健康診断で眼圧が高いと言われたら?眼科受診の流れと検査内容
2026/07/20
本記事は、健康診断で「眼圧が高い」と指摘された方を対象に、眼圧の意味・眼科受診の流れ・具体的な検査内容・治療の方針までを網羅的に解説します。
眼圧とは何か?正常値と「高い」の基準は?
眼圧とは、眼球の内側から外側にかかる圧力のことです。
眼球はビーチボールのように内部の圧力によって球体の形を保っており、この圧力が「眼圧」です。
眼圧の正常値は10〜21mmHgです。
ただし、眼圧の数値だけで病気の有無は判断できません。24mmHgでも緑内障でない方もいれば、16mmHgでも緑内障になる方もいます。視神経の強さには個人差があるため、眼圧の数値と視神経・視野の状態を合わせて総合的に評価することが重要です。
健康診断の眼圧測定はなぜ不正確なことがある?
健康診断では「ノンコンタクトトノメーター(非接触眼圧計)」を使い、目に空気を吹きつけて眼圧を測定します。
痛みがなく短時間で測定できる一方、思わず目をつぶったり力が入ったりすると正確に測れないことがあります。
眼科では、ゴールドマン圧平式眼圧計による精密測定も行います。これは点眼麻酔後にプローブを角膜に当てて測定する方法で、健診の結果よりも正確な数値が得られます。
健診で高眼圧を指摘された場合は、まず眼科で再測定を受けることが大切です。
眼圧が高いと緑内障になるのか?関係性を正しく理解する
眼圧が高いと、視神経が圧迫されて障害が生じやすくなります。
緑内障は日本における中途失明原因の第1位であり(国立がん研究センター JPHC-NEXT、2022年10月)、高眼圧はその主要な危険因子のひとつです。
眼圧が正常範囲内でも緑内障は発症します。逆に、眼圧が高くても視神経に異常がない「高眼圧症」という状態もあります。
高眼圧症:眼圧が22mmHg以上だが、視神経・視野に異常がない状態。緑内障の危険因子として経過観察が必要。
前視野緑内障:視野には異常がないが、視神経の障害が認められている状態。今後視野障害が出現してくる可能性が高い。
正常眼圧緑内障:眼圧が正常範囲内でも視神経が障害される緑内障。日本人に多い。
続発性緑内障:ブドウ膜炎・ステロイド薬使用・網膜血管の血流不全などが原因で眼圧が上昇するタイプ。
閉塞隅角緑内障:虹彩と角膜の隙間が狭いことで房水の排出が妨げられるタイプ。遠視の方に多い。
健診で眼圧の異常を指摘されたら、症状がなくても必ず眼科を受診してください。
健康診断後に眼科を受診する流れはどうなっている?
眼科を受診すると、段階的な検査によって眼圧上昇の原因と緑内障の有無を確認します。受診から診断・治療方針の決定まで、おおむね以下の流れで進みます。
問診:健診結果の確認、自覚症状の有無、家族歴(血縁者に緑内障の方がいるかどうか)、使用中の薬(ステロイド薬など)の確認。
視力検査:裸眼・矯正視力を測定し、現在の視機能を把握します。
眼圧再測定:ゴールドマン圧平式眼圧計などで精密に測定し直します。
細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ検査):眼球の外観・前眼部(角膜・虹彩・水晶体)を詳しく観察します。
眼底検査:視神経乳頭の状態・網膜の状態・出血の有無などを確認します。散瞳薬を使用する場合は検査後4〜5時間、車・バイク・自転車の運転ができなくなります。
隅角検査:房水の排出路(隅角)の広さを確認し、閉塞隅角緑内障の有無を調べます。
OCT検査(光干渉断層計):視神経にダメージが生じているかを精密に解析します。
視野検査:自動視野計を使い、見える範囲に欠けがないかを確認します。
これらの検査結果を総合して、「高眼圧症」「緑内障」「続発性緑内障」「閉塞隅角緑内障」などの診断が行われます。
眼科での検査結果によって治療方針はどう変わる?
検査結果によって、治療方針は大きく異なります。診断ごとの対応を以下に整理します。
高眼圧症と診断された場合
視神経・視野に異常がなければ「高眼圧症」と診断され、基本的には定期的な経過観察となります。ただし、眼圧の値や年齢・近視の程度によっては、目薬(点眼薬)による治療を早期に開始することもあります。
若くて健康な方でも眼圧が25mmHg以上の場合は治療を検討。
強度近視や中高年の方は、25mmHg未満でも治療が望ましいケースがあります。
緑内障と診断された場合
緑内障と診断された場合は、ほとんどのケースで点眼薬による治療を開始します。点眼薬は眼圧を下げることで視神経へのダメージを抑え、視野の悪化を遅らせる効果があります。
進行状況(視野検査の結果)や眼圧のレベルによっては、レーザー手術や小切開手術などの外科的治療が必要になることもあります。一度失った視野は回復しないため、早期発見・早期治療が最も重要です。
続発性・閉塞隅角緑内障と診断された場合
続発性緑内障では、点眼薬で眼圧を下げると同時に原因疾患(ブドウ膜炎など)の治療も並行して行います。閉塞隅角緑内障では、多くの場合白内障手術によって隅角を広げ、眼圧を下降させる治療が行われます。
眼圧が高くなりやすい人・生活習慣のリスク要因は?
眼圧が高くなりやすい要因として、以下が知られています。早めに把握し、定期的な眼科受診につなげることが大切です。
血縁者に緑内障の方がいる:遺伝的素因により緑内障リスクが高まります。
強度近視:視神経や視神経周囲が傷みやすく、緑内障リスクが上がります。
高血圧:国立がん研究センター JPHC-NEXT(2022年10月)の研究では、高血圧のある方は高血圧のない方に比べて統計的に有意に眼圧が高く、高眼圧症の有病率も高いことが示されています。
糖尿病・高血糖:国立がん研究センター JPHC-NEXT(2020年3月)の研究では、糖尿病やHbA1c・血糖値が高い方で高眼圧症の有病率が有意に高いことが確認されています。
低血圧・冷え性:血流障害によって視神経障害が進むケースがあります。
デスクワークなど長時間下を向く姿勢:目の中の房水の流れを滞らせ、眼圧を上げる可能性があります。
一度に大量の水分を摂取する:房水の産生量が増加し、眼圧が上昇することがあります。
過度のアルコール・カフェイン摂取、喫煙:眼圧上昇や視神経へのダメージにつながる可能性があります。
また、遠視の方は「閉塞隅角緑内障」を発症しやすいとされています。「目がいいから眼科とは無縁」と思っている方も、40歳を過ぎたら定期的な眼圧・眼底検査を受けることをお勧めします。
40歳以上が定期的に眼科検診を受けるべき理由は?
緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症などの目の病気は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。職場の健康診断では視力検査のみの場合がほとんどです。
眼圧検査・眼底検査は別途、眼科や人間ドックで受ける必要があります。40歳以上の方は年1回程度の眼科受診を目安にしてください。
緑内障:40歳以上の20人に1人が発症。初期は視野欠損に気づかない。
加齢黄斑変性:50代以降でリスクが増加。物がゆがんで見える症状が出る。
糖尿病網膜症:糖尿病の三大合併症のひとつ。定期的な眼底検査が必須。
白内障:早い方では40代から初期症状が現れることがある。
梅の木眼科クリニックで受けられる緑内障・眼圧関連の検査と診療は?
梅の木眼科クリニック(神奈川県横浜市保土ヶ谷区西谷)では、日本眼科学会認定眼科専門医である熊谷悠太院長が、緑内障・高眼圧症をはじめとする幅広い眼科疾患の診療を行っています。
小さなお子様からご高齢の方まで3世代で通院しやすいバリアフリー設計を採用しており、初めての方も安心して受診いただけます。
院内には手術室を完備し、白内障手術・網膜硝子体手術・眼瞼下垂手術などの各種眼科日帰り手術にも対応しています。
眼圧検査・眼底検査・OCT検査・視野検査:緑内障・高眼圧症の精密診断に対応。
緑内障の点眼治療・経過観察:診断から治療・アフターケアまで一貫して対応。
白内障手術(日帰り):閉塞隅角緑内障の治療としても有効。
糖尿病網膜症・加齢黄斑変性の診療:眼底疾患にも幅広く対応。
アレルギー検査(保険適用):スギ・ヒノキ・ブタクサ・ハウスダストを1回の採血で検査可能。
健康診断で眼圧の異常や眼底の異常を指摘された方、目の不調が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
診断から手術・アフターケアまで責任を持って対応する体制を整えています。
梅の木眼科クリニックのページから診療内容・アクセスをご確認いただけます。
よくある質問
健康診断で眼圧が高いと言われましたが、症状がなくても眼科に行くべきですか?
はい、症状がなくても必ず眼科を受診してください。緑内障は初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行します。早期発見で視野を守ることができます。
眼圧の正常値はいくつですか?
眼圧の正常値は一般的に10〜21mmHgとされています。
ただし、この範囲内でも緑内障になるケースがあるため、数値だけで安心・心配を判断しないことが重要です。
健康診断の眼圧検査と眼科の検査は何が違いますか?
健康診断では空気を吹きつける非接触式の検査が主流で、力が入ると不正確になることがあります。
眼科ではゴールドマン圧平式眼圧計による精密測定や、OCT・視野検査など総合的な検査が受けられます。
眼圧が高い原因は何ですか?
房水(目の中を循環する液体)の産生過多や排出障害が主な原因です。高血圧・糖尿病・ステロイド薬の使用・遺伝的素因なども眼圧上昇に関係することがわかっています。
高眼圧症と緑内障の違いは何ですか?
高眼圧症は眼圧が高いが視神経・視野に異常がない状態です。
緑内障は視神経にダメージが生じ、視野が欠けていく病気です。高眼圧症は緑内障の危険因子であり、定期的な経過観察が必要です。
緑内障の治療はどのようなものですか?
ほとんどのケースで点眼薬(目薬)による治療から始まります。点眼薬で眼圧を下げて視神経へのダメージを抑えます。進行度によってはレーザー治療や手術が必要になることもあります。
眼圧が高い場合、生活習慣で改善できますか?
長時間下を向く姿勢・一度に大量の水分摂取・過度のアルコール・喫煙は眼圧を上げる可能性があります。
ただし、生活習慣だけで緑内障を完治させることはできず、医師の治療と並行することが重要です。
緑内障は遺伝しますか?
血縁者に緑内障の方がいると、緑内障になるリスクが高くなることが知られています。家族歴がある方は特に、40歳以降から定期的な眼科受診をお勧めします。
眼底検査を受けるとき車で行っても大丈夫ですか?
散瞳薬(瞳孔を広げる点眼薬)を使用する眼底検査の場合、検査後4〜5時間は車・バイク・自転車の運転ができません。公共交通機関や徒歩での来院をお勧めします。
梅の木眼科クリニックで緑内障の検査は受けられますか?
はい、対応しています。眼圧検査・眼底検査・OCT検査・視野検査など、緑内障の診断に必要な精密検査を受けていただけます。日本眼科学会認定眼科専門医が診療を担当します。
結論
健康診断で眼圧が高いと指摘されたら、自覚症状がなくても速やかに眼科を受診することが最善の行動です。眼圧の正常値は10〜21mmHgですが、数値だけで緑内障の有無は判断できません。
OCT検査・視野検査・眼底検査を含む総合的な精密検査を受け、高眼圧症か緑内障かを正確に診断してもらいましょう。
緑内障は一度失った視野が戻らない病気だからこそ、早期発見・早期治療が視力と生活の質を守る唯一の手段です。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

