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白内障の原因と予防法|加齢以外に知っておくべき7つの要因

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白内障の原因と予防法|加齢以外に知っておくべき7つの要因

白内障の原因と予防法|加齢以外に知っておくべき7つの要因

2025/11/17

白内障とは?症状と発症メカニズム

白内障は、目の中の水晶体が濁ってしまう病気です。
水晶体は本来透明な組織で、カメラのレンズのような役割を担っています。外から入ってきた光を屈折させて網膜に像を写し出す、私たちの視力にとって非常に重要な部分なのです。

この水晶体が濁ってしまうと、光が網膜にうまく届かなくなり、様々な症状が現れるようになります。
初期段階では自覚症状がほとんどない方も多いのですが、進行するにつれて徐々に以下のような症状が現れてきます。

白内障の主な症状としては、視力の低下、かすみ目、まぶしさ(眩しさ)の増加、色の見え方の変化(黄色っぽく見える)、物が二重に見える(複視)などが挙げられます。
特に夜間の運転中にヘッドライトがまぶしく感じたり、細かい文字が読みづらくなったりすることが初期症状として現れることが多いです。

白内障は80歳以上ではほぼ100%の方に見られるとされる非常に一般的な眼の病気です。しかし、その発症時期や進行速度には個人差があり、早い方では40代から症状が現れることもあります。

白内障の主な原因①:加齢による変化

白内障の最も一般的な原因は加齢です。年齢を重ねるにつれて、水晶体に含まれるタンパク質が変性し、濁りが生じてきます。

水晶体の濁りは、水晶体に含まれているタンパク質(クリスタリンタンパク)が酸化し、性質が変化してしまうことによって起こります。
このタンパク質の変性によって、水晶体が透明性を失い、白く濁ってしまうのです。

加齢性白内障(老人性白内障)は、白内障全体の約90%を占めるとされています。
50歳代で約40%、60歳代で約70%、70歳代で約90%、80歳以上ではほぼ100%の方に症状が見られるというデータもあります。

加齢による白内障は、水晶体の周辺部から濁り始め、徐々に中心に向かって濁りが進行していきます。
そのため、初期段階では症状に気づかないことも多いのです。 日常生活や体質によっても発症時期や進行速度には個人差があります。

少しでも視界に違和感を感じたら、早めに眼科を受診することをお勧めします。

白内障の主な原因②:紫外線への過度な曝露

紫外線は白内障の発症リスクを高める重要な要因の一つです。水晶体は光を集める働きをするため、紫外線に長時間さらされると活性酸素が発生し、水晶体のタンパク質が酸化障害を受けやすくなります。

特に、サングラスや帽子などの紫外線対策をせずに、強い日差しの下で長時間過ごす習慣がある方は注意が必要です。紫外線による影響は蓄積されていくため、若いうちからの対策が重要になります。

紫外線対策として効果的なのは、UV-A・UV-Bをカットするサングラスの着用です。また、つばの広い帽子をかぶることで、目に直接当たる紫外線の量を減らすことができます。
日常的な紫外線対策は、白内障の発症リスクを下げるだけでなく、他の眼疾患の予防にもつながります。海や山などの紫外線が強い環境に出かける際は、特に注意が必要です。

あなたは普段から紫外線対策をしていますか?

白内障の主な原因③:糖尿病などの全身疾患

糖尿病は白内障の発症リスクを高める重要な要因です。糖尿病の方は、そうでない方に比べて約5倍も白内障になりやすいと報告されています。特に、血糖コントロールが不良な場合は、白内障の進行が早くなる傾向があります。

糖尿病による白内障は、血液中の糖が水晶体内に入り込み、水晶体のタンパク質と結合して「糖化」という現象を引き起こすことで発症します。この糖化によって水晶体のタンパク質が変性し、濁りが生じるのです。

私が臨床で経験した例では、30代の若い患者さんでも、糖尿病のコントロールが不良な場合は白内障が進行していることがありました。糖尿病の方は定期的な眼科検診が特に重要です。

糖尿病以外にも、アトピー性皮膚炎も若年性白内障の原因となることがあります。
アトピーによる白内障は、免疫の異常による影響や、かゆみで目をこすることによる物理的な刺激が関係していると考えられています。

全身疾患がある方は、眼科と内科の両方で定期的な検診を受けることで、早期発見・早期治療につなげることができます。

白内障の主な原因④:喫煙習慣

喫煙は白内障の発症リスクを上昇させる生活習慣の一つです。
厚生科学研究の調査によると、喫煙者は白内障の発症リスクが高まり、逆に禁煙することでそのリスクを下げられることが明らかになっています。

タバコを吸うと、含まれるニコチンが毛細血管を収縮させて血流障害を引き起こします。また、タバコの煙の成分はビタミンCを破壊する作用があり、なんとタバコを1本吸うだけで25〜70mgものビタミンCが減少するといわれているのです。

ビタミンCは抗酸化作用があり、水晶体の酸化を防ぐ働きがあります。そのため、喫煙によってビタミンCが減少すると、水晶体の酸化が進みやすくなり、白内障のリスクが高まるのです。

私の診療経験からも、長年喫煙習慣のある患者さんは同年代の非喫煙者に比べて白内障の進行が早い傾向があると感じています。

白内障予防の観点からも、禁煙は非常に効果的な対策の一つといえるでしょう。

白内障の主な原因⑤:ステロイド薬の長期使用

ステロイド薬は様々な病気の治療に使われる重要な薬剤ですが、長期間使用すると白内障を引き起こすリスクがあります。
特に内服薬や吸入薬として使用する場合、白内障の発症リスクが高まるとされています。

ステロイド薬によって引き起こされる白内障は「ステロイド白内障」と呼ばれ、水晶体の後極部(網膜側)から濁りが始まるという特徴があります。

アトピー性皮膚炎や喘息の治療でステロイド薬を長期間使用している方は、定期的に眼科検診を受けることをお勧めします。特に若い方でも発症する可能性があるため、注意が必要です。
ただし、ステロイド薬は多くの疾患の治療に不可欠な薬剤ですので、白内障のリスクを恐れて自己判断で服用を中止することは避けてください。

気になる場合は、処方した医師に相談することが大切です。

白内障の主な原因⑥:眼の外傷や炎症

目に強い衝撃を受けることで発症する外傷性白内障も、若年性白内障の原因の一つです。
スポーツ中のボールが目に当たったり、事故で目を強く打ったりすることで、水晶体に損傷が生じ、白内障になることがあります。

私の診療経験では、野球やテニスのボールが直接目に当たった後に白内障を発症したケースや、交通事故後に白内障が進行したケースなどがありました。

また、ぶどう膜炎などの眼の炎症性疾患が長期間続くと、水晶体に影響を及ぼし、白内障を引き起こすこともあります。炎症によって水晶体周囲の環境が変化し、水晶体のタンパク質が変性することが原因と考えられています。

スポーツをする際には、適切な保護メガネを着用するなどの予防策を講じることが重要です。特に球技スポーツでは、目の保護を意識しましょう。

眼の炎症がある場合は、早めに眼科を受診し、適切な治療を受けることで、白内障の発症リスクを減らすことができます。

白内障の主な原因⑦:先天的要因

白内障は、生まれつき発症する先天性白内障もあります。先天性白内障の主な原因には、遺伝的要因(先天素因)と胎内感染が挙げられます。

先天素因による白内障は、常染色体優性遺伝によるものと染色体異常によるものがあります。親から子へと遺伝する可能性があり、家族性に発症することがあります。 また、母親が妊娠中に風疹などの感染症にかかると、胎児に先天性白内障が発症するリスクが高まります。
これを胎内感染による先天性白内障といいます。

先天性白内障の場合、外からの光が網膜まで十分に届かないため、視力の発達が遅れる可能性があります。そのため、早期発見・早期治療が特に重要です。

生まれつき目の異常が疑われる場合は、できるだけ早く眼科医の診察を受けることをお勧めします。
適切な時期に治療を行うことで、視力の発達を促すことができます。

白内障の予防法:日常生活で実践できる対策

白内障は加齢とともに誰にでも発症する可能性がある病気ですが、その発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりするために、日常生活で実践できる予防法があります。

まず最も重要なのが紫外線対策です。
UV-A・UV-Bをカットするサングラスの着用や、つばの広い帽子をかぶることで、目に直接当たる紫外線の量を減らすことができます。
特に海や山など紫外線の強い環境に出かける際は、必ず紫外線対策を行いましょう。

次に大切なのが、抗酸化作用のある食べ物を積極的に摂取することです。
ビタミンC、ベータカロチン、ルテイン、ゼアキサンチンなどは、白内障の予防に効果があるとされています。
ビタミンC:いちご、レモン、ブロッコリー、緑茶、焼きのりなど
ベータカロチン・ルテイン:にんじん、ほうれん草、ピーマン、かぼちゃなど
ゼアキサンチン:ほうれん草、オレンジジュース、とうもろこし、柿、ブロッコリーなど

これらの栄養素を含む食品をバランスよく摂取することで、水晶体の酸化を防ぎ、白内障の予防につながります。

喫煙習慣のある方は、禁煙することも効果的な予防法です。タバコに含まれる有害物質は水晶体の酸化を促進するため、禁煙によって白内障のリスクを下げることができます。

また、糖尿病がある方は、血糖値のコントロールを適切に行うことが重要です。高血糖状態が続くと、水晶体のタンパク質の糖化が進み、白内障のリスクが高まります。
定期的な健康診断を受け、必要に応じて食生活の改善や適度な運動を心がけましょう。

さらに、眼科医が処方する点眼薬を使用することも、白内障の予防や進行抑制に役立ちます。
「ピレノキシン点眼液」や「グルタチオン点眼液」などがありますが、これらは市販されていないため、眼科を受診して処方してもらう必要があります。

白内障は完全に予防することは難しいですが、これらの対策を日常生活に取り入れることで、発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりすることが可能です。
少しでも視界に違和感を感じたら、早めに眼科を受診することをお勧めします。

まとめ:白内障の原因を知り、適切な予防を

白内障は加齢とともに誰にでも発症する可能性がある眼の病気ですが、その原因は加齢だけではありません。紫外線への過度な曝露、糖尿病などの全身疾患、喫煙習慣、ステロイド薬の長期使用、眼の外傷や炎症、先天的要因など、様々な要因が関わっています。

これらの原因を知り、日常生活で予防策を実践することで、白内障の発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりすることができます。
紫外線対策、抗酸化作用のある食品の摂取、禁煙、適切な血糖コントロール、眼の保護などが効果的な予防法です。

また、定期的な眼科検診を受けることで、白内障の早期発見・早期治療につなげることができます。特に40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的に眼科を受診することをお勧めします。

白内障が進行して日常生活に支障が出るようになった場合は、手術治療が効果的です。現代の白内障手術は非常に安全で効果的な治療法となっています。
手術のタイミングや方法については、眼科医とよく相談して決めることが大切です。

目の健康は生活の質に直結します。白内障の原因と予防法を正しく理解し、適切なケアを心がけましょう。

視界に少しでも違和感を感じたら、お気軽に当院にご相談ください。経験豊富な専門医が丁寧に診察し、一人ひとりに合った治療法をご提案いたします。

詳しい情報や診療時間については、梅の木眼科クリニックの公式サイトをご覧ください。
皆様の目の健康を守るため、スタッフ一同心よりお待ちしております。

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定 眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

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