充血はドライアイが原因?症状の違いと悪化を防ぐための受診のタイミング
2026/04/15
目が赤くなる「充血」は、日常的によく見られる症状です。
しかし、その原因はさまざまで、ドライアイによるものか、それとも結膜炎など他の疾患によるものかを見極めることが大切です。
この記事では、ドライアイによる充血の特徴と、他の疾患との見分け方について解説します。
適切な受診のタイミングを知ることで、症状の悪化を防ぎ、快適な目の状態を保つことができます。
ドライアイによる充血の特徴
ドライアイは、涙の量が不足したり、涙の質が低下したりすることで、目の表面が乾燥する疾患です。
涙液層が不安定になると、角膜や結膜が傷つきやすくなり、その結果として充血が生じます。
ドライアイによる充血には、いくつかの特徴的な症状があります。
目の乾燥感とゴロゴロした異物感
ドライアイの最も典型的な症状は、目の乾燥感です。涙液量が減少すると、目の表面が乾燥し、まばたきをしてもなかなか潤いが戻りません。
また、目の中に砂やゴミが入ったようなゴロゴロとした異物感を感じることも多いです。これは、涙液が不足してまぶたと眼球表面の摩擦が増加するために起こります。
充血の見た目と範囲
ドライアイによる充血は、白目全体がうっすらと赤くなることが特徴です。特に、上下のまぶたの間に露出している部分(瞼裂部)が乾燥しやすく、その周辺が赤くなりやすい傾向があります。
充血の程度は、軽度から中等度であることが多く、強い痛みを伴わないことが一般的です。
長時間のパソコン作業やスマホ使用後に悪化
ドライアイによる充血は、長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用後に悪化することが多いです。
画面を見続けることで、まばたきの回数が減少し、涙液が蒸発しやすくなるためです。また、エアコンや冬の乾燥した環境でも症状が強くなります。
涙が出るのに目が乾く矛盾した症状
ドライアイの特徴的な症状として、「涙が出るのに目が乾く」という矛盾した状態があります。
角膜表面に潤いが足りなくなると、一過性に多量の涙が出てきますが、涙の質が悪いため角膜表面にとどまることなく排出されてしまいます。
そのため、涙が出ているにもかかわらず、目の乾燥感や充血が続くのです。
結膜炎による充血との違い
充血の原因として、ドライアイ以外に結膜炎が挙げられます。
結膜炎には、細菌性、ウイルス性、アレルギー性など、いくつかの種類があり、それぞれ症状や治療法が異なります。
細菌性結膜炎の特徴
細菌性結膜炎は、細菌の感染によって引き起こされる結膜炎です。
**黄色や黄緑色の目やに**が増えることが最も特徴的で、朝起きたときに目が開きにくくなることもあります。充血は比較的強く、白目が真っ赤になることもあります。
適切な抗菌点眼薬により短期間で改善が期待できますが、放置すると重症化して視力に影響する場合もあるため、早めの受診が重要です。
ウイルス性結膜炎の特徴
ウイルス性結膜炎は、アデノウイルスなどのウイルス感染によって起こり、非常に感染力が強いことが特徴です。
代表的なものに、**はやり目(流行性角結膜炎)**や**プール熱(咽頭結膜炎)**があります。
プール熱では、発熱や喉の痛みを伴うこともあります。充血は強く、涙や目やにが増え、まぶたの腫れも見られます。症状が治るまで時間がかかることが多く、学校や会社を休む必要が出ることもあります。
アレルギー性結膜炎の特徴
アレルギー性結膜炎は、花粉・ハウスダスト・ダニ・ペットの毛などが原因で起こる結膜炎です。
**強いかゆみ**が最も特徴的で、涙目や充血が起こります。人にうつることはありません。
季節性(花粉症)と通年性があり、症状や季節に応じて、抗アレルギー薬やステロイド点眼薬などの治療を組み合わせて対応します。
ドライアイと結膜炎の見分け方
ドライアイと結膜炎を見分けるポイントは、以下の通りです。
目やにの色と量:黄色や黄緑色の目やにが大量に出る場合は細菌性結膜炎の可能性が高い
かゆみの有無:強いかゆみがある場合はアレルギー性結膜炎の可能性が高い
発熱や喉の痛み:これらの症状がある場合はウイルス性結膜炎(プール熱)の可能性がある
乾燥感と異物感:目の乾燥感とゴロゴロした異物感が主な症状の場合はドライアイの可能性が高い
症状の悪化タイミング:パソコン作業後や乾燥環境で悪化する場合はドライアイの可能性が高い
症状が似ていても、原因によって治療法がまったく異なるため、自己判断ではなく眼科での検査がおすすめです。
ドライアイの原因とタイプ
ドライアイには、大きく分けて**涙液減少型**と**蒸発亢進型**の2つのタイプがあります。
それぞれの原因を理解することで、適切な対策を講じることができます。
涙液減少型ドライアイ
涙液減少型ドライアイは、涙腺の機能低下や破壊などによって涙液の生産量が少なくなっている状態です。
正常な涙液の生産量は1日に2~3mlですが、これよりも量が少なくなると目が乾きやすく、角膜や結膜の表面の細胞に障害が生じやすくなります。
主な原因としては、加齢、ストレス、薬物の影響(抗コリン作用のある薬、抗がん薬など)のほか、シェーグレン症候群やスティーブンス・ジョンソン症候群などの病気の一症状で起きることがあります。
蒸発亢進型ドライアイ
蒸発亢進型ドライアイは、涙が眼球の表面にとどまらずに、すぐに乾いてしまう状態です。
涙の蒸発が亢進すると目の表面が乾燥状態になり、異物感や充血、目の疲れなどを認めやすくなります。
主な原因は、マイボーム腺の機能低下、コンタクトレンズの装用、パソコンやスマートフォンの長時間使用、エアコンや冬の季節による乾燥、喫煙などです。
マイボーム腺機能不全(MGD)
ドライアイの約86%にマイボーム腺機能不全(MGD)があることが報告されています。
まぶたの中にある「目の表面を覆う脂をだす腺」が詰まってしまい、脂の少ないあるいは脂の質の悪いドライアイを引き起こします。
MGDを改善する手段として、患者さんがご自宅で毎日おこなうと効果が高まる「温罨法」と「眼瞼清拭(リッドハイジーン)」があります。
ドライアイによる充血の悪化を防ぐための対策
ドライアイによる充血を悪化させないためには、日常生活での対策が重要です。 以下のポイントを意識することで、症状の改善が期待できます。
適度な休憩とまばたきの意識
長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、まばたきの回数を減少させ、涙液の蒸発を促進します。
1時間に1回は休憩を取り、意識的にまばたきをすることで、涙液を目の表面に行き渡らせることができます。
室内環境の改善
エアコンや暖房による乾燥は、ドライアイを悪化させる大きな要因です。
加湿器を使用して室内の湿度を50~60%に保つことで、目の乾燥を防ぐことができます。また、エアコンの風が直接目に当たらないように調整することも大切です。
温罨法の実践
目の周囲を温めることで、マイボーム腺のつまりを緩和し、まぶたの血流を改善する方法です。
マイボーム腺からでる脂分は目の表面の乾燥を防ぐ作用があり、非常にドライアイに効果的です。温罨法は簡単に行えて、その効果が比較的実感されやすく、1日5分毎日2回おこなうと早期に効果を実感できます。
コンタクトレンズの使用を控える
コンタクトレンズの装用は、涙液の蒸発を促進し、ドライアイを悪化させる原因となります。症状が強い場合は、コンタクトレンズの使用を控え、眼鏡に切り替えることを検討しましょう。
人工涙液や点眼薬の使用
人工涙液やヒアルロン酸ナトリウム点眼薬は、涙液を補充し、目の表面を潤す効果があります。
また、ムチン分泌促進点眼薬(ジクアホソルナトリウム点眼薬、レバミピド点眼薬)は、涙液の質を改善し、蒸発型のドライアイに対して有効とされています。
受診すべきタイミングと眼科での検査・治療
充血が続く場合や症状が悪化する場合は、早めに眼科を受診することが大切です。
適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、快適な目の状態を保つことができます。
こんなときは早めに受診してください
目やにが急に増えた:特に黄色や黄緑色の目やにが出る場合は細菌性結膜炎の可能性があります
白目が強く赤い:充血が強く、痛みを伴う場合は早めの受診が必要です
片目だけ、もしくは両目に症状が続く:症状が長引く場合は、原因を特定するための検査が必要です
視界がかすむ・痛みがある:視力に影響が出ている場合は、早急に受診してください
家族や職場に結膜炎の人がいる:ウイルス性結膜炎は感染力が強いため、早めの診断が重要です
「少し赤いだけだから…」「そのうち治ると思って…」といった判断で来院が遅れると、悪化したり周りにうつしてしまうことがあります。
眼科での検査方法
眼科では、ドライアイの原因やタイプを詳しく検査・分類することが可能な最新のドライアイ検査装置を使用します。
主な検査項目は以下の通りです。
BUT測定(涙液層破壊時間):目の表面が乾燥するまでの時間を測定します。涙液層が5秒以下で破壊されると、ドライアイの可能性が高いです
シルマー試験:涙液の生産量を測定します
インターフェロメトリー:涙液油層の評価を行います
涙液メニスカス計測:涙液量の評価を行います
マイボグラフィー:マイボーム腺の状態評価を行います
瞬目解析:まばたきの状態評価を行います
ドライアイの治療方法
ドライアイの治療は、原因やタイプに応じて選択されます。
主な治療方法は以下の通りです。
人工涙液点眼薬:涙液減少型のドライアイに涙の補充として使用します
ヒアルロン酸ナトリウム点眼薬:水分保湿効果と角膜上皮細胞の修復作用を持っています
ムチン分泌促進点眼薬:涙液の質を改善し、蒸発型のドライアイに対して有効です
ステロイド消炎剤点眼薬:眼表面の炎症を伴うタイプのドライアイに使用します
涙点プラグ挿入:涙点に栓をして涙を溜めていくことで症状を和らげます
温罨法とリッドハイジーン:マイボーム腺機能不全を改善する手段として、自宅で毎日行うと効果が高まります
結膜炎の治療方法
結膜炎の治療は、原因に応じて異なります。
細菌性結膜炎:抗菌点眼薬により短期間で改善が期待できます
ウイルス性結膜炎:治るまで時間がかかることがあるため、感染拡大防止のための指導や休校・休職証明書の発行も対応します
アレルギー性結膜炎:抗アレルギー薬・ステロイド点眼薬などを組み合わせて治療します
当院では、患者様の症状や生活背景もしっかり伺い、原因に応じた最適な治療方針をご提案する体制を整えています。
まとめ
充血の原因は、ドライアイだけでなく、結膜炎など他の疾患も考えられます。
ドライアイによる充血は、目の乾燥感やゴロゴロした異物感を伴い、長時間のパソコン作業後や乾燥環境で悪化することが特徴です。
一方、結膜炎による充血は、目やにの色や量、かゆみの有無、発熱や喉の痛みなどで見分けることができます。
症状が続く場合や悪化する場合は、早めに眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
日常生活での対策として、適度な休憩とまばたきの意識、室内環境の改善、温罨法の実践、コンタクトレンズの使用を控えることなどが有効です。
梅の木眼科クリニックでは、患者様の目を守るために迅速な診断と適切な治療を心がけています。気になる症状があれば、どうぞご相談ください。
【著者情報】熊谷悠太
日本眼科学会認定眼科専門医
2003年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業、聖マリアンナ医科大学病院眼科学教室入局
2009年 聖マリアンナ医科大学大学院博士課程修了、桜ヶ丘中央病院眼科部長
2016年 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科主任医長
2019年 梅の木眼科クリニック開院

