尿病網膜症はどのくらいの期間で進行しますか?

糖尿病発症から網膜症が現れるまで、一般的に数年〜10年程度かかるとされています。
ただし血糖コントロールが悪い場合は進行が早まります。定期的な眼底検査で進行度を継続的に確認することが重要です。

子どもや若い人でも糖尿病網膜症になりますか?

1型糖尿病など若年発症の糖尿病でも、罹患期間が長くなると網膜症が発症します。年齢に関わらず、糖尿病と診断されたら定期的な眼科受診が必要です。
梅の木眼科クリニックは小児眼科にも対応しています。

結論

糖尿病と診断されたら、視力に問題がなくても眼科受診を先延ばしにしないことが最も重要です。

糖尿病網膜症は初期に自覚症状がなく、気づいたときには重症化していることが多い疾患です。
年1回以上の眼底検査・OCT検査を継続し、病期に応じてレーザー治療・抗VEGF注射・硝子体手術などの適切な治療を受けることで、失明リスクを大幅に下げることができます。

内科と眼科の連携を大切にしながら、早期発見・早期治療を続けてください。

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。