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白内障は再発する?手術後に“再発と感じる”見えにくさの原因と対処法をわかりやすく解説

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白内障は再発する?手術後に“再発と感じる”見えにくさの原因と対処法をわかりやすく解説

白内障は再発する?手術後に“再発と感じる”見えにくさの原因と対処法をわかりやすく解説

2026/05/15

白内障手術後の「見えにくさ」は再発ではありません

白内障手術を受けた後、しばらくして再び見えにくくなることがあります。

「白内障が再発したのでは?」と不安になる方も多いのですが、実は白内障そのものが再発することはありません。白内障手術では濁った水晶体を取り除いて人工の眼内レンズに入れ替えるため、一度手術をすれば水晶体が再び濁ることはないのです。

しかし、手術後に視力が低下したり、視界がぼやけたりする症状が現れることがあります。これには明確な原因があり、適切な対処法も確立されています。

この記事では、白内障手術後に感じる見えにくさの正体と、それぞれの症状に対する治療法について、眼科専門医の視点から詳しく解説します。

手術後に見えにくくなる主な原因

白内障手術後に視力が低下する原因はいくつかあります。
最も多いのは「後発白内障」と呼ばれる状態です。これは白内障手術の際に残した水晶体の袋(水晶体嚢)が濁ってしまう現象です。

その他にも、角膜のむくみや眼内レンズを通した見え方に脳が慣れていない可能性、黄斑浮腫などの合併症、屈折誤差、ドライアイの悪化など、さまざまな要因が考えられます。

後発白内障とは何か

後発白内障は、白内障手術後に最も起こりやすい合併症です。

手術では水晶体の中身を超音波で破砕吸引しますが、眼内レンズを固定するために水晶体嚢という透明な袋を残します。この袋の中に残っている水晶体の細胞が増殖して、徐々に袋を濁らせてしまうのです。
増殖が進行すると、光が入りづらくなるために、次第にぼやけて見える症状が出てしまいます。

軽度であれば症状はありませんが、進行すると眼内への光の透過性が落ちるため、視機能が低下します。
点眼薬の使用や眼内レンズの形状を工夫することで進行を遅らせることが可能になってきましたが、現在のところ完全な予防法はまだありません。

黄斑浮腫による視力低下

手術は眼に大きな負担をかけることなく通常通りに終了したとしても、眼によっては炎症により網膜(光を感じ取る神経の膜)に浮腫(むくみ)が生じる場合があります。

この浮腫によって歪んでみえたり、真ん中がぼやけてみえる場合があります。
糖尿病、網膜静脈分枝閉塞症、ぶどう膜炎などの既往がある場合に起こりやすいと言われておりますが、術前にその危険性があまりないと思われる方でも発症する場合があります。

通常点眼を継続していると徐々に改善する場合が多いですが、ステロイドの注射を目の周りにすることによって改善が得られる場合もあります。

後発白内障の治療方法

後発白内障の治療は、レーザーを使った簡単な方法で行います。

レーザーを用いて濁ってしまった水晶体嚢に孔を開け、眼内に光が入るようにすることにより視機能は改善します。レーザー治療は痛みも無く、短時間で終わりますので、外来通院での治療が可能です。

治療時間は10分程度で、白内障手術のときと違って、特に洗髪・洗顔などの生活制限もありませんので、レーザー後はいつも通りに過ごしていただけます。

レーザー治療の流れ

治療は外来で行えます。

レーザーで破った水晶体嚢の破片が目の中に散らばるので、ゴミが飛んでいるように見える「飛蚊症」という症状が出ることがありますが、徐々に改善します。
まれに炎症や眼圧上昇、網膜剥離などの合併症を起こすことがありますので、治療後に痛みや見づらいなどの症状がでた場合には眼科医に相談しましょう。

後発白内障は一度治療すれば再発することは稀です。混濁の程度が強い場合は入院による手術加療が必要になることもありますが、ほとんどのケースでは外来でのレーザー治療で対応できます。

その他の見えにくさの原因と対処法

後発白内障以外にも、手術後に見えにくくなる原因があります。

もともと白内障以外の疾患がある場合

白内障手術を行い、問題なく水晶体の混濁が除去されたあとでも、水晶体以外の部分(角膜、網膜など)に異常所見・合併症があれば視力の向上が期待されていたものよりも低くなる可能性があります。

例えば網膜に加齢黄斑変性、黄斑上膜、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの合併症、もしくは緑内障の進行により視野欠損が著明な場合も、術後の視力改善が不良となる場合があります。

また角膜に混濁や、不正乱視(メガネや眼内レンズで矯正できない、不規則な乱視)を認める場合も、像がうまく眼の中で結ばれず、視力改善が不良になる原因になりえます。

屈折誤差が生じてしまった場合

白内障手術では術後のピントを決定するために術前に角膜(黒目)の形状を解析し、また眼軸長(眼の長さ)を測定して眼内レンズの度数を決定しています。

専門の眼科検査を熟知した視能訓練士が測定誤差をなるべく少なくするように検査を行い、また乱視などがある場合は積極的に乱視治療用のレンズを使用して視力向上を目指しております。
しかし、現在の最新機器、および最新の計算方法を持ってしても、わずかではありますが誤差が生じる可能性があります。

この場合、メガネやコンタクトレンズで矯正することで、良好な視力を得ることができます。

ドライアイが悪化した場合

手術後にドライアイが悪化することがあります。

ドライアイは涙の量が減少したり、涙の質が低下することで目の表面が乾燥する状態です。手術後は点眼薬を頻繁に使用するため、防腐剤の影響でドライアイが悪化することがあります。

ドライアイが悪化すると、視界がぼやけたり、目がゴロゴロしたりする症状が現れます。点眼薬の種類を変更したり、人工涙液を使用することで改善することができます。

手術後の見え方の変化について

手術後、青みがかって見える感覚を自覚される場合があります。

この現象は特に問題はなく、多くは経過とともに慣れて感じなくなります。また、若年の患者さんの場合は少し黄色がかって見えることがあります。この現象も経過とともに慣れてきます。

黄色く濁っていた水晶体を取り去ったので、光が眩しく感じたり青みがかって見えたりすることもあります。
これらは最初こそ気になりますが、長くとも数か月程度で気にならなくなることがほとんどです。

多焦点眼内レンズの見え方

多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズと比較して眼鏡の必要性が減少します。

すなわち遠方の視力を保ったまま、中間から近方を眼鏡なしで見ることができ、これが多焦点眼内レンズの最大のメリットです。一方、術後のコントラスト感度(くっきり見えるかどうか)が単焦点眼内レンズよりも悪かったり、ハローやグレア(光源のまわりに光の輪が見えたり、夜間に光がにじんだりする症状)がでることもあり、一般に単焦点眼内レンズよりも見え方の質が低下します。

また、術後の見え方に慣れるまでに単焦点眼内レンズよりも時間がかかることがあります。
多焦点眼内レンズを希望される際は、手術のメリットやデメリットについて術前に眼科専門医とよく相談する必要があります。 出典日本眼科学会「白内障手術」より作成

手術後に気をつけるべきこと

手術後の管理は非常に重要です。

一番気を付けて予防しなければならないのは眼に細菌が感染しておこる眼内炎で、これは最悪の場合失明にも至る病気です。
予防のために抗菌薬や炎症を抑えるステロイドの点眼薬を処方することが多いので、1週間程度はそれをしっかり使うことが大事です。

また、むやみに眼のあたりを触ることでも感染のリスクが上がってしまうので、眼を強くたたいたり擦ったりといった刺激になることは避けたほうが良いでしょう。
保護用のゴーグルを1週間程度使用することをおすすめします。

定期的な検診の重要性

白内障は再発することはありませんが、長期的には、後発白内障(眼内レンズが入っている袋が濁る)や、他の病気で視力が低下してくることもありますので、異常を感じたときには眼科医を受診してください。

後発白内障だけでなく、網膜などに別の病気が起きている可能性もありますので、手術を受けた後にしばらくしてから見え方が変わってしまったり、視界がぼやけるなどの症状が出れば、しっかりと検査を受けて原因を追究しましょう。

他院で手術を受けられた方も対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

まとめ:白内障手術後の見えにくさは適切に対処できます

白内障手術後に再び見えにくくなることがあっても、それは白内障の再発ではありません。

最も多い原因は後発白内障で、これはレーザーを使った簡単な外来治療で改善できます。その他にも黄斑浮腫や屈折誤差、ドライアイの悪化など、さまざまな原因が考えられますが、いずれも適切な対処法が確立されています。

手術後に見え方に変化を感じたら、まずは手術を受けた病院でしっかり話を聞くことが大事です。原因を正確に診断し、適切な治療を受けることで、良好な視力を取り戻すことができます。

梅の木眼科クリニックでは、白内障手術後のアフターケアにも力を入れており、患者様一人ひとりの症状に対して最適な治療を提供しています。手術後の見え方に不安を感じたら、お気軽にご相談ください。

白内障手術についてさらに詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
梅の木眼科クリニック 白内障

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

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