糖尿病網膜症のレーザー治療にはどんな効果がある?治療の目的と期待できること
2026/10/13
「糖尿病と診断されてから目が心配」「眼科でレーザー治療が必要と言われたけど、どんな治療なのか怖くて踏み出せない」——そんな気持ちを抱えていらっしゃる方は少なくありません。
糖尿病網膜症のレーザー治療(光凝固術)は、病気の進行を食い止め、視力を守ることを目的とした治療です。早い段階で適切に行うことで、失明リスクを大きく下げることが期待できます(個人差があります)。治療は外来で受けられる場合が多く、入院が不要なケースも多いのが特徴です。
この記事では、レーザー治療の仕組み・効果・流れ・注意点を、できるだけわかりやすくご説明します。
- ✅ 糖尿病網膜症のレーザー治療(光凝固術)の効果と目的
- ✅ 治療の流れ・回数・通院の目安
- ✅ レーザー治療を受ける前に知っておきたい注意点
- ▸ 糖尿病網膜症はなぜ目を危険にさらすのか
- ◦ 糖尿病が目に及ぼす影響とは
- ◦ 「見えているから大丈夫」という誤解が最も危険
- ◦ 糖尿病網膜症の進行段階
- ▸ 糖尿病網膜症のレーザー治療(光凝固術)とはどんな治療か
- ◦ 光凝固術の仕組みをわかりやすく解説
- ◦ 光凝固術の種類:汎網膜光凝固と局所光凝固
- ▸ レーザー治療の流れと通院回数の目安
- ◦ 治療前の検査から治療当日の流れ
- ◦ 何回くらい通院が必要?
- ◦ レーザー治療のメリットと注意点
- ▸ レーザー治療だけでは対応が難しい場合:抗VEGF注射との組み合わせ
- ◦ 抗VEGF抗体硝子体注射とは
- ◦ 網膜硝子体手術が必要になるケースとは
- ▸ 梅の木眼科クリニックの診療体制とこだわり
- ▸ 糖尿病網膜症のレーザー治療に関するよくある質問
- ◦ 目やまぶたのお悩み、お気軽にご相談ください
糖尿病網膜症はなぜ目を危険にさらすのか
糖尿病が目に及ぼす影響とは
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態が続く病気です。この高血糖が長期間続くと、全身の細い血管が傷んでいきます。網膜は目の奥にある薄い神経の膜で、カメラに例えるとフィルムに相当する部分です。網膜には非常に細かな血管が密集しているため、糖尿病の合併症として最も影響を受けやすい部位の一つとされています。
血管が傷つくと、血液や水分が漏れ出したり、新たに脆い血管(新生血管)が生えてきたりします。これが糖尿病網膜症の本体であり、放置すると網膜剥離や大出血につながり、最悪の場合は失明に至ることもあります。
「見えているから大丈夫」という誤解が最も危険
糖尿病網膜症の怖いところは、初期〜中期にかけてほとんど自覚症状がないことです。視力が落ちてきたと感じたときには、すでに病気がかなり進行しているケースも珍しくありません。
「目の見え方は変わっていないから大丈夫」と思って受診を先延ばしにしてしまう方が多いのですが、これは大きな誤解です。糖尿病と診断されたら、たとえ目の症状がなくても定期的な眼底検査を受けることがとても大切です。
糖尿病網膜症の進行段階
糖尿病網膜症は一般的に、次の3段階に分けて考えられます。
- 単純網膜症(初期):毛細血管瘤・小出血・滲出斑などが現れ始める段階。この時期は経過観察と血糖コントロールが中心になります。
- 増殖前網膜症(中期):血管の閉塞が進み、新生血管が生まれる準備段階。レーザー治療が強く推奨される時期です。
- 増殖網膜症(進行期):新生血管や線維組織が増殖し、硝子体出血・網膜剥離のリスクが高まる段階。レーザー治療に加え、手術が必要になることもあります。
糖尿病網膜症のレーザー治療(光凝固術)とはどんな治療か
光凝固術の仕組みをわかりやすく解説
レーザー光凝固術とは、レーザー光線の熱エネルギーで網膜の一部を焼き固める治療です。「焼く」と聞くと怖いイメージを持たれるかもしれませんが、目的は大きく分けて2つあります。
網膜が血液不足(虚血)になると、体は必死に新しい血管を作ろうとします。ところがこの新生血管は非常に脆く、すぐに破れて出血を起こします。レーザーで虚血になっている網膜を凝固させることで、新生血管が生えてくるのを抑制する効果が期待できます(個人差があります)。
糖尿病網膜症では、傷んだ血管から水分や血液成分が網膜内に漏れ出すことがあります。これが視力の中心を担う黄斑部に及ぶと「黄斑浮腫」となり、視力低下の大きな原因になります。レーザーで漏れている血管を直接凝固させることで、浮腫の改善が期待できます(個人差があります)。
レーザー治療を受ければ視力が元通りになると期待される方もいらっしゃいますが、この治療の主な目的は「今の視力や状態を守ること」であり、すでに失った視力を回復させる治療ではありません。だからこそ早期発見・早期治療が重要です。個人差があります。
光凝固術の種類:汎網膜光凝固と局所光凝固
レーザー光凝固術には、大きく分けて2種類があります。どちらを選択するかは、網膜症の進行度や黄斑の状態によって判断されます。
| 種類 | 対象 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 汎網膜光凝固術 | 増殖前〜増殖網膜症 | 新生血管の発生・進行を抑制する |
| 局所光凝固術 | 黄斑浮腫 | 血管からの漏れを止め、浮腫を改善する |
レーザー治療の流れと通院回数の目安
治療前の検査から治療当日の流れ
レーザー治療を受けるにあたり、まず眼底検査・OCT(光干渉断層計)・蛍光眼底造影検査などで網膜の状態を詳しく調べます。これらの結果をもとに、どの部位にどの程度レーザーを当てるかを計画します。
治療当日は散瞳薬(瞳孔を開く点眼薬)を使用します。瞳が開くまでに20〜30分程度かかります。レーザー照射自体は数分〜30分程度で終わることが多く、外来で行われます(個人差・状態によります)。散瞳の効果は数時間続くため、治療当日の車・バイクの運転はできませんので、来院の際はご注意ください。
何回くらい通院が必要?
汎網膜光凝固術の場合、網膜の広い範囲にレーザーを当てる必要があるため、複数回に分けて行うことが一般的です。1回で全範囲を照射するのではなく、2〜4回程度に分けて段階的に行うことが多いとされています(個人差・状態により異なります)。
局所光凝固術は1〜2回程度で完了するケースもありますが、黄斑浮腫の状態によっては抗VEGF抗体硝子体注射との組み合わせを検討する場合もあります。どちらの治療が適しているかは、眼科医が網膜の状態を見て判断します。
⚠ 注意:レーザー治療後も定期通院が重要です
レーザー治療を終えても、それで完全に終わりというわけではありません。糖尿病網膜症は血糖コントロールの状態によって再び進行することがあります。治療後も定期的な眼底検査・OCT検査を続け、状態を継続的に確認することがとても大切です。「治療が終わったから眼科に行かなくていい」と思わず、主治医の指示に従って通院を続けてください。
レーザー治療のメリットと注意点
✅ メリット
- 外来(通院)で受けられる場合が多い
- 入院が不要なケースが多い
- 保険診療が適用される
- 進行を食い止める効果が期待できる(個人差あり)
- 比較的短時間で処置が完了する
⚠ 注意点
- 治療当日は車・バイクの運転不可
- 照射部位によっては視野が狭くなる場合がある
- すでに低下した視力を回復させる治療ではない
- 治療後も定期的な眼科通院が必要
- 全身の血糖管理と並行して行うことが重要
レーザー治療だけでは対応が難しい場合:抗VEGF注射との組み合わせ
抗VEGF抗体硝子体注射とは
近年、糖尿病黄斑浮腫に対して広く用いられるようになってきたのが、抗VEGF抗体硝子体注射です。VEGFとは「血管内皮増殖因子」と呼ばれるタンパク質で、新生血管の発生や血管からの水分漏出を促す働きがあります。
抗VEGF薬は、このVEGFの働きを抑えることで、新生血管の増殖や黄斑浮腫の改善を図る治療です。目の中(硝子体)に薬を直接注射します。レーザー治療と併用することで、より高い効果が期待できる場合もあるとされています(個人差があります)。
網膜硝子体手術が必要になるケースとは
増殖網膜症が進行し、大量の硝子体出血や牽引性網膜剥離が起きた場合には、レーザーや注射では対応しきれず、網膜硝子体手術が必要になることがあります。この手術は目の中の出血や増殖した組織を取り除き、網膜を復位させるものです。
「手術が必要と言われたら入院しなければならないのでは」と心配される方もいらっしゃいます。手術が必要かどうかの判断は、眼底の状態を精密に確認したうえで行われます。まずは眼科を受診し、詳しい検査を受けることが大切です。
梅の木眼科クリニックの診療体制とこだわり
横浜市保土ケ谷区西谷にある梅の木眼科クリニックは、「心に寄り添う街の眼科」をコンセプトに、地域の皆さまの目の健康を幅広くサポートしています。
- 🔬 OCT・眼圧計・自動視野計・角膜トポグラフィ・眼軸長測定装置・超音波画像診断装置など先進検査機器を院内に完備し、精密な眼底検査が通院先で完結します。
- 🏥 2階に専用手術室を完備し、白内障・網膜硝子体手術・眼瞼下垂など多岐にわたる手術を日帰りで実施(毎週月・水が手術日)。入院が難しい方も受診しやすい体制です。
- 👁️ 視能訓練士(ORT)が常勤。お子様の視力検査・斜視検査からロービジョンケアまで、専門的なサポートを行っています。
- 🚌 バス停「梅の木」がクリニック目の前。専用駐車場3台・LINE公式アカウント・事前WEB問診にも対応し、通いやすさを大切にしています。
糖尿病網膜症のレーザー治療に関するよくある質問
📝 この記事のまとめ
- ✅ 糖尿病網膜症のレーザー治療(光凝固術)は病気の進行を抑え、視力を守ることが主な目的(個人差あり)
- ✅ 汎網膜光凝固術は複数回に分けて行うことが多く、外来(通院)で受けられる場合が多い
- ✅ 「見えているから大丈夫」は誤解。自覚症状がない段階からの定期受診が視力を守るカギになる
- ✅ 黄斑浮腫には抗VEGF抗体硝子体注射との組み合わせが検討されることもある(個人差あり)
- ✅ レーザー治療後も定期的な眼底検査と血糖コントロールの継続が重要
目やまぶたのお悩み、お気軽にご相談ください
糖尿病と診断されたら定期的な眼底検査を。横浜市保土ケ谷区の梅の木眼科クリニックでは、先進検査機器による精密な眼底検査と、院長自らによる丁寧な診察で患者様の目の健康をサポートします。
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👨⚕️ 院長・熊谷 悠太(くまがい ゆうた)より
糖尿病網膜症は、適切なタイミングで治療を受けることが視力を守る上で非常に重要です。「まだ見えているから」と受診をためらう気持ちはよく分かりますが、症状が出てからでは手遅れになることも少なくありません。私は大学病院・市中病院での15年以上の勤務を通じて、多くの網膜疾患の患者様に携わってきました。患者様それぞれのご事情やご不安をしっかりお聞きし、その方に合った治療を一緒に考えていきたいと思っています。目のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。