医療法人柔敦

白内障手術の合併症とは?起こりやすい症状と正しい早期対応のポイント

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白内障手術の合併症とは?起こりやすい症状と正しい早期対応のポイント

白内障手術の合併症とは?起こりやすい症状と正しい早期対応のポイント

2026/04/14

白内障手術は、現代の眼科医療において非常に安全性の高い手術です。

しかし、どんなに高度な技術を用いても、一定の確率で合併症が起こる可能性があります。大切なのは、起こりうるリスクを正しく理解し、早期に対応することです。

梅の木眼科クリニックでは、患者様一人ひとりに合併症の可能性と対処法を丁寧にご説明しています。不安を抱えたまま手術を受けるのではなく、正しい知識を持って臨んでいただくことが何より重要だと考えているからです。

この記事では、白内障手術で起こり得る代表的な合併症と、その早期対応について解説します。

白内障手術で起こりうる術中合併症とは

白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術です。

手術時間はおよそ10分と短く、局所麻酔で行われるため痛みもほとんどありません。しかし、手術中にいくつかの合併症が起こる可能性があります。

後嚢破損(こうのうはそん)

水晶体を包む薄い膜を「後嚢」といいます。 超音波で水晶体を砕いて吸引する際、この後嚢が誤って破れてしまうことがあります。
後嚢破損が起きると、硝子体が前方に出てきてしまうため、硝子体切除という追加処置が必要になる場合があります。

眼内レンズの固定方法も変更が必要となり、場合によっては後日改めて固定手術を行うこともあります。

核落下(かくらっか)

後嚢破損が起きた際、水晶体の硬い核が硝子体内に落ちてしまう状態を「核落下」といいます。

落下した核が小さければ自然に吸収されることもありますが、大きい場合には硝子体手術で取り除く必要があります。核落下は視力に影響を及ぼすため、早期の対応が求められます。

虹彩脱出(こうさいだっしゅつ)

切開創から虹彩が飛び出してしまう状態です。

閉塞隅角緑内障や落屑症候群、糖尿病などの基礎疾患がある方に起こりやすい合併症です。脱出した虹彩は速やかに元に戻し、切開創を縫合して新たな切開創を作成します。
手術翌日に発見された場合は、再手術で虹彩を切除することもあります。

創口熱傷(そうこうねっしょう)

硬い核の白内障を手術する際、超音波の出力が高くなり、時間も長くなります。

その結果、切開創に熱が発生し、創口が変形してしまうことがあります。創口の閉鎖不全を防ぐため、手術中に縫合が必要になる場合があります。

術後に起こりやすい合併症と症状

手術が無事に終わっても、術後に合併症が起こることがあります。
多くは早期発見と適切な治療で改善できますが、放置すると視力に影響を及ぼすこともあります。

ここでは、術後に起こりやすい代表的な合併症について解説します。

術後眼内炎(じゅつごがんないえん)

術後の眼内細菌感染によって起こる、最も注意すべき合併症です。 発生頻度は0.5%(2,000例に1例)と非常に低いものの、重篤な後遺症を残す可能性があります。
ほとんどが術後1週間以内、特に術後2〜3日がピークですが、22%は術後1ヵ月以上の晩期発症です。

術後に急激な視力低下、目の痛み、充血、目やにが増えるなどの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。
早期発見と早期治療が原則で、抗菌薬の硝子体注射や硝子体手術が必要になります。

術後眼内炎を防ぐためには、決められた点眼を確実に行い、目を清潔に保つことが何より大切です。

後発白内障(こうはつはくないしょう)

白内障手術を受けてしばらく経つと、眼内レンズが入っている袋(水晶体嚢)が濁ることがあります。 これを「後発白内障」といい、術後5年で約20%の方に発症します。
視界がかすむ、まぶしく感じるなど、白内障と似た症状が現れますが、YAGレーザーで後嚢を切開することで、すぐに視力を回復できます。

レーザー治療は外来で数分で終わり、痛みもありません。一度レーザー治療を受けると、基本的に二度と後発白内障にはなりません。

黄斑浮腫(おうはんふしゅ)

手術後2週から数ヶ月目に、網膜の中心部である黄斑に水膨れが生じることがあります。 手術による機械的な刺激が網膜血管の透過性を高め、黄斑浮腫を引き起こします。

視力低下やゆがみを感じる場合は、点眼治療や硝子体注射を行います。改善しない場合には、硝子体手術が必要になることもあります。

糖尿病網膜症を持つ方や、術後の点眼を守らない方に起こりやすいため、医師の指示を守ることが大切です。

眼内レンズ偏位(がんないれんずへんい)

手術後に挿入した眼内レンズの位置がずれてしまう状態です。後嚢破損やチン氏帯断裂などの術中トラブル、術後の前嚢収縮、外傷などが原因で起こります。
レンズがずれると視力が低下し、ピロカルピン点眼や再手術によるレンズ位置の補正が必要になります。状況によっては、眼内レンズを縫いつける手術が必要な場合もあります。

眼圧上昇(がんあつじょうしょう)

術後に眼内圧が上昇することがあります。

緑内障がある方、後嚢破損が起きた方、術後炎症が強い方、粘弾性物質が残っている方、ステロイド点眼に反応しやすい方などに起こりやすい合併症です。点眼や内服で眼圧を下げる治療を行います。

角膜内皮障害(かくまくないひしょうがい)

角膜の内側にある細胞が、超音波や水晶体の核片との接触によって減少することがあります。

術前から角膜内皮細胞が少ない方や、手術侵襲が大きかった場合に起こりやすくなります。角膜内皮細胞は再生しないため、手術前に角膜内皮の状態を確認し、手術侵襲を最小限に抑える工夫が重要です。

重度の角膜内皮障害が起こると、水泡性角膜症となり、角膜移植が必要になる場合もあります。

合併症の早期発見と対応のポイント

合併症を早期に発見し、適切に対応するためには、患者様ご自身の観察と行動が重要です。
ここでは、術後に注意すべき症状と、早期対応のポイントをお伝えします。

こんな症状が現れたらすぐに受診を

以下のような症状が現れた場合は、すぐに眼科を受診してください。

急激な視力低下・・・術後眼内炎や眼内レンズ脱臼の可能性
強い目の痛み・・・感染症や眼圧上昇の可能性
充血が強くなる・・・炎症や感染症の可能性
目やにが急に増える・・・感染症の可能性
視界がかすむ・・・後発白内障や黄斑浮腫の可能性
光がまぶしく感じる・・・炎症や後発白内障の可能性

これらの症状は、合併症の重要なサインです。

「様子を見よう」と放置せず、早めに受診することで、重篤な視力障害を防ぐことができます。

術後の点眼を確実に行う

術後の点眼薬は、感染症や炎症を防ぐために非常に重要です。

医師が処方した点眼薬を、指示通りの回数と時間で確実に使用してください。点眼を怠ると、術後眼内炎や黄斑浮腫などの合併症のリスクが高まります。

点眼の際は、手を清潔にし、点眼容器の先が目やまつ毛に触れないように注意してください。

定期検診を必ず受ける

術後の定期検診は、合併症の早期発見に欠かせません。

自覚症状がなくても、医師が指示した検診日には必ず受診してください。検診では、視力検査、眼圧測定、眼底検査などを行い、合併症の兆候がないか確認します。

特に術後1週間、1ヵ月、3ヵ月の検診は重要です。

清潔管理を徹底する

術後は目を清潔に保つことが大切です。

医師の許可が下りるまでは、自身での洗顔や洗髪は控え、清拭のみにしてください。汚い手で目を擦らないようにし、目に水や汚れが入らないように注意してください。

入浴やシャワーは医師の指示に従い、目に水が入らないように工夫してください。

梅の木眼科クリニックの合併症対策

梅の木眼科クリニックでは、合併症を最小限に抑えるために、さまざまな対策を行っています。

熊谷悠太院長は、大学病院・市中病院で15年以上の経験を持ち、診察から手術、術後のフォローまで一貫して担当します。
患者様一人ひとりの目の状態を正確に把握し、最適な手術方法を選択することで、合併症のリスクを減らしています。

術前の精密検査と評価

手術前に、専門スタッフによる精密検査を行います。

角膜内皮細胞の数、眼軸長、角膜の形状、水晶体の硬さなどを詳細に評価し、合併症のリスクを事前に把握します。
リスクが高い場合は、手術方法を調整したり、特別な対策を講じたりします。

低侵襲な手術技術

当院では、2mm前後の小さな切開創から超音波を使って水晶体を吸引する、低侵襲な手術を行っています。

切開創が小さいため、創口の閉鎖不全や感染症のリスクが低く、術後の回復も早くなります。また、角膜内皮への負担を最小限に抑える工夫を行い、角膜内皮障害のリスクを減らしています。

丁寧な説明と不安の解消

手術前に、起こりうる合併症とその対処法を丁寧に説明します。

不安や疑問を抱えたまま手術を受けるのではなく、正しい知識を持って臨んでいただくことが大切です。
患者様との会話を大切にし、医学的な根拠と生活の両面から最善の治療を提案します。

術後の徹底したフォロー体制

術後は、定期検診で合併症の兆候がないか確認します。

異常が見つかった場合は、速やかに対応し、重篤な視力障害を防ぎます。
術後の点眼指導や生活指導も丁寧に行い、患者様が安心して回復期を過ごせるようサポートします。

まとめ:合併症を正しく理解し、安心して手術を受けるために

白内障手術は非常に安全性の高い手術ですが、一定の確率で合併症が起こる可能性があります。

大切なのは、起こりうるリスクを正しく理解し、早期に対応することです。術後眼内炎、後発白内障、黄斑浮腫、眼内レンズ偏位、眼圧上昇、角膜内皮障害など、さまざまな合併症がありますが、多くは早期発見と適切な治療で改善できます。

術後に急激な視力低下、強い目の痛み、充血、目やにの増加などの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。
また、術後の点眼を確実に行い、定期検診を必ず受けることが、合併症の早期発見につながります。

梅の木眼科クリニックでは、術前の精密検査、低侵襲な手術技術、丁寧な説明、術後の徹底したフォロー体制により、合併症を最小限に抑える努力をしています。
不安なことがあれば、まずは一度ご相談ください。

【著者情報】熊谷悠太

日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

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