飛蚊症は治らない?改善するケースと受診が必要な症状を解説
2026/08/18
飛蚊症とは何か?なぜ目の前に浮遊物が見えるのか?
飛蚊症(ひぶんしょう)とは、明るい場所や青空を見たときに、虫・糸くず・点のような浮遊物が視界に見える症状です。病名ではなく「症状」の呼び名であり、原因によって対処法が大きく異なります。
目の中央を満たす硝子体(しょうしたい)は、本来は透明なゼリー状の物質です。加齢や外傷などで硝子体に濁りが生じると、その影が網膜に映り込み、浮遊物として知覚されます。
視線を動かすと浮遊物も遅れて動き、まばたきや目をこすっても消えないのが特徴です。
暗い場所では気にならなくなるのは、濁りの影が網膜に映りにくくなるためです。明るい屋外や白い壁を見るときに特に目立ちます。
硝子体の変化が飛蚊症を引き起こす仕組み
硝子体は年齢とともにゼリー状から液状へと変性します。この過程でコラーゲン線維が凝集・結合し、浮遊物(混濁)を形成します。さらに硝子体が収縮して網膜から離れる後部硝子体剥離(PVD)が起こると、剥離した膜の端が「ワイスリング」と呼ばれる輪状の浮遊物として見えることがあります。
強度近視の方は眼球が前後に長くなるため、網膜が引き伸ばされて弱い部分が生じやすく、若い年齢でも飛蚊症が現れやすい傾向があります。
飛蚊症の原因は何か?生理的飛蚊症と病的飛蚊症の違いは?
飛蚊症の原因は大きく「生理的飛蚊症」と「病的飛蚊症」の2種類に分けられます。
生理的なものは加齢や近視が主因で緊急性は低いですが、病的なものは網膜剥離など失明リスクのある疾患が背景にある場合があります。
生理的飛蚊症の主な原因
加齢による硝子体の変性:飛蚊症の大半を占める原因。年齢とともに硝子体が委縮・液化し、濁りが生じやすくなります。
後部硝子体剥離(PVD):硝子体が網膜から離れる現象。50〜60代以降に多く見られます。
強度近視:眼軸が長いため、年齢に関係なく硝子体変性が早く進むことがあります。
先天性(胎生遺残):胎児期の血管の名残が残存し、生まれつき飛蚊症がある場合もあります。
病的飛蚊症の主な原因
網膜裂孔・網膜剥離:網膜に穴が開いたり(裂孔)、網膜がはがれたりする状態。放置すると失明に至るリスクがあります。
硝子体出血:糖尿病網膜症や高血圧、外傷などで眼内出血が起こり、血液が硝子体に流れ込んで飛蚊症を引き起こします。
ぶどう膜炎:虹彩・毛様体・脈絡膜の炎症。硝子体に濁りが生じ、飛蚊症が悪化することがあります。
生理的飛蚊症か病的飛蚊症かを自己判断することは困難です。症状を自覚したら、まず眼科を受診して眼底検査を受けることが重要です。
飛蚊症は自然に治るのか?改善するケースとしないケースの違いは?
生理的飛蚊症は自然に消失することはほとんどなく、「慣れる」ことが多いです。
ただし、後部硝子体剥離によるワイスリング型の飛蚊症は、剥離が完成すると浮遊物が視野の中心から外れ、気にならなくなるケースもあります。
改善が期待できるケース
後部硝子体剥離が完成した場合:剥離が落ち着くと浮遊物の位置が安定し、視野の中心から外れて気になりにくくなることがあります。
硝子体出血が少量の場合:出血量が少なければ自然吸収されることがあります。ただし多量の場合は手術が必要です。
レーザー治療・硝子体手術を受けた場合:適応があれば医療的介入により症状を軽減・改善できます(後述)。
改善しにくいケース
加齢による慢性的な硝子体混濁:コラーゲン線維の凝集による濁りは自然には消えません。
網膜剥離・裂孔が原因の場合:原疾患の治療が優先され、飛蚊症自体は残ることがあります。
どんな症状が出たら今すぐ受診すべきか?危険なサインとは?
飛蚊症の症状が急に変化した場合は、網膜裂孔や網膜剥離などの緊急疾患のサインである可能性があり、速やかな眼科受診が必要です。
黒い点や浮遊物の数・範囲が急に増えた
暗い場所で突然、稲妻のような光が見える(光視症)
急に視力が低下した
視野の一部がカーテンをかけたように欠けている
特に光視症(閃光感)は、硝子体が網膜を引っ張っているサインであることが多く、網膜裂孔・剥離の前兆として重要です。網膜剥離は進行すると失明に至るリスクがある重篤な疾患ですが、早期発見・早期治療により視力を守れる可能性が高まります。
糖尿病や高血圧をお持ちの方は、硝子体出血のリスクが高いため、飛蚊症の変化には特に注意が必要です。「単なる飛蚊症だろう」と自己判断せず、内科的チェックも含めた早期受診を心がけてください。
飛蚊症の治療法にはどのような選択肢があるか?
飛蚊症の治療法は、原因と症状の程度によって「経過観察」「レーザー治療(レーザービトレオライシス)」「硝子体手術」の3つに大別されます。
経過観察(無治療)
生理的飛蚊症で日常生活への支障が少ない場合は、定期的な眼底検査を行いながら経過を見るのが基本です。
浮遊物に「慣れる」ことで、多くの方が日常生活を問題なく送れるようになります。
レーザービトレオライシス(LFR)
レーザービトレオライシスは、YAGレーザーを硝子体内の混濁に照射し、濁りを蒸散・破砕して分散させる治療法です。
治療時間:1回あたり約10〜20分程度
入院:不要(外来で実施可能)
痛み:点眼麻酔を使用するためほぼ無痛
目標:「完治」ではなく「改善」。症状を軽減させることが目的
費用:保険適用外(自由診療)。施設により異なりますが、片眼あたり10〜15万円程度が目安
ただし、すべての飛蚊症がレーザー治療の適応となるわけではありません。後部硝子体剥離によるワイスリングは改善効果が出やすい一方、 散漫な雲状・糸状の混濁や、網膜・水晶体に近すぎる混濁は 治療対象外となる場合があります。
硝子体手術
眼球に3か所の小切開を加え、硝子体カッターで混濁した硝子体を直接切除・吸引する手術です。完治を目指せる唯一の根本的治療ですが、観血的手術であるため合併症リスクも相対的に高くなります。
飛蚊症と診断されたら眼科でどんな検査を受けるのか?
飛蚊症の診断で最も重要な検査は「眼底検査」です。瞳孔を散瞳薬で広げ、検眼鏡で網膜・硝子体の状態を詳しく確認します。
細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ):前眼部・硝子体の状態を確認
眼底検査(散瞳検査):網膜・硝子体の詳細な観察。飛蚊症診断の中心的検査
眼圧検査:緑内障など他の眼疾患の除外
OCT(光干渉断層計):網膜の断面を精密に画像化し、微細な変化を検出
散瞳検査後は数時間、光がまぶしく感じたり、近くが見えにくくなったりします。検査当日の車・バイクの運転は控え、公共交通機関や付き添いの方との来院をお勧めします。
横浜・保土ヶ谷区で飛蚊症が心配なときはどこに相談すればよいか?
飛蚊症の症状が気になる方、急な変化を感じた方は、日本眼科学会認定眼科専門医への相談が最初のステップです。
梅の木眼科クリニック(神奈川県横浜市保土ヶ谷区西谷)では、院長・熊谷悠太医師(日本眼科学会認定眼科専門医)が一般眼科診療を担当しています。
飛蚊症の原因を鑑別するための眼底検査をはじめ、網膜・硝子体疾患の診断と治療に対応しています。
アクセス:相鉄本線西谷駅北口より徒歩約7分、梅の木停留所から徒歩約1分
設備:院内に手術室を完備し、白内障・網膜硝子体・眼瞼下垂などの日帰り手術を実施
対応年齢:小さなお子様からご高齢の方まで幅広く対応、バリアフリー設計
「飛蚊症かもしれない」「最近浮遊物が増えた気がする」と感じたら、自己判断せずに専門医へご相談ください。
梅の木眼科クリニックでは、患者さん一人ひとりの目の状態に合わせた丁寧な診察と、わかりやすい説明を心がけています。
よくある質問
飛蚊症は放置しても大丈夫ですか?
生理的飛蚊症であれば緊急性は低いですが、症状が急に変化した場合は網膜剥離などの病的原因が疑われるため、速やかに眼科を受診してください。自己判断は禁物です。
飛蚊症は自然に治りますか?
生理的飛蚊症は自然消失することはほとんどなく、慣れることが多いです。
後部硝子体剥離が完成すると浮遊物が視野の中心から外れ、気にならなくなるケースもあります。
飛蚊症のレーザー治療は保険適用になりますか?
飛蚊症のレーザー治療(レーザービトレオライシス)は自由診療(保険適用外)です。費用は施設により異なりますが、片眼あたり10〜15万円程度が目安です。
飛蚊症と光視症が同時に出たらどうすればよいですか?
光視症(稲妻のような光が見える)は網膜裂孔・剥離の前兆サインです。飛蚊症と同時に現れた場合は、当日中に眼科を受診することを強くお勧めします。
強度近視があると飛蚊症になりやすいですか?
はい、強度近視の方は眼軸が長く網膜が引き伸ばされるため、若い年齢でも飛蚊症が現れやすく、網膜裂孔のリスクも高いとされています。定期的な眼底検査が重要です。
飛蚊症の検査で散瞳すると当日の運転はできますか?
散瞳後は数時間、まぶしさや近くの見えにくさが続くため、当日の車・バイクの運転は控えてください。公共交通機関や付き添いでの来院をお勧めします。
子どもにも飛蚊症は起こりますか?
まれに先天性(胎生遺残)の飛蚊症が子どもに見られることがあります。
お子様が「目の前に何かが飛んでいる」と訴えた場合は、眼科での確認をお勧めします。
飛蚊症の予防法はありますか?
飛蚊症を完全に予防する方法はありませんが、十分な睡眠・目の使いすぎへの注意・糖尿病・高血圧の管理が、病的飛蚊症のリスク低減につながります。
結論
飛蚊症の多くは加齢による生理的なものであり、自然消失は期待しにくいですが、緊急性は低いケースがほとんどです。
一方、浮遊物の急増・光視症・視野欠損・急激な視力低下が現れた場合は網膜剥離などの病的原因が疑われ、当日中の受診が必要です。
まず眼科で眼底検査を受けて原因を確認し、日常生活に支障があればレーザー治療や硝子体手術の適応を専門医と相談することをお勧めします。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

